ーーこのシリーズでは、プロのナニーが現場で出会う「こまった場面」を取り上げ、「こんなとき、どうする?」という疑問にお答えしていきます。お子様の心に寄り添いながら、状況をスムーズに解決するための、スーパーナニーならではの視点と関わりのコツをお伝えしてまいります。
見通しと準備が安心と切り替えを育てる
「まだ遊びたい!」
公園で、こうした場面に出会うことは少なくありません。時間になっても帰りたがらず、困ってしまった経験をお持ちの方も多いのではないでしょうか。
今回は、「公園から帰りたがらないお子様」への関わりについて、私が心がけていることをお伝えします。
公園遊びは、お子様にとって本当に楽しい時間です。風を感じ、身体を動かし、夢中になって遊んでいる最中に「帰りましょう」と言われても、すぐに気持ちを切り替えることは難しいものです。これは大人でも同じことですね。
まずは「まだ遊びたい」というお気持ちに寄り添うことを大切にしています。
「楽しいものね」「まだ遊びたいのね」と受け止めることで、お子様は安心し、自分の思いを理解してもらえたと感じます。
そのうえで、スムーズな切り替えに欠かせないのが「見通し」と「準備」です。
ナニーの側で、あらかじめ一日の流れを整えておくことで、お子さまは次の行動へと自然に移りやすくなります。たとえば、午前中に外遊びをし、その後に昼食とお昼寝へつなげる。あるいは午後であれば、公園遊びのあとにおやつの時間を設ける。こうした生活のリズムが安心感と切り替えのしやすさを支えてくれます。
「一緒に決める」ことで生まれる主体性
その計画も一方的に伝えるのではなく、お子様と「一緒に決める」ことを大切にしています。
「今日はお天気がいいから、公園に行こうと思うけれど、どうかしら?」
「お昼ごはんの前と後、どちらにする?」
このように選択肢をお渡しすることで、お子様は「自分で決めた」という実感を持つことができます。年齢が小さくても、その実感はしっかりと心に残り、行動につながっていきます。
外出前の時間も同じように丁寧に重ねていきます。お部屋の片づけや持ち物の準備、お子様のトイレ、戸締まりなど、出発までにナニーがすることはたくさんあります。だからこそ、あらかじめお子様と一緒に予定を立てるようにしています。
「長い針が9になったら出発するのと、10にするのと、どちらがよいかしら?」時計を使って相談し、一緒に出発のタイミングを共に決めます。そして約束が守れたときには、「時間通りに出発できたね」「約束を守ってくれてありがとう」と言葉にして伝えます。
この積み重ねが、「約束を守る心地よさ」や「認められる喜び」を静かに、けれど確かに育てていきます。
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余裕のある声かけと、気持ちに寄り添う区切り
公園では、安全に配慮しながら、思いきり遊ぶ時間を大切にします。そして帰る時間が近づいたら、余裕をもって声をかけ始めます。目安は20分ほど前です。
「長い針が7になったら帰るのはどうかしら」
「まだ遊びたい」「8がいい」といったやりとりになることもありますが、その対話の時間もまた大切にしています。
「では、7と8の間にしようかしら」と、会話を楽しみながら合意点を見つけていきます。
上手に区切ることができたときには、「お約束をまもってくれてありがとう」「お時間に気づいたのね、うれしいわ」と、その姿をしっかりと受け止めて伝えます。
また、時計ではなく遊びの延長で区切りをつけることもあります。
「お家に帰る前に、ブランコをあと何回しようかしら?」
一緒に数えながら遊ぶことで、満足感と区切りを同時に得ることができます。「100回!」と言われることもありますが、それもまた楽しいやりとりです。本当に100回したとしても2分もかかりません。「100回もできた」「たくさん遊んだ」という達成感、満足感で、自然と区切りがつくことも少なくありません。
この時には、「約束を守ってくれたのね、ありがとう」と笑顔で伝え、その姿をしっかり認めます。
本来であれば、そのまま気持ちよく帰路につきたいところですが、実際には一筋縄ではいかないこともあります。満足したはずでも、「まだまだ! すべり台もする!」と別の遊びが始まることもあるでしょう。
そのような時はまず「すべり台もしたくなったのねと気持ちに寄り添いながら「あれ?さっきのお約束はどうだったかしら?」
とやさしく問いかけ、いったん立ち止まって一緒に振り返ります。すぐに切り替えられることもあれば、気持ちが揺れることもありますが、ここで大切にしているのは急かしたり責めたりすることではなく、「自分で決めた約束を思い出し、守ろうとする力」を育てていくことです。
必要に応じて、「すべり台を1回だけするのと、今日ここで終わりにするのと、どちらにする?」と小さな選択肢を添えることもあります。
そうした関わりの中で、お子さまは少しずつ、自分の気持ちと約束との折り合いをつけられるようになっていきます。
次の楽しみへつなぐ関わりとナニーのよろこび

「楽しかったわね。お家に帰ってお昼ごはんにしましょうね」
「今日のお昼ご飯は何かな?」」
次の楽しみをそっと添えることで、帰る足取りも自然と軽やかになります。
こうした関わりの中で、お子様は「自分で考えて決めること」「約束を守ること」「気持ちに折り合いをつけること」を少しずつ身につけていきます。それは、これからの成長を支える大切な土台となります。
私は、その過程に寄り添えることに、ナニーとしての大きなやりがいを感じています。
お子様一人ひとりの気持ちに丁寧に向き合いながら、関わりを工夫していく。その積み重ねの中にこそ、確かな成長と、この仕事ならではの喜びがあります。
このシリーズを通して、ナニーという仕事の魅力を感じていただけましたら幸いです。ご興味のある方はぜひこちらをご覧ください→

この記事を書いた人
- ポピンズはなこ
- 現役のスーパーナニーとして、日々さまざまなお子様とご家庭に寄り添っています。 3人の子どもを育てあげ、子育てがひと段落した頃、「今度は自分の好きなことを仕事にしたい」とナニーの道へ。 より深くお子様と関わるために保育士資格も取得しました。 お子様の笑顔に励まされながら、今日も心をこめてナニーのお仕事に向き合っています。
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