夏の公園で気をつけたい!看護師ナニーが教える応急ケアと備え-打撲・擦り傷・虫刺され・遊具やけどのケア方法は?
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監修:医学博士、東京都市大学人間科学部特任教授
元聖路加国際病院小児科医長 草川 功先生
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はじめに
夏休みが始まると、子どもたちは思いきり外で体を動かしたくなります。いつもの公園だけでなく、新しい場所へ行く機会も増えるため、ケガや皮膚のトラブル、虫刺されなどのアクシデントも起こりやすくなります。
「転んで血が出た」「頭をぶつけた」「刺されたところがどんどん腫れてきた」
そんな場面に出くわすのは、ご家族やナニーにとっても珍しいことではありません。だからこそ、正しい応急対応を知っておくだけでも、いざというときに慌てず落ち着いて対処する力になります。
最近では、「消毒しないほうがよい」「冷却時間は○分だけ」など、昔とは異なる考え方も増えています。この記事では、夏の外遊びで特に気をつけたいトラブルとその対応を、看護師ナニーの視点で解説します。
公園・道路・遊具で多いケガと応急対応
擦り傷・切り傷
よくあるシーン
- 走って転倒
- 自転車やストライダーで転ぶ
- 石やアスファルトで擦る
応急処置
- まずは流水でしっかりと洗い流す
- 出血が止まりにくいときは清潔なタオル等で圧迫
- 消毒液は使わず、必要であれば絆創膏やパッドなどで保護
※ポピンズナニーサービスでは絆創膏の使用も保護者様に確認の上、行っております。
ポイント
土や砂がつきやすいため、特に“洗い流すこと”が大切です。出血が止まらない、傷口に異物が残り、感染を起こしやすいときは早めに受診しましょう※。
打撲・捻挫
そもそも「打撲」「捻挫」って?
打撲:転倒や衝突などで、筋肉や皮下組織が損傷し、内出血や腫れ、痛みが出る状態
捻挫:関節に過度な力がかかり、靭帯や関節周囲の組織が伸びたり切れたりした状態。腫れや痛み、動かしにくさが特徴
頭部打撲:転倒や転落などで頭をぶつけた状態。腫れやたんこぶ、痛みだけでなく、稀に脳への影響が出ることもあるため、慎重な観察が必要
よくあるシーン
- ブランコから落ちた
- 鬼ごっこやボール遊びでの接触
- スポーツでジャンプや走行中に転倒
- 遊具の柱に頭をぶつける
応急処置
- 無理に動かさず安静を保つ
- 保冷剤があればタオルに包んで患部を冷却(冷却しすぎに注意しましょう)
冷たいペットボトルでも代用可 - ベンチなどで横になり、患部(足首など)を心臓より高い位置に保つ
頭部打撲の時に特に注意をすること
- 意識があるか、話しかけたときの反応を確認
- こぶがある場合は冷却しつつ、顔色・機嫌・視線・吐き気・ぼんやりした様子などを観察
- 嘔吐もしくは、ぼーっとしている・ぐったりしているなどの症状があれば、すぐに受診を※
- 軽症でも24時間は様子を見るようにし、異変があれば医療機関へ※
見極めと受診の目安
- 痛みが強い
- 腫れが急激に広がる
- 関節が不自然な角度
- 立てない、歩けない
- しびれ、感覚が鈍い
→ このような場合は骨折の可能性も。整形外科を早めに受診しましょう※
- 頭を打った後にぼんやりしている、嘔吐、顔色が悪い
→このような場合は骨折や脳への影響の可能性も。脳神経外科あるいは整形外科を早めに受診しましょう※
応急処置の基本「RICE処置」
打撲や捻挫の初期対応では、以下の4つを意識すると患部の回復が早まります
・R(Rest)=安静
動かすと悪化するため、できるだけ動かさないように
・I(Ice)=冷却
患部を氷嚢や保冷剤で冷やします(15〜20分目安)
・C(Compression)=圧迫
包帯やタオルで軽く圧迫。きつく巻きすぎないよう注意
・E(Elevation)=挙上
患部を心臓より高く上げ、腫れを抑える(クッションを使ってもOKです)
※「RICE処置」に関しては、近年、安静のし過ぎ、冷却のし過ぎがマイナスになるとの指摘があるため注意が必要です。
鼻血
よくあるシーン
- 転んで顔をぶつけた
- 鼻を強くかんだ
- 暑さで血管が拡張しやすくなる
応急処置
- お子さまを椅子やベンチに座らせ、リラックスさせる
- 頭をやや前に傾け、小鼻の柔らかい部分を5〜10分つまんで圧迫
- 血が喉に流れ込まないよう、上を向かせたり仰向けに寝かせたりしない
- 口に血が入った場合は飲まずに吐き出させる
NGな対応
- こよりを鼻に入れる(粘膜を傷つけ、異物が残る可能性があります)
- 首を後ろにそらす(喉に血が流れてしまいます)
- 氷で鼻を冷やすのは基本的に不要(圧迫が主な対応です)
猛暑で増加中!遊具やベンチでのやけど

