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保育士ナニーに聞きました!子どもの非認知能力を育てる方法は?

2024.12.24
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子育て中のパパ・ママなら一度は「非認知能力」という言葉を聞いたことがあるのではないでしょうか?

中には、「子どもの非認知能力を育てるには、どうしたらいいんだろう?」「どうしてそんなに非認知能力が注目されているの?」と疑問に感じている方もいらっしゃるでしょう。

「非認知能力」は、文部科学省も認めているこれからの時代を生きていく子どもたちに必要な能力です。

今回は、非認知能力とは具体的にどのようなことをいうのか、非認知能力の育て方や育てるために気をつけること、またこれからのAI時代を生きる子どもたちになぜ非認知能力が必要なのか、について詳しくご紹介します。

文部科学省も認める「非認知能力」ってどんなもの?

「非認知能力」に対して「認知能力」という言葉があるのをご存じでしょうか?ここでは、これらの言葉の意味を詳しく解説していきます。

文部科学省が示す「認知能力」

文部科学省はホームページの中で、幼児教育における「認知能力」についてこのように述べています。

認知能力とは知的な力で、知識・技能、思考力等を含む。

            ~幼児教育と小学校教育の架け橋特別委員会 第二回 資料1-2~ 

読み書きや計算、記憶力や言語力、またIQ(知能指数など)が認知能力にあたります。

文部科学省が示す「非認知能力」

また「非認知能力」については次のように述べています。

非認知能力とは、主に意欲・意志・情動・社会性に関わる3つの要素

①自分の 目標を目指して粘り強く取り組む、

②そのためにやり方を調整し工夫する、

③友達 と同じ目標に向けて協力し合う。

からなる。

            ~幼児教育と小学校教育の架け橋特別委員会 第二回 資料1-2~

これらの3つの要素は知識やスキルではなく、日々の生活や遊びの中で身についていくものです。

認知能力と非認知能力は、どちらが良いというものではなく、同じくらい必要とされている能力です。

これからの社会で生きていくためには、これらの能力をバランスよく育てることがとても大切になってくるでしょう。

非認知能力はどうして必要なの?

さきほど解説した、文部科学省が示す非認知能力の3つの要素

①自分の 目標を目指して粘り強く取り組む

②そのためにやり方を調整し工夫する

③友達 と同じ目標に向けて協力し合う

がなぜ必要なのでしょう?

ここでは、3つの要素についてそれぞれ詳しく解説します。

最後まで「やり抜く力」

1つ目の要素「自分の 目標を目指して粘り強く取り組む」力です。

途中であきらめずに最後まで粘り強く取り組む力は、「やり抜く力」と表現することができます。

子どもが目標に向かって努力を重ね、困難に立ち向かって挑戦する力は、これからの人生のどのような場面でも役立つでしょう。

「やり抜く力」に必要なのは、自分を信じる「自己肯定感」や困難の先をイメージできる「想像力」です。

セルフコントロール力

2つ目の要素「そのためにやり方を調整し工夫する」力です。

自分の感情や行動を自分自身で調整して管理できる力を「セルフコントロール力」ということができます。

自分自身の怒りや悲しみなどの感情を調整して行動できる力は、これからの人生でとても大切です。誘惑や本能に惑わされず理性をもって行動できることで、周囲とのトラブル回避や自分自身を信じることに繋がります。 

「セルフコントロール力」に必要なのは、自分自身をコントロールするために自分を信じる「自己肯定感」と理性をもって行動する「自分で考える力」です。                                

コミュニケーション能力

3つ目の要素「友達 と同じ目標に向けて協力し合う」力です。

コミュニケーション能力は、相手の気持ちを理解したり自分の気持ちを伝えたりする意思疎通をスムーズに図ることができる力です。

相手の意見に耳を傾けて共感や理解を示し、自分の意見を伝えるときは相手の気持ちを汲みながらもしっかりと意思表示ができる能力は、これからの人生で円滑な人間関係を築くためには欠かせない能力といえます。

非認知能力はどうやって育てるの?

子どもがこれからの人生を生きていくために、非認知能力は大切な能力であることは理解していただけたでしょう。

ここでは、ご家庭で非認知能力を育てる具体的な方法を紹介します。

子どもの心に寄り添う

子どもの心に寄り添い、「よくがんばったね」「大丈夫だよ」「あなたをいつも見てるから安心して」などの愛情たっぷりの肯定的な言葉がけを意識しましょう。

子どもはパパ・ママの愛情を感じて自己肯定感が高まり、自信につながります。

自己肯定感が、非認知能力の基盤ともいえるでしょう。

子どもが夢中で取り組める環境をつくる

子どもは自分で興味のある遊びを発見して、自分なりに楽しんで試行錯誤しながら集中力や想像力、忍耐力を身につけていきます。

大人から見ると「こんな遊びよりも、別の遊びをやった方が有効性があるのに」と感じることが多くあるかもしれません。

どんな遊びでも、お子さまが夢中になる遊びに無駄なことはありません。

パパ・ママはニコニコして見守ってあげましょう。

一緒に楽しんで共感してあげることで、お子さまは自分が愛されて認められたと感じて自尊心や自己肯定感が生まれ、安心して集中することができます。

「自分で選んで決める」経験をさせる

お子さまに、小さな選択肢を与えてあげましょう。

たとえば、靴下を2足並べて「黄色と青のどっちにする?」と聞いてあげると、お子さまは、あれこれ迷わず選択しやすいでしょう。もしかしたら「これじゃなくて、くるまがついてるのがいい!」と自分の意見を言ってくるかもしれません。

