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ナニーが押さえておきたい、2025-26年冬・予防接種の最新事情

2025.11.27

監修:医学博士、東京都市大学人間科学部特任教授
元聖路加国際病院小児科医長 草川 功先生

家庭に寄り添い、子どもの健康を守るプロとして知っておきたいこと

お子様の健康を守るための予防接種。
特にナニーとして働く上では、最新の情報を知り、保護者の方に寄り添ったサポートを提供することが求められます。

「最新の変更点はあるのかな?」「保護者の方に尋ねられたらどう伝えたらいいだろう?」と感じることもあるかもしれません。

この記事では、看護師資格を持つ現役ナニーが、保育に携わるプロとして知っておきたい予防接種の最新情報や副反応への考え方、接種スケジュールのサポート方法をわかりやすくまとめました。

2024年導入「五種混合ワクチン」:接種回数が減り、赤ちゃんと保護者の負担が軽減

2024年度から、これまでの「四種混合ワクチン(DPT-IPV)」にヒブ(Hib)ワクチンが加わり、五種混合(DPT-IPV-Hib)として定期接種になりました。

ナニー視点のメリット

  • 注射の回数が減り、接種スケジュールがよりスムーズに
    • 赤ちゃんの負担が減るだけでなく、保護者のスケジューリングの負担も軽減されます。
  • 接種日の体調管理の重要性がアップ
    • 一回の接種でカバーできる病気が増えた分、当日の体調不良などで接種が延期すると全体スケジュールへの影響が大きくなります。接種日までの体調管理がさらに重要となるため、ナニーにはきめ細やかなサポートが求められます。

接種スケジュールの目安(ナニーが把握しておきたい基本)

五種混合ワクチンは計4回接種します。

  • 生後2ヶ月:早めに1回目を接種
  • 初回3回:その後、3~8週間隔で2回目、3回目を接種
  • 追加接種:3回目終了後の6ヶ月後以上を目安に4回目を接種

※特に生後2ヶ月のワクチンデビューの時期は、B型肝炎、ロタウイルス、小児用肺炎球菌など複数の接種が重なり重要度が高くなっています。

【ナニーが提供できるサポート例】

  • 母子手帳アプリの活用提案:最近では母子手帳アプリなどで自動的に摂取時期を通知してくれるため無理のないペースで進めることができます。詳しいスケジュールは母子手帳を見ながらかかりつけ医に相談するとよいでしょう。
  • 接種当日の体調チェック:接種前の体調確認を行い、接種後の様子の観察と記録を行いましょう。

現在、百日咳の流行も見られるため、不安に思われている保護者様に尋ねられた際にはプロとして「2ヶ月になったらできるだけ早く」という接種の重要性を、客観的に伝えてさしあげてもよいでしょう。しかし、あくまでも母子手帳の記載に沿った内容であることが求められます。

妊婦向け「RSウイルスワクチン」が新導入:新生児ケアに活きる知識

2024年、日本でも妊婦さん向けのRSウイルスワクチンが新たに導入されました。

RSウイルスは、2歳までにほとんどの子どもが一度は感染するといわれる身近なウイルスです。多くの場合は軽症で済みますが、

  • 生後6か月未満の赤ちゃんに肺炎、細気管支炎など重症化のリスクが高い
  • 保育現場での集団感染きょうだいからの感染例が多いことが知られています。

呼吸が浅くなったり、ゼーゼーしたり、哺乳ができなくなるなど、急激に悪化することもあるため、「罹ってから」ではなく「罹る前の予防」がとても重要です。

「看護師ナニー」の視点から

産後すぐの赤ちゃんは、体力も免疫力もまだ十分ではありません。生まれてくる赤ちゃんが少しでも軽症で済むように、「赤ちゃんがお腹の中にいるうちにお母さんがワクチンを打つことで守ってあげる」という発想は、予防医療の観点から近年注目されています。
一部自治体によっては助成制度もあります。
接種の是非については、定期的に診察・評価をされている産婦人科医への相談を促すこともナニ―にできるサポートの一つです。

