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孫の誕生をきっかけに音楽家からナニーへ…命を預かる重責と覚悟

2025.09.27

音楽家として培った感性と、深い優しさで周囲を包み込むMさん。穏やかで誠実な語り口から、お子様と保護者様へのあたたかい想いが伝わってきます。お孫さんの誕生をきっかけにナニーの道を選んだMさんに、これまでのご経験と、ナニーとしての仕事への向き合い方を伺いました。

音楽家からナニーへ。孫の誕生がくれた新たな道

─ナニーになられたきっかけはどんなことでしたか?

息子が結婚しまして。お嫁ちゃんが来てくれたのですが、孫ができたときに「保育園に入れるかどうか」という話をしているのを耳にしました。その時、近くに住んでいたので「できる限りお手伝いするよ」って申し出たんです。そこで、「ああ、そうか。お嫁ちゃんは私がいるからなんとか働けるかもしれないけれど、近くにおじいちゃんやおばあちゃん、知り合いがいないママたちはどうするんだろう」と思ったのがきっかけです。

孫はお嫁ちゃんの実家で生まれて、我が家に戻ってきたときには2ヶ月になっていたので沐浴はしていませんが、それでもお風呂には頻繁に入れていました。子育て経験もありましたので、何か私にできることがないかな、と。

─お嫁さんとも素敵なご関係ですね

お嫁ちゃん、可愛いんです。孫も大きくなって、今は保育園に通っていますが、週末にお嫁ちゃんから「あのちょっと美容院に行きたいんですけど」って言われて「あ、いいよ、いいよ」って預かったりしています。

―スーパーナニーさんに預かっていただけるお嫁さんはどんなに心強いことでしょう

お嫁ちゃんから孫を預かるときも、ナニーの仕事の時と同じように「朝ごはんは何時に食べましたか? 今日はうんちは出ましたか?」ってしっかり聞いてから預かっています。私の方こそ今どきの保育を勉強させてもらっている感じはしております。

─ナニーになられる前のご経歴をお聞かせください

音楽大学で打楽器を専攻しておりまして、卒業後はプロの打楽器奏者として、オーケストラや吹奏楽団で演奏活動をしておりました。結婚を機に東京に出てきてからは、男の子と女の子、2人の子育てに専念しておりました。

息子が年中の時に近所の方から「ピアノを教えてほしい」と頼まれまして、「子連れで来てくださっていいですよ」とおっしゃるので、2人の子どもを連れてお宅に伺いました。私がレッスンをしている間、そちらのお母様がうちの子どもたちを見てくださるんです。レッスンが終わったら、みんなでお茶を飲んだり、遊んだりして。そんな感じでピアノの先生の仕事を始めまして、ありがたいことに口コミで「なんか面白い先生がいる」と広まり、今も継続してピアノを教えています。

生徒さんの中には、支援が必要な生徒さん、ダウン症や自閉スペクトラム症の生徒さんもいらっしゃいます。特別な配慮が必要とされるお子様の中に音楽や体操の教室を求めていらっしゃる方は多いのですが、そのようなお子様はなかなか先生が見つからないそうです。私は「生徒は選ばない」と決めていますので、来てくださったお子様は全員、ご縁があったと思ってお預かりしようと思っていまして

中にはレッスンが成立しないような、そもそも座ってくださらない生徒さんもいらっしゃいます。「この曲、弾いてみましょう」って言っても、「全然弾きたくない」って、気持ちがのらなかったり。

最初、私は障害のことを何も知らなかったので、そこから自分で書籍を読んだり、研修に参加したりして、お子様はもちろん、悩んでいらっしゃる保護者の方にも寄り添えるよう学んでいます。保護者の方の目はそのお子様に向いてしまうので、実はそのごきょうだいも複雑な気持ちを抱えていらっしゃって、ごきょうだいにもお声を掛けるようにしています。

もう本当に自分でできることを、コツコツとちょっとずつ、ちょっとずつなんですけど勉強しながら進めてまいりました。この学びが活かせるのであれば、これから歌や音楽も携えて、配慮が必要なお子様のお世話にも入りたいと思っています。

誠実に、いつも笑顔で、お気持ちに寄り添って

─数あるベビーシッター会社の中から、ポピンズナニーサービスを選んでくださったのはなぜですか?

