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百日咳が流行中!看護師ナニーが教える予防接種・副反応と家庭でできる備え

2025.05.27
  • 健康管理
  • 子育て知識

監修:医学博士、東京都市大学人間科学部特任教授
元聖路加国際病院小児科医長 草川 功先生

百日咳とは?

2025年春現在、百日咳の感染報告数が例年よりも高い水準で推移しています(厚生労働省・感染症週報より)。百日咳は「百日もの間、咳が続く」と言われるほど長引きやすい呼吸器感染症です。原因はボルデテラ・パータシスという細菌で、咳やくしゃみの飛沫を通じて感染します。潜伏期間は5〜21日(多くは7〜10日)です。

中でも注意したいのが乳幼児への感染です。特に0〜1歳のお子さまは重症化しやすく、重い咳が続くことで、呼吸障害や肺炎、脳炎などを引き起こし、咳が出ないまま呼吸停止に至ることもある、パパママにとっては不安の大きい感染症です。

この記事では、百日咳の特徴から2024年4月から導入された“5種混合ワクチン(DPT-IPV-Hib)”に関する情報、副反応の対応まで、ご家庭の「今知りたい」に寄り添う情報をまとめました。

ご家庭でできること、プロに頼れること。その両方を知っておくことで、日々の育児にもう少し安心が生まれますように。

百日咳ワクチンとは?4種・5種混合ワクチンの違いとスケジュール

日本では「4種混合ワクチン(DPT-IPV)」と、Hibワクチンを混合した「5種混合ワクチン(DPT-IPV-Hib)」があります。百日咳は、重症化すると乳児の呼吸障害や無呼吸発作を起こすリスクもある感染症。特に生後数か月の赤ちゃんでは、命に関わることもあるため、早期のワクチン接種が重要です。

でも、「4種混合と5種混合って何が違うの?」「百日咳の予防はどれ?」と迷う方も多いのではないでしょうか。

ここでは、予防接種についての情報をまとめました。

4種混合ワクチン(DPT-IPV)とは?

予防できる感染症:

  • ジフテリア
  • 百日咳(Pertussis)
  • 破傷風
  • ポリオ(急性灰白髄炎)

百日咳の予防はこのワクチンに含まれています。生後2か月から接種が始まり、初回3回+追加1回のスケジュールです。

標準的な接種回数と間隔

初回接種:生後2〜12か月に至るまでの期間を標準的な接種期間として20日以上の間隔をおいて3回接種します。

追加接種:初回接種終了後6か月以上の期間をおいて1回接種します。

5種混合ワクチン(DPT-IPV-Hib)とは?

4種混合ワクチンに、Hib(インフルエンザ菌b型)を加えたワクチンです。Hibも乳幼児にとって重い感染症(髄膜炎など)を引き起こすため、最近では五種混合を採用する自治体や医療機関も増えており、2024年度以降は主に5種混合ワクチンを用いることになっています。

4種混合ワクチン+単体のHibワクチンを用いる場合のルール等の詳細については母子健康手帳、自治体、かかりつけ医等に確認をしてください。

標準的な接種回数と間隔

初回接種:生後2ヶ月から7ヶ月に至るまでに開始し、4週間(医師が必要と認めた場合は3週間)から8週間までの間隔をおいて3回接種します。

追加接種:初回接種終了後から6か月以上の間隔において1回接種します。

ワクチンの安全性(副反応)

4種混合ワクチンと比較して、効果・安全性が同等であると報告されています。よくある副反応は、接種した部位の腫れや痛みなどの局所反応です。37.5℃以上の発熱も見られます。極めて稀な副反応としては、アナフィラキシーは100万回接種で1人未満です。

ワクチンに関するよくある質問と注意点

Q.5種混合ワクチンは他のワクチンと同時接種が可能ですか?

他のワクチンと同時に接種することができます。また、他のワクチンとの接種間隔についての規定はありません。

Q. 4種混合ワクチンで開始した場合、途中から5種混合ワクチンに変更することはできますか?

4種混合ワクチンとHibワクチンで接種を完了することができない場合、5種混合ワクチンに切り替えて接種することができます。詳しくはかかりつけ医や自治体に相談してください。

Q. ワクチン接種で百日咳は完全に防げますか?

ワクチンを接種しても、百日咳にかかることはあります。ただし、重症化を防ぐ効果が高く、ワクチンを打っていない場合と比べて症状が軽く済みます。

Q.5種混合ワクチンを受けることができないのはどのような人ですか?

  • 発熱をしている
  • 重篤な急性疾患にかかっている
  • 今までに同じ成分でアナフィラキシーを起こしたことがある

これらの方々は対象外となります。

Q.接種を受けるにあたって注意が必要な人はどのような人ですか?