予防策
- 遊具やベンチは、手で触れて熱さを確認してから使わせる
- なるべく朝や夕方の涼しい時間帯に遊ぶ
- 帽子や長ズボンで肌を保護する
やけどしたら
- すぐに流水で10〜15分ほど冷やす(氷水は刺激が強いためNG)
- 衣類の上からであれば、無理に脱がずにそのまま冷却
- 水ぶくれは破かない
- 赤みやヒリヒリだけでも、念のため受診を検討※
受診をすすめるケース
- 水ぶくれが大きい or 複数ある
- 痛みが強く長く続く
- 白っぽい、感覚が鈍い
- 顔・陰部などデリケートな場所にやけど
- やけど面積が手のひら2枚分以上
※ポピンズナニーサービスでは環境省が推奨する「暑さ指数」を外遊びの一つの基準としています。
■暑さ指数35以上、または熱中症特別警戒アラート発令時
原則として、室内のみでの活動とさせていただきます
■暑さ指数28以上、または熱中症警戒アラート発令時
原則として、長時間や日陰のない場所でのお外遊びは控えさせていただきます
ナニーは日々のお世話において、プロの保育者としての専門的な視点と、お子様への深い配慮が欠かせません。「暑さ指数(WBGT)」や「熱中症警戒アラート」に常に敏感でいることが大切になっています。
「暑さ指数」は、環境省の「熱中症予防情報サイト」などで確認できます。
虫刺され・皮膚のトラブル
虫刺され
主な虫と症状
- 蚊:赤みと痒みが数日続く
- ブユ:数時間後に強く腫れ、痛みや熱を持つ
- ノミ:小さな赤いポツポツが多発
- 毛虫・チャドクガ:触れるだけで赤い発疹が多数できる
- ハチ:激痛と腫れ。まれにアナフィラキシー症状
予防法
- 虫除けスプレーは「ディート」「イカリジン」配合を選ぶ
- 対象年齢と濃度を確認(乳幼児は注意)
- 爪を短くして引っ掻きによる「とびひ」も予防
- 長袖、長ズボンなどを着用し、肌の露出部分を少なくする。
刺されたら
・流水でよく洗い、冷やす
・腫れや痒みがあれば保冷剤などで冷却
・ハチ・ムカデなどで全身症状(発疹、呼吸困難など)があれば救急対応※
看護師ナニー実践 外遊びの持ち物リスト(応急対応に役立つもの)
外遊びやお出かけ時には、万が一に備えて必要最低限の応急処置グッズを持っておくと安心です。とはいえ、全てをナニーが個人で持参する必要はありません。外出前にご家族と持ち物について相談し、必要なものはご家庭で用意してくださる場合もあります。「どんな状況を想定しているか」「何が必要そうか」を一緒に確認しておくことは、お互いにとって安全です。以下は、実際に外遊びの際に役立つことの多いアイテムの例です。
・保冷剤(小さめ)
ちょっとした打撲や捻挫、虫刺されの冷却に。タオルで包んで優しく当てられるサイズを選んでいます。
・タオル、ウェットティッシュ
汚れた手を拭いたり、汗をこまめに拭いたり。傷口を洗った後の水分を拭き取るときにも活躍をします。
・絆創膏、ガーゼ
擦り傷やちょっとした切り傷に。お子様に使用する場合はご家族に確認をした上で貼ります。
・ミニボトルの水(飲用兼、傷口洗浄)
熱中症予防の水分補給はもちろん、転んでできた擦り傷をその場で洗い流すときにも便利です。
・虫除けスプレー、日焼け止め
お子様の肌に直接使える対応を選びます。使用前には必ずご家族の意向を確認します。
・ハンカチ、帽子
帽子は熱中症対策に、ハンカチは汗を拭くだけでなく、ケガの応急処置に活用できることがあります。
いざというときは「#8000」やナニー会社へ

様子がおかしい、頭をぶつけた、刺されたあと苦しそう——そんなときは迷わず「#8000(小児救急電話)」やかかりつけ医へ。
※ナニーの場合は、いかなる異変でも必ず速やかに会社へ報告・相談しましょう。
看護師ナニーより:応急処置はアップデートが大事
「昔はこう言われていたけど…」という応急処置の中には、実はすでに更新されているものも多くあります。
たとえば火傷をしたとき、以前は「すぐに薬を塗る」と教わることが一般的でしたが、今では「まずは流水で10〜15分しっかり冷やす」が基本です。
また、ハチに刺された際も、かつては「毒を口で吸い出す」といった対応が広く知られていましたが、現在は口で吸わず、まず流水で洗い流すことが推奨されています。
こうした変化を知り、家族やナニー同士で日頃から共有しておくことで、いざというときにより適切な対応ができ、お子さまの安全を守る力につながります。
正しい知識と備えで、夏の外遊びを楽しんでくださいね。
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この記事を書いた人

- Naoka
- 看護師、保育士、養護教諭の資格を持つナニーとして活動しています。これまで保育園や小学校、放課後デイサービスなど、さまざまな現場で経験を積んできました。現在ナニーのお仕事をしながら、療育施設にて自閉症スペクトラム症のお子さまたちの支援に取り組んでいます。