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~ナニーどうしつながって、エデュケアの質を高め合う~第3回「ナニーエデュケアサロン」レポート

2026.09.30

「ナニーエデュケアサロン」とは? 

今年度より新たにスタートしたポピンズ ナニーサービスの研修「ナニーエデュケアサロン」。スーパーナニーを講師に迎え、エデュケアの実践事例や現場で培った知識・経験を共有しながら学び合う参加型のワークショップです。

あらゆるキャリアのナニー同士が交流し、共に学ぶ機会に 第3回「ナニーエデュケアサロン」開催レポート

第3回は「4、5歳児、学童期のお世話に求められる配慮とかかわり」をテーマに開催し、約30名のナニーさんが参加しました。スーパーナニーによるエデュケア事例発表や座談会では、日々のお世話で感じる悩みや疑問を参加者同士で共有。経験や知恵を持ち寄りながら、お子さまとのかかわりを考えました。学びや気づきが生まれた当日の様子をレポートします。

4、5歳児、学童期の発達段階とお世話の基本知識を確認

プログラムの冒頭では、「発達の道筋とナニーに求められる配慮とかかわり」をテーマに座学が行われました。4、5歳から学童期にかけての発達の特徴を踏まえ、それぞれの時期に求められるナニーの関わりを復習しました。4、5歳には生活習慣や社会性を身につけながら、自分で考えて行動する力を育むこと、学童期にはお子さまの気持ちに寄り添い、必要以上に干渉せず「心の安心基地」として支えることが大切。発達段階に応じた環境設定と適切なかかわりによって、日々のお世話をより豊かなエデュケアにつなげていく重要性を確認しました。

葛藤の多い学童期のお子さまとご家庭にどう寄り添う?スーパーナニー5名によるエデュケア事例紹介

メインイベントは、5名のスーパーナニーによるエデュケア事例紹介。成長とともに複雑になるお子さまの気持ちや親子だけでは解決が難しい場面に、スーパーナニーはどう寄り添っているのでしょうか。事前に寄せられた質問をもとに、それぞれの経験や特技を活かしたお世話の工夫やかかわり方を紹介しました。その一部をお届けします。

0さん ナニーだからこそ出来る、学童期のお子さまとお母さまの心の橋渡し 

幼児教室の講師経験を持つOさんは、巷で大流行しているシールをめぐる学童期の親子間トラブル解決をサポートした経験を紹介しました。お世話していた低学年のお嬢さまのお母さまはシール交換で発生するトラブルリスクを鑑み「買い与えたくない」というお考え。そこでお嬢さまは、内緒でお友だちにシールをもらっては自作のシール帖に集めていました。お嬢さまはそのことをOさんに打ち明けましたが「お母さんには言わないで」とおっしゃいます。Oさんは、「“お母さまを悲しませたくはない。でも、好きなものを楽しみたい”というお嬢さまの複雑な気持ちを受け止めました」。ところがある日、内緒のシール交換がお母さまに知られたことで禁止令は強化されることに。お嬢さまの葛藤はさらに強くなり、ますます秘密の行動が増えるようになりました。

そこでOさんはお嬢さまに、自分の気持ちをお母さまに伝えてみることを提案しました。また、お母さまにも状況をお伝えしたところ「娘がそんなふうに感じていたとは」とお嬢さまの気持ちを理解され、最終的には親子で話し合い、シールを買いに行くことになりました。Oさんは「ナニーは親子間に立つ中立的な第三者だからこそ、双方の気持ちを冷静に伝え、理解を促す橋渡し役になれると実感しました」と語りました。また、お子さまの世界や「今しか味わえない楽しさ」にも目を向けながら、広い視野で親子を支える大切さを伝えた発表でした。

Iさん 食への興味を育み、ご家庭の食卓を豊かにする「楽しい食育」

調理師免許を持つI さんは、お子さまの食への興味を育み、ご家庭の食卓にも変化をもたらした「楽しい食育」を紹介しました。お世話開始当初、食への関心が薄く、食べられる食材も限られていた4歳のお嬢様。ご両親は「いろいろな食材や旬のものを食べてほしい」と希望されていました。そこで、Iさんは、オムライスにハートを描くなど食への興味を促しながら、お好きな物から少しずつ食べられるように試行錯誤を重ねました。

転機となったのは夏休み。家事との同時お世話の依頼だったことから、買い物や料理にもお子さまを巻き込むことにしました。一緒にスーパーへ行き、食材を選んでもらいました。初めて見る食材は一緒に調べ、どう料理するかを考えることも。苦手だったトマトも、自分で選んだものなら食べられるようになりました。料理では、一緒に卵を割ったり、餃子を包んだりして、自分でできることが増えていきました。また、その様子をご覧になったお母さまも、ご一緒に料理を楽しまれるようになりました。Iさんは、食育について「お子さまが食べるようになる秘策があるわけではありません」とした上で「食べたら『ああ、うれしい』。食べなかったら『また次に頑張ろう』くらいの気持ちで、私自身も楽しませてもらっています」。Iさんの実践から、食育の楽しさと、ナニーだからこそできる食卓への寄り添い方が伝わりました。