絵本の読み聞かせのときに、2,3冊並べて「どの本にする?」と聞いてみたり、保育園に行くときのくつを、2足並べて「どっちをはいていく?」と聞いてみるのもいいですね。

子どもは、決定権があると感じることで「自分は尊重されている、大切にされている」と感じます。それにより自己肯定感がうまれ、成長するにつれ、自分を信じて判断する力がついていきます。

また、自分で靴下を選ぶことで、その靴下を自分で履こうとする意欲が生まれます。

自分で選んだ靴を履いて保育園に行くことで、ワクワクした気持ちで登園することができるでしょう。

遊びを通して能力を育てる

幼少期に「遊ぶ」ということはとても大切な学びです。

なぜなら、楽しく遊ぶ中で「ワクワクする、もっとやってみたい、なぜ?、できた!」というさまざまな気持ちが生まれてきます。

この気持ちこそが非認知能力を育てるのです。

まずは、お子さまを公園に連れて行ってあげましょう。パパ・ママやお友だちと一緒に体を動かしながらコミュニケーション力や想像力、やる気がすくすくと育っていきます。

非認知能力を育てるために気をつけること

ここで、ついやってしまいがちな注意点をお伝えしましょう。

きょうだいや友だちと比べない

誰かと比べられることは、大人でも「自分はダメな人間なんだ…」と自信を失ってしまいます。

お子さまは、自分なりにたくさんのことを考えて行動しています。お子さま一人一人の成長や個性はさまざまです。

ぜひ、ご兄弟やお友だちと比べることなく、そのままのお子さまを受け入れてあげましょう。

子どもの失敗を防ぐために先回りしない

お子さまが失敗しないように先回りしたり、「危ないからやめなさい」と行動を妨げていませんか?

お子さまを大切に思うあまりに取ってしまう、この行動が実は非認知能力を育てるための妨げとなっているのです。

もちろん、ケガや事故に関しての配慮は大切です。

しかし、子どもは失敗を重ねることで「なぜ、失敗したのか?」「もう一度やってみよう」「さっき失敗したけど、今度はできた!」という素晴らしい体験をくり返しています。

ぜひ、配慮はしつつ、お子さまの行動を見守ってあげてくださいね。

子どもたちがAI時代を生き抜くために、なぜ非認知能力が必要なの?

現代社会において、AI(人工知能)の発展・普及によって人間の役割が変わりつつあります。

そんな時代の中で生き抜くために、AIの強みである知識だけではなく、人間だからこそできる柔軟な考え方や感情を大切にする力がとても重要視されています。

単純作業は、休憩をはさみつつ行う人間よりもAIの方が疲れ知らずで何時間でも稼働することが可能です。

莫大な知識や情報量では、とうてい人間はAIに勝つことは難しいでしょう。

しかし、AIはコンピューターがトラブルを起こすと作業が中断してしまいます。

また、AIは知識や情報は集められても、的確な指示を出すのは人間です。

ここで、必要となってくるのが「非認知能力」です。

困難にぶつかった時に協力し合う「コミュニケーション力」や諦めずに解決に向けて「やり抜く力」、冷静に判断するための「セルフコントロール力」が、これからは大切になってきます。

これらの非認知能力が豊かな人間が、これからのAIと共存していく社会では必要とされていくでしょう。

まとめ

今回は、子どもがこれからの社会を自信をもって生きていくために必要な「非認知能力」について詳しくご紹介しました。

日々の生活の中で、自由に遊んだり考えたり、またパパ・ママの愛情を感じながら成長することで、非認知能力の基盤となる「自己肯定感」が育まれます。

AIの発展・普及によって現代社会は急速に変化しています。

「子どもたちの未来のために、親としてしてあげられること」として、お子さまの非認知能力が育まれるよう、サポートして見守っていけるといいですね。

この記事を書いた人

五島 由紀子
保育・教育関係に携わって15年以上。保育園施設の管理職を経て、2022年よりフリーランス保育士として活動開始。保育士免許・幼稚園教諭二種免許・キッズマナー講師資格取得。現在は、1人のお子さまへ細やかな保育を行いたいと感じ、ポピンズナニーとして保育に携わっております。趣味はベリーダンス。子育てカウンセラー資格取得に向けて勉強中。

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