ナニーだからできる小学校受験サポート
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「うちの子、小学校受験を考えていて……」
お母さまからそんなご相談をいただくことが、最近少しずつ増えてきました。
私はポピンズのナニーとして、日々ご家庭の中でお子さまの成長をサポートしていますが、小学校受験のような大きな節目に関わる機会は、やりがいを感じる瞬間のひとつでもあります。「ナニーにそこまでしてもらえるなんて」と驚かれることもありますが、ナニーというお仕事は、単なる“お預かり”ではありません。ご家庭の価値観に寄り添いながら、お子さまの発達やご両親の思いをつなぐ、大切な“伴走者”なのです。
今回は、現役ナニーの私が、小学校受験をサポートする中で感じたやりがいや、ナニーだからこそできることについてお話ししてみたいと思います。
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お子さまの「日常」を知っている強み
小学校受験では、ペーパー問題や面接、行動観察など、さまざまな対策が必要になります。ですが、いちばん大切なのは、その子らしさが自然に表れること。つまり、特別なスキルではなく、毎日の生活の積み重ねがものを言う世界でもあるのです。
ナニーは日々、お子さまと密に関わりながら、一緒に遊び、食事をし、身の回りのことをサポートします。だからこそ、その子の「素の姿」や「ちょっと苦手なこと」「すごく頑張っていること」を、よく知っているのです。
たとえば、お話することが大好きなお子さまであれば、志望校の面接に向けて「お返事の練習」や「自分のことを話す練習」を、遊びの中に取り入れて自然な形でサポートします。
反対に、人前で話すのが苦手なお子さまの場合には、無理に練習を詰め込むのではなく、まずはナニーとの1対1のやり取りの中で、少しずつ「話す楽しさ」や「伝わる喜び」を育てていく。そうした丁寧なアプローチができるのも、日常の中で関われるナニーならではだと思います。
自身の経験を活かしたサポート

実は私自身も、子どもたちの幼稚園や小学校の受験を経験してきました。
当時は、情報に振り回されそうになったこともありましたが、いま振り返って「本当にやってよかった」と思うことがあります。それは、「この子はどういう子で、どんなふうに育ってほしいのか」を夫婦でたくさん話し合えたこと。
悩みながら何度も話すうちに、私たちなりの“家庭の方針”が自然と見えてきました。
それがあったからこそ、「だからこの子にはこういう環境がいいのではないか」と納得して学校を選ぶことができましたし、結果として、子どもだけでなく、私たち親自身も大きく成長できたと感じています。
この経験があるからこそ、いまナニーとしてご家庭の受験サポートをする際にも、「そのご家庭らしさ」や「お子さまにとっての最適な環境とは何か」を一緒に考える視点を大切にしています。
ご両親がじっくり向き合って考えた“思い”に、そっと寄り添いながらお手伝いできることに、心からやりがいを感じています。
お教室への送迎も、大切なサポートのひとつ
小学校受験を考えるご家庭では、専門のお教室に通われることが多くあります。そうしたお教室への送迎を担当させていただくことも、サポートの大切な一部です。
お教室の時間に遅れず、安全に送り迎えをするのは、もちろん基本のき。けれどナニーとしては、それだけにとどまりません。
送り迎えの際には、先生からのお話にしっかり耳を傾けます。お子さまのその日の様子や、取り組みの中での成長・課題など、ちょっとした講評でも聞き逃さないように、必ずメモをとります。
「今日は集中力がありましたよ」
「少し緊張している様子が見られました」
そんな一言の中に、日々のサポートに活かせるヒントがたくさん詰まっているからです。
そして、その日の講評は、必ずご両親に丁寧にお伝えします。
「先生がこうおっしゃっていました」と、必要に応じてナニーとして感じたことも添えながら、安心して受験に臨んでいただけるよう、橋渡しの役割を担っています。
講評を“暮らしの中”でそっと反映させる
先生から伺ったお子さまの様子や課題を、ただ報告して終わりにするのではなく、日々のお世話の中にさりげなく反映させていくこと。
これもまた、ナニーだからこそできることだと感じています。
たとえば、「少し姿勢が崩れやすいですね」とのご指摘があったときには、絵本を読むときの座り方や、食事のときの姿勢など、暮らしの中で自然に意識できるように声がけをします。「背筋をピーンとして、かっこいいね」と楽しく伝えながら、プレッシャーをかけすぎないように気を配るのがポイントです。
また、「自分の気持ちを言葉で伝える練習をしましょう」とアドバイスがあったときには、おままごと遊びの中で「どっちがいい?」「なんでそう思ったの?」と問いかけて、言葉を引き出すように工夫します。
こうした関わり方は、ナニーが毎日の生活の中でお子さまに寄り添っているからこそできる、自然で負担のないサポートです。気づけば「できるようになった」が増えていく。そんな成長の積み重ねが、受験本番への自信にもつながっていくのです。
ご両親の心の支えにも
小学校受験は、お子さまにとってだけでなく、ご両親にとっても大きなチャレンジです。どんなに頑張っていても、不安や焦りが出てくるのは当然のこと。そのときに、ナニーがそばにいることで、少しでも気持ちが軽くなることがあれば……と、私はいつも思っています。
「今日はこんなことがありましたよ」と、日々の小さな成長を共有したり、「最近ちょっとお疲れかもしれませんね」と、さりげなくお声がけしたり。そうした何気ない関わりが、ご家庭の安心感につながるのではないでしょうか。
ときには、お母さまやお父さまがポロリと本音をこぼしてくださることもあります。「本当は、無理をさせたくないんです」「でも、できることはしてあげたいから……」。そんなとき、ナニーはご両親の気持ちに寄り添いながら、いっしょに考えていく存在でありたいと思っています。
成長のそばで見届けられるよろこび
受験の結果がどうであれ、その過程でお子さまが見せてくれる成長には、本当に心を打たれます。
「ひとりでお着替えできた!」「前は泣いてたけど、今日はがんばった!」
そんな小さな一歩を、私はいくつも見てきました。そしてそのたびに、「ナニーという仕事をしていてよかった」と、心から感じます。
お子さまが自信をもって本番に臨む姿を見届けたとき、ご両親が「ありがとう」と言ってくださったとき――そのどれもが、私にとっての宝物です。
最後に:これからナニーを目指す方へ

小学校受験のサポートは、決して「特別なスキルがないとできない」ものではありません。むしろ、お子さまやご家庭に丁寧に向き合い、日々を一緒に過ごすことができるナニーだからこそ、できることがたくさんあります。
小さな気づきを大切にしながら、お子さまと一緒に悩んだり、喜んだり。そんな毎日を通じて、いつのまにか「受験サポート」になっている。
それが、ナニーというお仕事の魅力だと私は思っています。
もし、誰かの「大切な日常」に関わることに喜びを感じられる方がいたら――きっとナニーとして素敵な活躍ができるはずです。ご家庭に寄り添い、お子さまの可能性を信じて、一緒に歩んでいく。そんなナニーの仲間が、これからもっと増えていったら嬉しいです。
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この記事を書いた人

- ポピンズはなこ
- 現役のスーパーナニーとして、日々さまざまなお子様とご家庭に寄り添っています。 3人の子どもを育てあげ、子育てがひと段落した頃、「今度は自分の好きなことを仕事にしたい」とナニーの道へ。 より深くお子様と関わるために保育士資格も取得しました。 お子様の笑顔に励まされながら、今日も心をこめてナニーのお仕事に向き合っています。