「ナニーエデュケアサロン」とは?
今年度、新たにスタートしたポピンズナニーサービスの研修です。スーパーナニーを講師にむかえ、エデュケアの実践事例をナニー同士が学び合う双方向のワークショップ。参加者全員で日々のお世話の悩みについて、対話しながら疑問を解消し、ナニーサービスの質向上に向けてチャレンジしています。2026年4月に開催された第1回の様子をレポートします。
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ナニー同士がつながり、学び合う場として
記念すべき第1回目のテーマは「0~1歳児の発達段階とナニーに求められる配慮と関わり」。ポピンズに所属する31名のナニーが、座学やスーパーナニーの実例紹介、工作ワークショップを通じて知識を深めました。プログラムは、お茶を片手に自己紹介からスタート。「お世話をする中で感じた難しさを他の参加者に聞いてみたい」「スーパーナニーさんと直接お話しできるのが楽しみ」といった声が上がり、日頃なかなか得られない“横のつながり”への期待が感じられました。互いの経験や思いを共有し合おうとする姿勢からは、本研修のテーマである「つながり」と「学び」への強い意欲がうかがえました。

基礎知識を確認―乳児の発達段階に応じた関わりを学ぶ
プログラムの冒頭では、「乳児の発達段階とナニーに求められる配慮と関わり」をテーマに、座学が行われました。月齢ごとの心身の発達の特徴や生活の様子を丁寧に確認しながら、それぞれの段階に応じた接し方や遊び方について理解を深めていきました。日々の実践の中で培ってきた感覚を、あらためて専門的な知識と結びつけて整理する時間となり、参加者たちはメモを取りながら真剣な表情で耳を傾けていました。

スーパーナニー4名の多彩なアイデアに感嘆
続いて、多くの参加者が楽しみにしていたスーパーナニー4名による乳児のお世話実例紹介が行われました。ナニーにとって憧れでもあるスーパーナニーたち。各人のキャリアや経験に基づいた多彩なアイデアと工夫が多数飛び出したほか、ナニーとして大切な心構えも披露され、深い学びと静かな感動が広がる時間となりました。一部を紹介します。
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Ⅰさん 触覚刺激の重要性を実践につなげる

現在、大学院で保育の研究を行っている I さんは、乳児の発達における「触覚刺激の重要性」について、データや教育研究者の知見をもとに発表しました。ポピンズのナニーは日頃から、子どもの発達において五感が重要であることを理解していますが、Ⅰさんはさらに一歩踏み込み、理論的な裏付けを示しました。スライドには、ヘロンの触覚遮断実験の図や、マリア・モンテッソーリ、ブルーノ・ムナーリといった教育分野の研究者による取り組みが紹介され、参加者たちは真剣な表情で見入っていました。
こうした理論を踏まえ、I さんが現場で実践している工夫として紹介されたのが「和紙」を使った遊び。赤ちゃんの頭上でひらひらと動かして視線を促したり、手で触れて丸める感触を楽しんだり、いないいないばあに活用したりと「シンプルながらも多様な関わりが可能です」と話しました。
Fさん エデュケアの質を左右する「観察」の力

新生児ケアを主に担うFさんは、自身の実体験をもとに「赤ちゃんの小さな変化に気づけるかどうかが、エデュケアの質を左右する」として「観察の大切さ」を語りました。そして、「観察すること自体がお子様への愛情」だと強調しました。例えば「赤ちゃんは眠いときほど感覚が鋭くなる」といい、不機嫌の背景には、音や光、肌に触れる感触など、さまざまなストレッサーが潜んでいます。そうした要因を丁寧に観察し、取り除いてあげることで、赤ちゃんは安心して過ごすことができるのです。
さらに、乳児期は保護者にとっても初めての子育てに直面する時期。不安を抱えやすいからこそ、「安心して任せていただける存在であるために、清潔感を大切にしている」と語ります。最後に、Fさんが会場に向けて語った「ナニーとして立ち止まったり、悩んだりすること。それ自体がお子様に真剣に向き合っている証であり、愛情だと思います」との言葉に、ナニーたちは深くうなずき、中には涙を浮かべる姿も見られました。
Aさん 生活の中の“遊び”が自立を育む

食育やリトミックなど幅広い知識を持つAさんは、効果的なおもちゃの活用や、日常生活の中にある体験的な遊びについて紹介しました。「生活の場面を遊びに取り入れることで、お子様の興味を引き出し、自立に向けた行動へとスムーズに促すことができると考えています」。例えば、離乳食期の子どもに対してはコップで「乾杯」をしたり、おもちゃを食事に見立てて「スパゲッティ食べようね」と声をかけながら遊びの中で食への関心を育んでいくといいます。また、手洗いやシャンプーといった日常の動作についても、ごっこ遊びの要素を取り入れながら「お目目つむりましょうね」などと声をかけることで、子どもが安心して取り組めるようにしているとのこと。遊びと生活が自然につながる関わりが印象的でした。また、「物を大切にする心」を育む目的で、持参したおもちゃを渡す際に「これはナニーさんの大切なものだからね、大事に使おうね」といった一言を添えることも紹介しました。