Aさん 学童期のお子さまに安心して頂くコミュニケーションの始め方

保育士歴30年、6人の育児を経験したAさんは、「学童期のお子さまが心を開いてくださらない」と参加者からの悩みに、「まずは自分から」「一緒に楽しむ」という2つのアプローチを紹介しました。

「学童期のお子様は初対面のナニーに恥ずかしがり、話しかけても黙っているお子さまもいらっしゃいます。質問ばかりでは面接のようになりがちなので、まずは私自身のことを話します」とAさん。実演では、さまざまなお題が書かれたガム型のカードを使い、「今までで一番褒められたこと」というお題でまずは自身のエピソードを披露。お子さま役の参加者にも尋ねると、「トマトを食べられた!」と答えが返り、「何個食べたの? すごいね!」と自然に会話が広がりました。「まず大人が心を開き、一緒に笑うことで、お子さまも少しずつ自分のことを話せるようになります」。

また、安心感が生まれるまでは「こうしたほうがいい」と教え込むのではなく、お子さまの得意な話を聞き、その気持ちを一緒に楽しむことも大切だといいます。「これ、どうやるの?」とアイデアを尋ねたり、あえてナニーが間違えたりすることで、主体性も引き出せるそうです。

さらに手軽に出来る対話あそびとして「お話づくり」も紹介。「昔々、あるところに……」と始め、順番に言葉をつないで一つの物語をつくります。思いもよらない結末に、自然と会話も弾むそうです。

Aさんは「『楽しい』『安心』は、“心の栄養の主食”。ぜひナニーの皆さんには、お子さまの思いを受け止め、安心して前に進むための主食でいてほしいなと思います」と呼びかけました。

Rさん 「もう来ないで」と言われたときは…“安心基地”を尊重し、心に寄り添う距離感を

参加者から寄せられた「ナニーさん、もう来ないでと言われたことはありますか? もしあったら、どのように対処されますか?」という切実な質問に、20年以上ナニーとして活動するRさんが回答しました。

Rさんがお世話したご家庭でも「そばに寄らないで」と言われたり、部屋や布団に閉じこもってしまったりするお子さまがいたといいます。「そういう時は焦らず、一番は笑顔でいること。そしてお子さまの今のお気持ちを考えます。そして、無理に近づいたり、部屋から出そうとしたりせず、そのお子さまにとっての“基地”を尊重します」。廃材を使った工作やおもちゃ作りが得意なRさんは、お子さまから少し離れたところで折り紙や工作を始めるそう。すると、最初は興味がないふりをしていたお子さまも、少しずつ顔をのぞかせ、自然と遊びに加わってくることがあるそうです。

その一例として、お母さまがお出かけされるため初対面のRさんと過ごすことになったお子さまが、ベッドに“籠城”されたエピソードも紹介。Rさんは、当時を振り返り「お母さまと一緒に行きたかったのに、ナニーが来たためにぼくは留守番をしなければならない…。そんな複雑なお気持ちだったかと思います」と話しました。Rさんは、お子さまのベッドから少し離れた場所で、折り紙でケーキを作りながら「○○君のお母さまはどんなケーキが好きかな?」などと楽し気に声をかけたと言います。すると次第にお子さまが興味を示し、遊びに加わったといいます。

「年齢や性格に関わらず、お子さまの気持ちに寄り添うことが大切」と話すRさん。「一緒に過ごす時間がたとえ短くても、ワクワクした気持ちにして差し上げられるように。そのためには、お子さまが今、どんな気持ちなのかを考えて尊重しながら、安心して心を開けるきっかけをつくることが、ナニーの大切な役割だと思っています。」と語りました。

Aさん お子さまの自信と主体性を育む「心を解放する表現遊び」

保育士の経験もあるAさんは、「心を開放する表現遊び」をテーマに、4歳からの遊びと学びへのかかわりについて紹介しました。4~5歳は、周りと自分を比べたり、失敗を気にしたりするようになる一方、「やってみたい」という気持ちも強い時期。Aさんは「自由に表現できる遊びを通して、お子さまの自信や主体性を育むことを大切にしています」といいます。

Aさんが保育士時代、何をするにも消極的な態度の男の子がいました。Aさんなりに彼へのアプローチを模索する中、表現遊びに出合ったそうです。そこで彼の好きな魚になりきって走ったり、サメに追いかけられたりする遊びを続けました。数カ月後、いつも画用紙の隅に小さな絵を描いていた男の子が、画用紙いっぱいに生き生きとしたサンマを描いたといい「ああ、やっぱりこれだな」とこの手法に確信を得た経験を話しました。