知っておきたい「副反応」と対策:安心を提供するナニーの専門性

ナニーとして、予防接種後を不安に思う保護者を支えるためには、「副反応」について正しく理解しておくことが不可欠です。

副作用と副反応の違い

  • 副作用:治療薬の主作用と異なる、体に良くない作用。
  • 副反応:ワクチン接種によって免疫ができる過程で現れる一時的な症状(発熱、腫れなど)。免疫ができるという主作用以外の反応。

ナニーは、この違いを理解し、保護者の過度な不安を取り除くコミュニケーションを行う必要があります。

【ナニーが徹底したい対策とポイント】

  • 接種前後のきめ細やかな配慮
    • 接種前日:よく休ませ、体調を万全に整える声かけ。
    • 接種当日:激しい運動は避け、無理のないスケジュールで過ごせるようサポート。
    • 接種後:予定を詰めすぎず、体力を消耗しないようシャワー浴を促すなど、具体的なアドバイスと実行サポート。
  • アナフィラキシーへの備え
    • 予防接種を受け終わって30分ほどは病院内または病院にすぐに駆け付けられる場所で待機する。
      高熱が続く、じんましん、呼吸困難、意識朦朧、ぐったりなどの症状がないかチェックし、あれば医療機関や、#8000(こども医療電話相談)への相談を促す冷静な対応力が求められます。

こうした「安心を提供する対応」こそが、ナニーという仕事の価値を高めます。

まとめ:ナニーの専門性は「最新知識」と「安全安心のケア」

ナニーは、医師や看護師のような医療行為や診断を行う立場ではありません。そのため、「接種すべきかどうか」や「特定の症状が副反応か病気か」といった医学的な判断や指示はできません。

しかし、ナニーとして、以下の点についてはサポートや情報提供が可能です。

一般的な情報提供と相談の橋渡し

  • 「五種混合ワクチンで接種回数(注射本数)が減りましたよ」「RSウイルスワクチンについては産婦人科で相談できますよ」といった、最新の制度や一般的な情報の提供。
  • 「不安なことは、かかりつけの産婦人科医や小児科医、#8000(こども医療電話相談)に相談するのが一番ですよ」と、信頼できる相談先への橋渡しをすること。

接種前後のケアと観察

「今日は激しい運動は避けましょう」「接種後30分は様子を見ましょう」といった、接種後の過ごし方に関する具体的なケアと観察
※特に乳児はSIDSのリスクが高まるので、接種当日はストレスがかかることをしないこともポイントです。

接種当日の付き添いと帰宅のサポート:忙しい保護者に代わり、ナニーがクリニックに付き添い、接種後30分間の待機、自宅までの安全な帰宅、帰宅後のお見守りまでサポートすることができます。

※ナニーのみがお子様を予防接種にお連れすることはできません。お付き添いに限らせていただきます。

ナニーには保護者の不安に寄り添い、専門的な知識をもって子どもの健康を守るという、大きな責任とやりがいがあります。

予防接種の情報は毎年少しずつ更新されています。

  • 知識をアップデートし続ける意欲
  • 接種前後のケアを徹底する実行力
  • 副反応にも冷静に対応できる専門性

このようなスキルがナニーとして働く上での大きな強みになります。

ポピンズナニーサービスなら充実した研修を通して、専門性を高めながら経験を積むことができます。お子様の健康を守り、保護者様に寄り添うプロフェッショナルとして、あなたもナニーのキャリアをスタートしてみませんか?

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<参照>

厚生労働省 5種混合ワクチン

厚生労働省 RSウイルス感染症

JIH 国立健康危機管理研究機構 感染症情報提供サイト RSウイルスワクチンの開発状況2025年

日本小児科学会の「知っておきたいわくちん情報」5種混合ワクチン

〜日本小児科学会の「知っておきたいわくちん情報」〜予防接種の副反応と有害事象

Know★VPD(Vaccine Preventive Disease)特定非営利活動法人 VPDを知って、子どもを守ろうの会HP

この記事を書いた人

Naoka
看護師、保育士、養護教諭の資格を持つナニーとして活動しています。これまで保育園や小学校、放課後デイサービスなど、さまざまな現場で経験を積んできました。現在ナニーのお仕事をしながら、療育施設にて自閉症スペクトラム症のお子さまたちの支援に取り組んでいます。

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