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パート保育士の働き方や給与について詳しく解説

2024.09.27
  • 保育士
  • 職種・働き方

保育士には、さまざまな働き方があります。自分の希望に合わせて働き方を選べるため、資格さえ持っていればライフステージが変化しても長く続けられる仕事です。中でも、担任を持たず決まった曜日・時間だけ働くパート保育士は、仕事とプライベートを両立しやすいという特徴があります。

そこでこの記事では、パート保育士の働き方や給与について詳しく解説します。

パート保育士とは?

保育園で働く保育士の雇用形態には、正職員やパート、臨時、契約、派遣などがあります。その中でも、時間制で働く非正規雇用の保育士のことを「パート保育士」と呼びます。

自由に働く時間を選べるパート勤務は、出産・育児が落ち着いた保育士に人気の働き方です。厚生労働省の資料によると、過去に保育士として働いていた人(配偶者・子どもあり)の中で、約8割が時間単位勤務での復職を希望しています(※)。

しかし、問題は仕事内容です。自分に合った時間を選べるとはいえ、仕事内容が大変だと家庭との両立に負担がかかってしまいます。そこでまずは、パート保育士の働き方について詳しく解説します。

※厚生労働省:保育士の現状と主な取組 p.27

https://www.mhlw.go.jp/content/11907000/000661531.pdf

主な仕事内容

フルタイムで働く正職員とは異なり、パート保育士はそれぞれの家庭の状況に合わせて時間を選びながら働いています。中には、時間制ではあるものの、勤務自体は8:30~17:00のフルタイムという働き方もあります。

正職員の場合は早番・遅番があるため、あえて固定シフトで働けるパート保育士を選ぶ人もいます。パート保育士の仕事内容は、以下のようにシフトに入る時間によって違いがあります。

時間仕事内容
6:00~9:00早朝パートとも呼ばれるこの時間帯は、登園してきた子どもたちの保育を担当します。担任保育士に保護者からの伝言を伝えたり、朝のおやつを準備したりすることもあります。
8:00~13:00午前の保育に入るパート保育士は、設定保育(お散歩や製作など)での正職員の補助を行います。そして、給食の補助から寝かしつけをするまでが午前パートの役割です。
12:00~17:00午後の保育に入るパート保育士は、正職員が休憩に入っている間の交代要員としてクラスに入ります。子どもたちの午睡中は、行事の準備など正職員から指示された業務を行います。
16:00~19:00早番の正職員が退勤して手薄になる夕方も、パート保育士が活躍します。延長保育に入ったり、保育室を清掃・消毒したりします。

あくまで一例ですが、パート保育士の仕事は正職員の補助が基本です。具体的には、正職員が子どもたちにお着替えを呼びかけると、パート保育士は着替えがうまくいかない子どもの側でフォローに入ります。

先に立ち保育を進めるのが正職員、後ろからクラス全体を見守るのがパート保育士といったイメージです。フォローに入るクラスを特定せず、時間によって手が足りていないクラスを移動しながら保育することもあります。

正職員とパートの働き方の違い

パート保育士を正職員と比較すると、以下のような違いがあります。

  • 担任を受け持つことがない
  • 保育園行事の担当がない
  • 保護者対応が少ない
  • 保育計画などの事務作業がない
  • 職員会議への参加がない

もちろん、パート保育士が担う仕事は保育園によって違います。正職員を筆頭に、パート保育士が複数担任として名を連ねることもあります。正職員が休みの日には代わりに保育を進めるなど、仕事内容が正職員と変わらず負担が大きいというケースも少なくありません。

中には、正職員よりも保育歴が長いパート保育士が指導係になることもあるでしょう。責任のある業務を避けるためにパート保育士になった場合でも、経験者として頼りにされてしまうことがあるため、注意が必要です。反対に、正職員は保育、パート保育士は雑務と業務をわけられてしまい、子どもと触れ合う機会が少なく物足りなさを感じる場合もあります。

パート保育士の給与や休日事情

パート保育士は、正職員とは働き方が異なるため給与や休日などの待遇に大きな違いがあります。ここからは、パート保育士の給与や休日事情を解説していきます。

パート保育士の一般的な給与形態

パート保育士の給与形態は、働いた分だけ収入になる「時給制」が一般的です。相場は最低賃金~1,500円程度で、中には時給1,800円の求人もあります。時給は働く地域や保育園によって違いがあります。

また、人が集まりにくい早朝や夕方のパートは時給が高くなる傾向にあるようです。自身が働きたいと思っている地域の保育園が、どのくらいの時給で求人を出しているか知っておくことも大切です。

ボーナスは出る?