お子様に関わる仕事がしたいなと思って「子どもと関わる仕事」で検索したら、一番最初に「ポピンズナニーサービス」が出てきたんです。読み進めるとなんだか良さそうで、週に1回、2回と少ない時間でも大丈夫そうだったので、私に向いているかも、と思い応募しました。始めてみて、とてもやりがいを感じています。本当に微力ながら、「働くお母様たちの力になれたら」と常々思っています。

─お世話のこだわりや、大切にしていることを教えてください

やはり音楽家なので、歌や音楽を取り入れたお世話をしています。今、伺っているお宅には小さなピアノがあって、一緒に歌ったりしています。感性豊かなお子様になっていただけたら嬉しいですね。

ナニーになって2年、スーパーナニーになってまだ1年と少しですが、お世話に入る上で大切にしていることは、一番は誠実であること。そしていつも笑顔でお世話に入ること。そして、お子様と保護者様のお気持ちに寄り添うことです。

できるだけ、自分ではなくて、相手の方の気持ちを考えることは意識しています。

お母様、お父様とお打ち合わせの際、お話の裏にある想いを汲み取るため、「それはどういうことかしら?」と思っても、まずは「はい、かしこまりました」と受け止めてから、「それは、こういうことでよろしいでしょうか?」と質問するようにしています。

すると、保護者様が「実はこういうことがありまして、今、とても心配していて、それでこれをお願いしました」というようなお気持ちをお話ししてくださるので、私も納得してお世話に臨むことができます。「こうした方がお子様にとってはいいのではないかな」と思うことも、できるだけお母様のお気持ちを汲み取って「それでは今日はこのようにさせていただきますね」というふうにさせていいただいています。

命を預かる仕事、スーパーナニーとしての覚悟

─思い出に残っているエピソードを教えてください

スーパーナニーになってすぐに入らせていただいたお子様のお話です。

初めてお世話に入らせていただいた日が産院から退院された次の日でした。ご両親様は以前に第一子のお子様を亡くされたご経験をお持ちとうかがっていたため、ご誕生されたお子様に初めてお会した時、胸がいっぱいになり、「本当に生まれてきてくださってありがとうございます」という気持ちで涙が溢れてしまいました。するとお父様が「一緒に喜んでくださってありがとうございます、嬉しいです」と言ってくださって。

しかしその後、「心臓に小さな穴が開いていることが分かりました。どんな小さなことでもすぐに報告してください」とのお父様の言葉に、一瞬にして感動から緊張へと変わりました。ミルクの吐き戻し一つにも「ああ、吐き戻させてしまった」と頭を抱えるほど、毎回が緊張の連続でした。

1ヶ月健診に行かれたお母様から「おかげさまで体重も順調に増えました。心臓も問題ないそうです。これもポピンズの皆さんのおかげです。ありがとうございました」という嬉しいお言葉をいただきまして。あの緊張の連続1ヶ月でお子様の命を預かる責任の重さをひしひしと感じ、ナニーとしてやっていく覚悟ができたような気がいたします

子育て経験が収入になるなんて! そして、次なる挑戦へ

―Mさんの包み込むような優しさはどこから来ているのでしょうか?

優しいかどうかはわかりませんが、小さな頃からよく泣いていた、と母から聞いておりまして。感動したり、感極まったりすると今でもすぐ泣くんです。

母がもともと音楽が大好きでクラシック音楽がいつも流れている家庭で育ちました。私自身も4歳からピアノを始めまして、やはり自分の感情を音楽にのせるなど、感情を表現することが自然と身についているのかもしれません。

―ピアノの先生とナニーさんのお仕事を両立されているMさん、これからの目標をお聞かせください。

今後はナニーのお仕事の幅を少しずつ広げたいなと思っております。

今、週 2回同じご家庭に伺っていますが、その間にピアノのレッスンが入っています。もう少し余力があるので、あと週に1回は新しいお宅に訪問したいなと思っています。今、興味があるのは、新生児さんです。新生児さんのお世話を極めたいなと思っておりまして。新生児ケアの研修も申し込みました。生まれたてのお子様は本当に純真無垢で、エネルギーの塊のようで、尊いですよね

─これから、ナニーを始めようかと考えている方にメッセージをお願いします

子育ての経験が収入になるって、本当にすごいことだなと仕事を始めた当初は思っていました。パソコンもできない、何の資格もない私が、今こうしてスーパーナニーとしてインタビューを受けさせていただいているなんて。

もし「私なんか…」と思っていらっしゃる主婦の方がいらっしゃったら、ぜひ思い切って飛び込んできていただけたらなと思います

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この記事を書いた人

ナニーメディア編集部
ナニー・ベビーシッターなど保育業界を目指す人のための情報メディア「ナニー メディア」編集部です。

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