ナニー・ベビーシッターなど保育業界を目指す人のための情報メディア

NannyMedia

まずは自分が楽しむことがお子さまと保護者様の笑顔につながる、スーパーナニーが大切にする“観察”と“遊び”の極意

2026.03.30

幼稚園・保育園での20年以上のキャリアを経て、50歳でナニーの道へ進んだスーパーナニーAさん。途中3年間、児童相談所の家庭訪問員として困難を抱える家庭を支えた経験も、現在の厚みのある保育につながっています。
食育、障がい児保育、芸術表現など、多岐にわたる専門知識に裏打ちされたエデュケア。お子さまの自立心を育む「引き算の保育」や、保護者様の心をも救う信頼関係の築き方など、後輩ナニーの育成にも尽力する彼女の情熱と知恵を伺いました。

50歳からの挑戦。「理想の保育」を求めてポピンズへ

―ナニーになったきっかけを教えてください

もともとは幼稚園や保育園で長く勤めていました。45歳の時、同じく保育士をしていた友人が先にポピンズに入り、「水準が高くて厳しいけれど、皆で同じ方向を目指しているから、すごくスッキリした気持ちで働けるよ」という話を聞いたのがきっかけです。


当時の私は、公務員として働く保育園の枠組みの中では自分の「良かれと思う保育」を十分にできていないという葛藤がありました。友人の話を聞いて「私の居場所はここだ!」と直感し、息子が大学を卒業して手が離れる50歳になったら「早期退職してポピンズに行く!」と決めたんです。それからの5年間は、ポピンズに行く、つまり一人で保育を担うのだからと、食育や障がい児保育、芸術表現など、あらゆる分野の学びを深める準備期間に充てました。

お子さまと関わる仕事!ナニーの仕事ご興味のある方はこちら→

「教える」のではなく、フラットな目線で「観察」する

―お子さまと接する上で、最も大切にしていることは何ですか?

「主観を入れずに観察する」ことです。若い頃、障がいのあるお子さまと接する中で気づいたのですが、「この子は〇〇ができない」という色眼鏡で見ると、本当の姿が見えなくなってしまいます。


例えば、お子さまがグズグズしている時、「朝早かったから眠いのね」と決めつけるのは、自分の主観を入れた見方です。主観で見る癖をつけていると、遊ばない子どもを見たとき、「遊べない子なんだな」と決めつけてしまう。そうではなくて、「観察」を意識すると「この子はいつもこれを持っているな」と、その子どもが今、何に興味を持っているのかが自然と見えてきます。

「この子、落ち着いて遊べないんです」などと決めつけてしまっているお母様もいらっしゃいます。そこがナニーの腕の見せ所で、お子さまを観察し、「じゃあこうしてみよう!」と工夫をするのが私たちです。ナニー自身も一緒に楽しく遊ぶことで、「ナニーさんが帰られた後も集中して遊んでいました。うちの子遊べるんですね」なんて伺うと、とてもうれしいですね。

ナニーは「教える人」という上からの目線になりがちですが、そうではなく、同じ目線で「どうやって一緒に遊ぼうかな?」と考えることが、遊びを広げる秘訣だと思います。

「負け」を認めることから広がる、お子様の社会性

―Aさんのナニーバッグには、いつも楽しいおもちゃが入っていると伺いました

特別なものはないんですよ。ナニーになったばかりの頃には軍手を使ってこんな(写真参照)ニワトリの親子も手づくりしましたが、もっと簡単に、緑色の軍手に目をつければ「ケロちゃん」、黄色い軍手に羽を付けたら「ひよこちゃん」に早変わりします。工夫を楽しんでください。


お子様に喜ばれるおもちゃを一つご紹介すると、グッドトイにも選定されている「てんとう虫じゃんけん」です。2歳くらいになると、みんな負けるのが嫌でじゃんけん一つとっても「絶対に勝ちたい!」という気持ちが強くなりますよね。でも、これは結果にごまかしが利かないので、きちんと勝負がついて、自然と「負け」を認められるようになるんです。

ある時、勝ち気なお子さまに「私が強いのはね、ニコニコ楽しんでやってるからよ」って言ってみたんです。するとお子さまも笑い出して、逆に私が負けた時には「Aさん、怖い顔してるからじゃない?」なんて言われちゃって。遊びを通じて、「楽しくやることが大事なんだな」という社会性が育まれていくのを感じて、本当にすごいなと思いました。このおもちゃは指先を使いますし、神経衰弱のような遊び方もできるので、6年生のお兄ちゃまも一緒になって、家族みんなで盛り上がれるんですよ 。


遊び終わった後の「お片付け」も、お子様との楽しい時間です。ただしまうのではなく、色別に数を数えながらしまうことで、色や数の勉強にもなりますし、将来自分のものをきちんと管理できるようになりますよね 。

お子さまと向き合える仕事「ナニー」とは?→

遊びは「心の解放」。“へんてこりん作戦”で引き出す子どもの表現力

―お子さまの自立心や表現力を引き出すために、現場でどのような工夫をされていますか?

