すべてのキャリアが寄り添う力になる!経営者ナニーが語る、「お子様らしさ」を育む運動の重要性

ポピンズのナニーさんは様々な個性を持ち、幅広いご家庭のニーズに寄り添って下さっています。中でも凛とした姿勢と、親しみやすい笑顔を併せ持つSさんにナニーになるまでのキャリアを伺いました。百貨店、社長秘書、営業職、会社経営、スポーツインストラクターとさまざまなキャリアを歩んでこられた経験が、今、一つの無駄もなくナニーという仕事につながっていると語るSさんの素敵の秘密に迫ります。
すべては「働く女性」としての原点から
─ナニーになるまでのご経歴をお聞かせください
私のキャリアの原点は、百貨店です。働く女性としての「いろは」をすべて教えていただいたと思っています。計算課に配属されたのですが、受付をはじめとするお客様対応や、商品の包装、箱詰めなど、あらゆる業務を徹底的に学びました。ここで培ったホスピタリティの精神は、今のナニーの仕事でも大いに役立っています。
その後は総合職としてもっとバリバリ働きたいという思いが強くなり、国の仕事も手掛けるシンクタンクのコンサルタント部門に転職しました。当時はコンピュータはもちろん、ワープロすらない時代でしたから、字が綺麗という理由で採用されたと後から聞きました。そこでは受付から社長秘書になりました。頭脳明晰な方々を統括するのは大変でしたが、次第に営業の仕事も任されるようになり、当時は珍しかった女性営業マンとして全国を飛び回っていました。社長クラスの方との折衝も多く、アポイントメントの取り方から礼儀作法、契約の進め方など仕事とは何たるかを徹底的に叩き込まれました。
出産を機に退社した後は、子育てをしながらフラワーアーティストである妹と有限会社を立ち上げ、花屋の経営を始めました。私は長女なので社長として経営を担い、大手ホテルへ営業に出向き、ロビーや結婚式を彩る花を受注してきました。ここでも、前職で培ったスキルがすべて活かされたと思います。コロナを機に店舗は閉じ、最近では御贔屓様からのご依頼のみに一つ一つ丁寧にお応えしています。
そして、私にとって最も大きな転機となったのが、娘の誕生です。小さく産まれたのでか弱くて心配したのですが、主人がすぐにベビースイミングのスクールを決めてきたんです。それから娘はプール漬けで、体力や運動能力を伸ばすことに注力したのですが、それが精神面でも、学力的でもプラスになったと感じています。娘の子育てを通して思うのは小学校の2年生くらいまでに運動能力を高めることが大切であるという事。きちんと座ってお話しを聞くにも体力が必要ですから。
この経験から私は運動の大切さを痛感し、公共施設のスポーツジムで運動指導の仕事も始め、現在も行っています。ホスピタリティを活かして高齢者の指導と、子育て経験を活かしてお子様の指導も受け持っています。もちろんナニーのお仕事にも運動を取り入れています。
─多彩な経験を持たれる中で、ナニーのお仕事を選ばれたのはなぜですか?
正直に言うと、まさか自分がナニーになるなんて、まったく思っていませんでした。子育て経験はあっても、お子様のお世話をする仕事に就くことは考えていなかったんです。でも、ある時SNSに流れてきた求人広告に目が留まりました。ナニーさんがお子様とのやり取りの中でキラキラと輝いていらっしゃって。「ああ、こういうお仕事なんだ」「私にもできるかもしれない」と思い、応募しました。
ちょうど両親の介護を経験したことで培った様々なノウハウが、ナニーの仕事で活かせるのではないかと感じたことも大きな理由です。相手に寄り添い、心を汲み取る姿勢は、今、お子様だけでなく、お忙しいご家庭をサポートする上で役立っています。
成長期のお子様に大切なのは運動・食事・睡眠