パート保育士へのボーナスは、支給されないのが一般的です。しかし、保育園によっては寸志程度が支給されることもあります。また、保育士不足のため、辞めずに長く働いてほしいという思いから「勤務1年経過後にボーナスを支給」などの条件を設けている保育園も少なくありません。

長く働いても、正職員のように給料が大きく上がることはないため、収入が気になる場合は時給やボーナスの有無を確認して保育園を選びましょう。

有給休暇は付与される?

パート保育士でも、以下のような条件を満たす場合は有給休暇が支給されます。

  • 雇い入れの日から6カ月経過していること
  • その期間の全労働日の8割以上出勤したこと

条件を満たしているパート保育士は、勤務から6カ月で有給休暇が付与されます(※)。

働く日数が少ないパート保育士にも付与されますが、週の労働日数に合わせて、フルタイムよりも少なく比例的に決められます。

自身や家族の体調が悪いなど、どうしても勤務できないときに、収入を気にせず休める環境が整っていることが大切です。

※厚生労働省:労働基準情報:FAQ (よくある質問) - 労働基準行政全般に関するQ&A

https://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/faq_kijyungyosei06.html

やりがいはある?パート保育士として働くメリット・デメリット

担任保育士というやりがいを感じながら、安定した働き方ができる正職員。そして、ライフスタイルに合わせた、柔軟な働き方が魅力的なパート保育士。どちらにもメリット・デメリットがあります。

 メリットデメリット
正職員●担任を持ち保育士としてのやりがいを感じられる
●設定保育などを自分で考え理想の保育を実現できる
●月給制&ボーナスで収入が安定している●昇給や昇進がありスキルアップを目指せる
●責任が大きいため業務範囲が広い    
●クラスを受け持った場合、自身の都合だけで多く休みを取得することがしづらくなる    
●クラスの進級の兼ね合いで年度途中の退職はしづらい               
パート●任される担当範囲が限られているため、業務負担が少ない
●収入を調整することで、扶養範囲内での勤務も可能        
●ライフスタイルに合わせて勤務時間を選ぶことができる                             
●子どもとの関わり方が担任と比較するとやや限定的になるため、やりがいを感じづらいこともある          
●時給制・シフト制で収入が不安定になることもある
●ボーナスがないことが多い               

業務の担当範囲が限られていることを「やりがいがない」と感じるか「負担がなくて働きやすい」と感じるかは、人それぞれです。働き始めてからミスマッチが起きないよう、自分が何を重視するか考えてみることが大切です。

ここからは、パート保育士として働くことをよりリアルに想像できるよう、パート保育士として働くメリット・デメリットを詳しく解説していきます。

メリット1:業務負担が少ない

パート保育士は、正職員と比べると業務負担が軽減されます。例えば、各種保育計画の作成などの負担が減るでしょう。正職員に依頼されて設定保育の準備や行事に必要な製作を行うことはありますが、パート保育士が主となって動くことがないため心的負担も少ないと考えられます。

メリット2:扶養範囲内で働ける

短時間パートの場合は扶養範囲内で働けるというメリットがあります。配偶者の勤務先からの扶養手当などを考え、扶養内がよいと考えている人におすすめの働き方です。

反対に、社会保険に加入したいと思う場合は、保育園側と相談してフルタイムパートへ移行できます。働く時間を調整しながら、扶養範囲内で収まるかどうか検討できるのもパート保育士ならではです。