手作りの軍手のぴよちゃん(手前左)や寝かしつけに使うオルゴール人形(奥)など、どれも汎用性が高く現場で大活躍
Rさん 廃材を活かした手づくりおもちゃで、赤ちゃんの“好き”を引き出す

ナニー歴16年のベテランRさんは、10年前にノーランド研修※に参加して以来、家庭にある廃材を活用した手づくりおもちゃを日々のお世話に取り入れているといいます。
「ねんね期の赤ちゃんであっても、その子が何に興味を持ち、どんなことが好きなのかを見つけてあげることを大切にしています」。特に重視しているのは、赤ちゃんの五感への働きかけ。どんな音に反応し、何を見つめ、触れる素材の感触にどんな反応を示すのか、そうした一つひとつのサインを丁寧に観察していきます。そこで活用されるのが、身近にある廃材。例えば紅茶の空き缶は、叩くと心地よい音が鳴り、手に触れるとツルツルとした感触が楽しめます。また、貝殻を打ち鳴らすことで生まれる自然な音も、赤ちゃんにとっては新鮮な刺激となります。こうした遊びを通じて見えてきた赤ちゃんの興味や反応は、保護者様にも丁寧に共有しているそうです。また、安全面への配慮や清潔な状態の維持を徹底していることも話しました。

英字新聞を貼って見た目もおしゃれに。引き出す作業が好きな乳児向けに、葉っぱを引き抜くと人参が出てくる仕掛けのおもちゃ。Rさんのアイデアは実に多彩です
個性がキラリ☆赤ちゃんの発達を促すおもちゃづくり

続いて手作りおもちゃづくりのワークショップが行われました。スーパーナニーのRさんが講師となり、乳児の発達を促すおもちゃづくりに全員で取り組みました。今回制作したのは、紙で作るロリポップ(キャンディ)型のおもちゃ。2枚を貼り合わせ、シールやペンでデコレーションを施していきます。


途中、昨年度のノーランド研修に参加したⅠさんから「ノーランドで示された実験結果によると、赤ちゃんには顔や文字のような複雑な模様が好まれる一方で、多色使いのものは認識しづらいという結果がありました」といった補足もあり、参加者たちはデコレーションに反映させて理論と実践を結びつけながら制作に取り組んでいました。

それぞれの個性が光る仕上がりに。「明日のお世話から使えそう」と、会場は和気あいあいとした雰囲気に包まれました
経験を分かち合い、支え合う―座談会で広がる学びと安心感
プログラムの最後には、スーパーナニーを囲んだ座談会が行われました。乳児のお世話の中で生じた疑問や課題を参加者同士で共有し、スーパーナニーとの対話を通じて解消していく実践的な学びの時間です。参加者からは、「お子さんが8時間泣き続けてしまって…」「ミルクをなかなか飲んでもらえなくて…」といった、現場の切実な悩みが次々と打ち明けられました。これに対し、スーパーナニーは「わかりますよ」「そういうこと、ありますよね」と、まずは共感の言葉をかけます。その一言に、発言者の表情がふっと緩む様子が印象的でした。安心感に包まれた場の中で、スーパーナニーからの具体的なアドバイスに加え、他の参加者からも経験に基づく意見や工夫が共有されていき、前向きな対話が広がっていました。

「エデュケアサロン」はナニーの悩みを安心して共有できる場
ナニーの皆さんは、日々子どもと真摯に向き合うからこそ生まれる悩みや迷いを抱えています。それを安心して共有できる「ナニーエデュケアサロン」は、一人ひとりの実践を支え、さらなるエデュケアの質向上へとつながっていくことを感じさせる時間となりました。
閉会後のアンケートで寄せられたコメントの一部を紹介します。
- 正解に合わせるのではなく「お子さんに合わせる」というスーパーナニーさんの言葉がとても心に響きました。
- 手作りのおもちゃが、お子様の成長にとても良いとわかり、私もいろいろ作ってみたいと思いました。
- お子様の視点からの気づきを得ることができ、大変ありがたく感じました。保育の奥深さに触れ、その真髄へと導かれたように感じております
- (自身が抱える課題に対して)直したいとここまで強く意識出来るほど、私はこの仕事にやりがいと誇りを感じていることに気付けました。最善のエデュケアをご提供できる人材になれるようがんばります!
今年度のナニーエデュケアサロンは、今後も年齢別の発達段階に応じた内容で開催します。第2回は6月16日(火)に「1~3歳児のお子様のお世話について」、第3回は9月9日(水)に「3歳以上のお子様のお世話について」をテーマに実施予定です。
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この記事を書いた人
- 吉尾 夏紀
- 新聞社(記者職)、広告代理店勤務を経て「もの書き屋 きりんとバオバブ」として独立。 乳幼児3人を育てるシングルマザー。育児における座右の銘は「センス・オブ・ワンダー を探して」。2025年4~9月、国の居宅訪問型保育事業としてポピンズナニーサービスを利用
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