  • 心臓、血管、肝臓、血液に持病がある、疾患や治療のために出血傾向にある、発育に障害がある
  • これまでの予防接種で接種後2日以内に発熱や全身性発疹等のアレルギーを疑う症状があった
  • 過去にけいれんの既往がある

これらはあくまで一例です。心配な方は接種予定の医療機関にご相談ください。

看護師ナニーからのアドバイス

予防接種のあとは、「いつも通りに過ごして大丈夫なのか」「副反応が出たとき、どう見守ればいいのか」など、不安を抱えるご家庭が少なくありません。特に、お子様がまだ言葉で体調を伝えられない年齢であれば、なおさらです。

副反応は珍しいことではなく、接種後は以下のようなものが見られます。

  • 接種した部位の腫れ
  • 発熱
  • 機嫌が悪い、よく泣く

などです。これらは数日の間に自然と軽くなっていくので、安心してゆっくり過ごしましょう。接種当日はお風呂に入っても大丈夫ですが、注射を打った部位を強く擦らないようにしましょう。もし発熱した場合や、体調が悪そうな場合はサッと体を拭いてあげる程度にしましょう。

また、「接種後の体調変化をどう見守れば良いか」と悩まれるご家族も多いです。ワクチン接種後、以下のような反応が見られた場合は速やかに医療機関を受診をしましょう。

ワクチン接種後の体調変化による受診の目安

  • 38.5℃以上の高熱が続く
  • 腫れが肘を超える・膿が出る
  • けいれん・意識がぼんやりする
  • 呼吸が苦しそう、嘔吐を繰り返す
  • 上記以外で、普段と何か違うと感じた時

家庭でできる備え

現在、増加している百日咳では、特に大人(保護者やきょうだい)が軽症で感染源になるケースも多く、家族全体で感染対策が必要です。

 家庭でできること

  • ワクチンの接種状況を確認する(母子手帳・予防接種履歴)
  • 風邪症状がある場合はマスク着用・受診する
  • 赤ちゃん(特に予防接種前の新生児・乳児)と接する大人は百日咳ワクチンの追加接種を検討する

ポピンズナニーサービスの病児・感染症対応

ポピンズナニーサービスでは、病児・感染症対応のお世話を受け付けております。百日咳と診断されたお子さまは、特有の咳が出現してから3週間を過ぎるまで、また5日間の適正な抗生物質製剤による治療が終了するまで「感染症対応」としてお世話をお引き受けすることができます。その後、回復期にあるお子さまのご家庭での療養を希望される場合は病児対応として引き続きお世話が可能です。

お世話までの流れ

事前に医療機関を受診のうえ、「病児」または「感染症児」オーダーとしてご依頼いただきます(病児または感染症児の特別料金となります)。ご依頼の際には、コーディネーターが発症日や症状、受診の有無、診断名、ご家族の罹患の有無等、詳細を丁寧にヒアリングさせていただきます。

お世話の内容

保護者様のご指示の元、体温、呼吸状態などのバイタルチェック、水分補給や食事の介助、「薬についての依頼書」(ポピンズナニーサービスフォーマット)に基づいた処方薬の服薬介助、安静に過ごせる環境づくりなど感染拡大のリスクを抑えながら、ご家族に代わり、心を込めたケアを行います。

「病児対応」と「感染症対応」についての詳細は別記事で解説をしております。弊社のサービスについて詳しく知りたい方は、合わせてご参照ください。     急な発熱も安心、 看護師ナニーが解説!ポピンズナニーサービスの「病児・感染症対応」とは?

まとめ

百日咳は、乳幼児、特に予防接種前の乳児にとっては命に関わる感染症のひとつです。

だからこそ、予防接種のスケジュールをきちんと把握し、適切なタイミングで接種を受けることが大切です。また、百日咳の家族内感染を防ぐためにも、ご家族の方々の健康管理にもいつも以上に気を配りましょう。そして、たとえ感染してしまった場合でも、周囲の大人が冷静に対応できるように、知識とサポート体制を整えておくことが、子どもたちの命を守ることにつながります。

必要な時に、必要なサポートを。あなたのそばにいるナニーが、日々の子育てに寄り添います。

私たちポピンズナニーサービスでは、そうしたご家庭を支える「安心の伴走者」でありたいと考えています。感染症流行期の不安が大きくなる今こそ、信頼できるナニーとともに、お子さまの育ちと健康を見守っていきませんか?ご興味のある方はこちらをご覧ください→

出典:厚生労働省「百日咳」

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou19/whooping_cough.html

厚生労働省:5種混合ワクチン

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou/yobou-sesshu/vaccine/dpt-ipv-hib/index.html

〜日本小児科学会の「知っておきたいわくちん情報」〜五種混合ワクチン

https://www.jpeds.or.jp/uploads/files/VIS_14kaitei20240405.pdf

5種混合ワクチン、小児に対する肺炎球菌ワクチンについて

https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/001225283.pdf

この記事を書いた人

Naoka
看護師、保育士、養護教諭の資格を持つナニーとして活動しています。これまで保育園や小学校、放課後デイサービスなど、さまざまな現場で経験を積んできました。現在ナニーのお仕事をしながら、療育施設にて自閉症スペクトラム症のお子さまたちの支援に取り組んでいます。

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