メリット3:勤務時間を調整しやすい

正職員と比べ、パート保育士は勤務時間を調整しやすい傾向があります。責任のある仕事が少ないこともあり「お昼までの勤務」「夕方のみの勤務」など、子育てや介護など家庭の事情を考慮してもらいやすいでしょう。

例えば、小学生のお子様を子育て中の方は、お子様が登校するのを見送り、下校の際には家で帰宅を待っていたいなどのお気持ちがあるかもしれません。そういった場合は9:00~13:00といったシフトが希望になると思いますが、パート保育士であればその働き方が叶えられるかもしれません。正職員のように、早番や遅番がないのも大きなメリットの一つです。

デメリット1:やりがいを感じづらいことがある

パート保育士は働きやすい環境が整っている反面、担任を受け持たないことも多く、正職員と比べると子どもと接する時間が少なくなる場合があります。

また、日によって担当するクラスが変わる場合もあり、特定の子どもたちとじっくり長期的に関わりたいと思っている方は、やりがいを感じづらい場合もあるかもしれません。          

とはいえ、 関わる時間がまったくないというケースは少ないので、むしろ多くのお子様と関わることに喜びを感じることができることもあるでしょう。    

デメリット2:収入が不安定になることがある

パート保育士は時給制で、勤務時間はシフト制で勤務することが多いでしょう。シフト制の場合、他のスタッフや保育園のスケジュール、ご自身の事情によって勤務時間の増減が発生する可能性もあります。固定給とは異なり、ご自身で希望通りの収入が得られるかどうかは、シフトの影響もあるということも念頭においておけるとよいでしょう。    

もちろん、この点は有給休暇が付与されているようであれば利用することができる場合もあるので、ご自身の勤務時間や有給休暇の有無などについて確認することも大切です。

デメリット3:ボーナスがないことが多い

先述したとおり、パート保育士のボーナスはあまり期待できません。月給制でボーナスのある正職員と比べると、年収に大きな差が出てしまいます。働くにあたり収入を重要視する人にとっては、大きなデメリットになります。

保育園だけではない!保育士経験を活かせるパート先

保育士資格を活かしながらパートで働く選択肢は保育園の保育補助だけではありません。

みなさんは認可保育所の一つである居宅訪問型保育をご存じでしょうか?

居宅訪問型保育とは、職員配置が子ども1人につき保育者1人、職員の資格が保育士または保育士と同等以上の知識や経験があると市町村長が認める者という基準の認可保育所です。先生が自宅に来てくれる「おうち保育園」などとも呼ばれます。

いわゆるベビーシッターと似ているお仕事ですが、「私的保育」と「公的保育」の違いがあります。

「私的保育」であるベビーシッターは、会社により行う範囲やサービス内容が異なりますが、基本的には『保護者のやってほしいことの代わりを務める』側面が強くあります。

一方「公的保育」となる居宅訪問型保育は、保育内容は「保育所保育指針」に沿った内容で進めることが基本となり、「食事づくり」や「お掃除」といった家事全般は、対応しません。

また数人で1家庭を担当するのでシフト調整のしやすさ・扶養範囲内での勤務可能などのメリットはもちろん、一人ひとりの子どもと丁寧に関わることができ、しっかりとやりがいを感じることができるでしょう。

是非キャリア選択の一つとして考えてみてください。

まとめ

自分に合った勤務時間を選べるパート保育士は、子育てや介護などプライベートが忙しい人におすすめの働き方です。どのような仕事内容か、求人をよく確認して自分に合った保育園を選びましょう。

また、これまでの保育経験を活かせるパート先にはどんな選択肢があるのか、視野も広げられると良いですね。

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この記事を書いた人

山本彩香
1988年生まれ|四年制大学で児童学を学び、幼稚園教諭一種免許と保育士資格を取得。卒業後は、児童館や保育園などで保育士として約10年の勤務経験があります。 妊娠・出産を期に、現在は保育系ライターとしてさまざまなメディアで執筆中。保育士と2児の子育て経験により、保育園側と保護者側の視点に立った「共感できる文章」を得意としています。

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