▲小学校低学年のお子様と自然の中や公園を利用した坂道ダッシュやかけっこのスタートダッシュのトレーニング風景
─ナニーのお仕事で大切にしていることは何ですか?
成長期のお子様をお預かりするという大前提のもと、お子様の成長によりそう気持ち、そしてお子様の目線に合ったケアを、ホスピタリティ溢れる気持ちで行うことを大切にしています。また、保護者様との信頼関係を築き、親代わりとして対応させていただいています。
─ご自身の様々な経験がナニーの仕事に活かされていると感じるエピソードはありますか?
ある日、お子さまから「お母さんって呼んでいい?」と尋ねられたことがあります。「いいえ、あなたのお母様はあちらにいらっしゃる、ただお一人でございますよ」とお伝えしました。
でも、もう私はお婆ちゃまの年齢なので、「お婆ママにはなってあげられるわよ」とお答えしました。するとお子様が目を輝かせて「お婆ママって呼んでいい?」と聞いてくださり、「どうぞ」と。とても喜んでいただいた経験があります。
また、長期的にお世話をさせていただいているご家庭では、ある日2歳のお子様が熱を出されて、ご機嫌も悪く大泣きをされていました。お父様もお母さまもお仕事と看病で疲れ果てていらっしゃって。私が伺い、お子様を抱っこしてあやし始めたら、すぐに安心した顔をされて遊び始められたことがありました。お母さまもその様子を見て安心されて「仕事に戻ります」って。実はこれ、よくあるんです。お母様からは「Sさんはお医者さまのようですね。来てくださるだけで、すぐにうちの子、具合も機嫌もよくなるのよね」と言っていただいた時は本当に嬉しかったです。
ナニーという仕事を通して、私は時として「お婆ママ」になったり、お医者様になったり、運動やお勉強の先生になったり、様々な仮面をあわせ持ち、楽しくお子様の成長を見守ることができています。これから大人に向けて成長していくお子様のパワーっていうものはものすごいパワーなんですね。ですから、私が逆にそのパワーをいただきながら、お子様をお世話していくっていう感じで、とてもやりがいがあります。
お子様の成長には運動と食事と睡眠が大切だと考えています。中でも私は得意な運動を活かしたお世話をさせていただいています。保護者様も同じ教育方針でいらっしゃるので、信頼関係を築きやすいと感じています。
現在、伺っているご家庭では、毎週土曜日に朝8時間から夕方6時まで、運動中心のお世話を行っています。近くにとっておきの公園があって、小川が流れているんです。夏には水の中に入り、足上げ運動したり、ジャンプしたり。岩登りや坂道ダッシュができる場所もあるので、自然の中で、足の使い方や体幹を鍛えることができます。
私は坂を見るとダッシュしたくなるんです。お子様には「それ、思いつきでやってるでしょう」と言われるんですけど、「その工夫がすごいでしょ?」って。お子様にアドバイスをもらったら「それナイスアイデア! じゃあそれをやろう!」って。楽しく遊びながら、運動能力を伸ばすことを心がけています。かけっこや鉄棒、縄跳び、ボール運動、プールの泳ぎ方まで、運動に関することなら何でも対応できます。自転車乗りもすぐできますよ。
―ご自身の健康維持のために取り組まれていることがあれば教えて下さい
まず、自分自身の身体が健康でなければ、お子さまを成長させてあげることができないので、時間があれば、私もトレーニングを日々積み重ねております。なかでも今、身体の歪みを治して、正しい動きの癖を身につけるストレッチワークに力を注いでいます。私たちはすぐに結果を求めがちですが、まず体を「緩め」、そして「巡らせ」、最後に「整える」という順序が大切です。お忙しいお父様・お母にはまず身体も心も「緩めて」いただきたいですね。そしてお子様には、体の中心軸をしっかり作ることの重要性を、遊びを通してお伝えしていきたいです。
「お子様らしさ」を育むナニーとして。次の世代への想い

─今後の目標を教えてください
第一に、子どもらしく育ってほしいという想いがあります。小学校に入るまでの時期は、心と身体の黄金期です。この大切な成長期にお子様らしいことをたくさん経験していただきたいです。足の裏からエネルギーが入ってくると言われるように、体を動かすことが何よりも重要です。食事、睡眠、そして運動。この基本を大事にしていただきたい。お父様・お母様がお忙しいのであれば、ナニーとしてお手伝いさせていただきたいと思っています。
ベビーシッターではなく、ナニーという仕事は、お父様・お母様と一緒に、しつけ、教育、健康、お子様のすべてを安全にお守りするものです。保護者様の信頼を勝ち得て、すべて「お任せ」していただけるくらいのプロフェッショナルになりたい。これまでのすべての経験と知識を網羅して、「あの手この手」を使って臨機応変に対応し、お子様だけでなく保護者様をも巻き込んで、お子様の成長につなげていきたいと思っています。
お客様から絶大な信頼を集めるSさんのお仕事には多様なキャリアと経験からくるプロフェッショナリズムがありました。ナニーの仕事は、単なる子育て支援ではありません。あなたの持つ個性やスキル、子育てのノウハウを存分に活かせる、可能性に満ちたお仕事です。あなたのキャリアや子育て経験も、ご家庭に喜ばれる素晴らしい力になるはずです。
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この記事を書いた人

- ナニーメディア編集部
- ナニー・ベビーシッターなど保育業界を目指す人のための情報メディア「ナニー メディア」編集部です。