遊びは「心の解放」なんです。以前、芸術系の研究会でそう学びました。幼稚園でも「はい、お絵描きしましょう」と言っても描けない子どもが実は多いのですが、リトミックで体を動かして心を解放してあげると、驚くほど素晴らしい絵を描き始めるんです。

お世話の現場では、よくお子さまに「ポケモン描いて~」と頼まれますが、私はあえて写し絵はしません。そこでするのが、オリジナルの“へんてこりん作戦”です。


「えー、描けないよ~」なんて言いながらわざと変に描くと、「下手だなあ!もうナニーさんには頼まない、僕が描く!」ってお子さまが自分から筆を執るんです。そうやって自分で描くうちに、どんどん表現力が豊かになって。最近では、ブロックでもコンテストに応募しようかというほどの才能を発揮されているんですよ。

また、移動中の電車内では「静かな遊び」を大切にしています。お兄ちゃまには、おへそに力を入れてどこにも掴まらずに立つ“グラグラゲーム”。体幹も鍛えられますし、喋っちゃダメというルールでぐっと頑張ってくれます。小さいお子さまには、お膝に指で図形を書いて「何個書いたかな?」とクイズを出したり。ひそひそ話すこと自体を楽しんでくれるので、周りの方も和やかに見守ってくださいます。そんな時、「あの人はお母さんでも、おばあちゃんでもないな、シッターさんかな」という目で見られていることを感じます。私たちは「ポピンズの広告塔」でもあるんだな、と改めて身が引き締まる思いがしますね

専門知識で解決! お食事と睡眠のエピソード

―学び続けていらっしゃる専門知識が現場で活かされた経験はありますか?

たくさんあります。ある時、食事の時は床に新聞紙を敷きつめないと汚してしまうお子さまのお世話に伺いました。私はお母様に「今日は新聞紙なしでやってみます」と伝えました。そのお子さまは「自分で食べたい」という気持ちがとても強かったので、ラップをお借りしてお子さまが自分で取り込みやすいサイズのおにぎりを作ったんです。するとお子さまはパクパクと自分で食べ始め、床も汚れません。その様子を見ようと早く戻られたお母様は絶句されていました。これでお母様からの信頼を勝ち取ることが出来ました。スプーンで「あーん」とお口に運ぶよりも、お子さま自らが取り込もうとする意欲を育てることが食育の第一歩なんです。

また、「抱っこでないと寝ない」というお子さまのお世話では、“ゴロゴロ作戦”です。遊び疲れてゴロゴロされたときがチャンスです! ゴロゴロしながらできる遊び、例えば懐中電灯を灯しながら、彼が大好きな「出た出た月が~」を歌いながらトントンしたら、ストンと眠りにつかれました。
お子さまの特性を見極めて対応を変えることで、無理なく生活習慣を整えることができます

発達がわかっていれば、今、お子さまに何を提供するべきかがわかります。自信を持ってお世話をするためにはやっぱり勉強し続けないといけないんです。

お子さまの笑顔が、悩めるお母様を救う

―保護者様とのコミュニケーションで意識されていることはありますか?

私は、お子さまの笑顔と同じくらい「お母様の笑顔」を大切にしています。

以前、幼稚園にお友だちに噛みついたり、引っかいたりされるお子さまの対応に悩まれているお母様がいらっしゃいました。私は根気強くそのお子さまと「話す」ことを心がけていると、放課後に園に遊びにきてくれるようになって。


「先生お掃除しているから手伝ってくれる?」と手招きすると、ポケットからお菓子を出して「あげる」って。だんだん信頼関係が築けてきたんです。お子さまの笑顔が増えるとお母様の表情が変わり、幼稚園への苦情などもぴたっと収まったんです。「子どもが変われば親も変わる」という当時の園長先生の言葉は、今も私の教訓です


お母様が帰宅された時に、お子さまが「ママ、おかえり!」と満面の笑みで迎える。それだけで、お母様の疲れは吹き飛び、「このナニーさんにお願いしてよかった」という信頼に繋がります。お母様を笑顔にするために、まず目の前のお子さまを笑顔にする。それが私の仕事の核になっています。

ご家庭の人生に寄り添うナニーとは?ナニーにご興味のある方はこちら→

お子さまと一緒に遊びこむことを、まずはあなたが楽しんでください

 ―ナニーという仕事に興味を持っている方へ一言お願いします

「お子さまを楽しませられるかな?」と難しく考えなくて大丈夫です。

お人形持っていかなきゃ、風船持っていかなきゃって思わなくても、ティッシュ 1枚でいかに遊べるか。そこを勉強するといいですよ。私は散歩しながら、「どうやって遊ぼうかな」って考えています。 するとアイデアが天から降りてくるんです!


まずは「ナニーさん自身が楽しむこと」から始めてください。あなたが楽しんでいれば、お子さまも必ず楽しんでくれます。

私は今、アロマやハーブの勉強をしています。いつかケアする側の人たちも癒せる場所を作りたいという夢を持っているんです。学び続け、念じ続ければ、必ず道は開けますよ。


あなたもナニーの仕事をしてみませんか?ご興味のある方はこちらをご覧ください→

この記事を書いた人

ナニーメディア編集部
ナニー・ベビーシッターなど保育業界を目指す人のための情報メディア「ナニー メディア」編集部です。

Related article