現在は『大きなかぶ』や『3びきのやぎのがらがらどん』など、絵本を題材にした表現遊びを実践中。布やビニール袋など、素材として必要なものをさりげなく用意しながら、お子さま自身の発想を引き出します。「普段は静かに遊んでいたお子さまが『僕、トロルやりたい』と自ら役を選んだこともあるなど、表現活動を通して普段は見えない心の内側に触れられます」と魅力を紹介しました。

さらに、学びのサポートとして宿題などには「ママからの“ミッション”」といった言葉を使い、遊び心を取り入れながら、お子さまが自ら取り組めるよう工夫していると紹介。「表現することを楽しむ」ことが、子どもの心を開き、自信や主体性を育むことにつながるという内容でした。

文字への興味と「ありがとう」の気持ちを育むカードづくりワークショップ

本研修恒例の「発達を促すおもちゃづくりワークショップ」では、飛び出す仕掛けの「ありがとうカード」を制作しました。4~5歳は文字への興味が芽生える時期。文字に触れながら「ありがとう」を伝える喜びも育んでほしいという思いから、今回はカードづくりが行われました。敬老の日も近いことから、講師からは「お子様が大好きなおじいちゃまやおばあちゃまにカードを贈り、ありがとうと言われる喜びを経験してもらいましょう」と呼びかけました。カードづくりのルールは「飛び出すカードであること」と「ありがとうを伝えるカードであること」の2つ。定番の四角形や花束のように飛び出す三角形、とても立体的なカップ型など、3種類の型が用意されました。色とりどりの台紙に、動物、ハート、花、チョウなどの切り紙を貼り付け、思い思いに制作。「立体をどう活かすかが難しい…」と苦戦する声も聞かれましたが、ナニーさん同士で助け合いながら、かわいらしい作品を完成させました。母の日やお誕生日など、さまざまな場面で活用できる今回のワークショップ。お子さまと一緒に作りながら、気持ちを伝える楽しさも味わえる、実用性の高い制作となりました。

充実した時間の締めくくりは互いの経験から学び合う座談会

研修の締めくくりは、スーパーナニーを交えたグループディスカッション。お世話で感じる疑問や悩みを共有し、参加者同士で意見を交わしました。「学校から塾への移動にナニーが付き添うことを嫌がられる」「動画からなかなか離れていただけない」「つねられる」など、成長とともに自我が芽生える中での対応の難しさについて、さまざまな声が上がりました。特に、お母さまからの依頼とお子さま自身の希望に乖離がある場合、どのように折り合いをつけるかは多くのナニーさんが悩むところ。スーパーナニーからは、「まずはお子さまの気持ちを尊重する言葉を掛ける」「いけないことには毅然とした対応を」といったアドバイスが。「来週から来ないでと言われてもいいくらいの熱量で、1回1回のお世話に向き合っています。」というスーパーナニーの力強い言葉に、参加者達が深く頷く場面も見られました。互いの経験から学び合う充実した締めくくりとなりました。

エデュケアサロンで得た新たな気づきを毎日のお世話につなげて 

お世話に役立つ知識を学び合い、参加者が活発に交流したナニーエデュケアサロン。今年度の全3回に参加した2人のナニーさんに感想を聞きました。

今年3月にナニーデビューしたばかりの方は、「発達段階別のお世話のコツと、スーパーナニーさんのお話が聞きたくて参加しました。『この対応で良かったのかな?』とモヤモヤすることにアドバイスを頂けて自信につながりました。」と振り返ります。学んだことは、すぐに実践へ。「(第2回で学んだ)『折り紙びりびり遊び』は、お子さまにもお母さまにも大好評でした。ワークショップで作った作品を見せて『ナニーさんもお勉強しているんだよ』と、お子さまにも話しています」。

一方、ナニー歴3年のスーパーナニーさんからは、「お世話に入れば入るほど、もっと学ばなくてはという気になります。エデュケアサロンは、とても良い復習の機会でもあり、知識のアップデートの場でもあります。他の方のやり方も新鮮で、3歳のお子さまとお弁当づくりもやってみました。様々なアプローチがあることを知れるのがいいですね」。

経験の浅いナニーさんにとっては、日々のお世話への自信を育む学びの場に、ベテランナニーさんにとっては、新たな気づきを得て、知識や実践をさらに向上させる場に。3回の研修を通して、それぞれの経験や立場に応じた学びが生まれ、お子さまとの毎日のお世話へとつながっていました。

勉強熱心なナニーの皆さまのご要望に応え、ナニーエデュケアサロンは来年度へと続きます。

第2回「ナニーエデュケアサロン」レポートはこちらです

この記事を書いた人

1〜3歳の発達を促すお世話とは?第2回「ナニーエデュケアサロン」研修レポート
新聞社(記者職)、広告代理店勤務を経て「もの書き屋 きりんとバオバブ」として独立。 乳幼児3人を育てるシングルマザー。育児における座右の銘は「センス・オブ・ワンダー を探して」。2025年4~9月、国の居宅訪問型保育事業としてポピンズナニーサービスを利用

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