モンテッソーリ教育やシュタイナー教育について知りたい!幼児期に注目の教育法をご紹介
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お子さまを育てているなかで、一度は耳にしたことのある「モンテッソーリ教育」や「シュタイナー教育」などの幼児教育法について、気になっている保護者様も多いのではないでしょうか?
幼児教育法の知識は、幼稚園や保育園選びの参考になったりご家庭での教育方針のヒントになったりと、知っておくことは子育てにおいてとても有益です。
今回は、「モンテッソーリ教育」や「シュタイナー教育」など代表的な幼児教育法の種類や特徴、それぞれの教育法を取り入れている園の特徴や家庭での実践法などもご紹介します。
幼児教育はなぜ重要なの?
文部科学省は、幼児教育の重要性について次のように詳しく述べています。
幼児期における教育の重要性
また,幼児期は,知的・感情的な面でも,また人間関係の面でも,日々急速に成長する時期でもあるため,この時期に経験しておかなければならないことを十分に行わせることは,将来,人間として充実した生活を送る上で不可欠である。
したがって、我々大人は、幼児期における教育が、その後の人間としての生き方を大きく左右する重要なものであることを認識し、子どもの育ちについて常に関心を払うことが必要である。
~文部科学省ホームページ資料
「第1章 子どもを取り巻く環境の変化を踏まえた今後の幼児教育の方向性」より抜粋~
幼児期は、知的な発達や感情面の発達、人間関係を築く力の発達が著しい時期です。この時期に成長に合わせた必要な経験や教育を受けることが、人間としての成長に大きく関わってきます。
幼児教育法の種類と特徴
幼児教育法にはさまざまな種類や特徴があります。
幼稚園や保育園でも、園によって取り入れている教育法が異なるため、教育法の種類や特徴を知っておくことで選びやすくなります。
また、教育法の知識があることで家庭の教育方針が立てやすくなるでしょう。
モンテッソーリ教育
モンテッソーリ教育は、イタリアの医師マリア・モンテッソーリ博士が考案した教育法です。精神病院に勤務していたモンテッソーリ博士が、障がいを持った子どもたちの治療や教育に携わる中で、考え出された教育法です。
この教育法は健常児にも適応できると考えたモンテッソーリ博士は、1970年に「子どもの家」を設立しました。
モンテッソーリ教育の特徴
モンテッソーリ教育の一番の特徴は子どもが主体の教育法であるということです。「子どもには、自分を育てる力が備わっている」=「自己教育力」を持っている、という考えを大切にしています。
つまり、モンテッソーリ教育では、子どもが自主的に興味のあることに取り組み、やり遂げるプロセスを最も大切にしている、ということです。
大人は、子どもを観察して発達段階に合わせた環境を用意し、子どもが自分自身の力を存分に発揮できるように「援助する存在である」としています。
モンテッソーリ教育を取り入れている園の特徴は?
モンテッソーリ教育を取り入れている園には、次のような特徴がある園が多いといえます。
異年齢保育の「縦割保育」を行う
一般的な保育園は年齢別のクラス分けを行いますが、モンテッソーリ教育では「縦割り保育」で異年齢の園児が1つのクラスで一緒に生活をする園が多いことが特徴です。
年下のお友だちのお世話をしてあげたり、年上のお友だちのまねをしたり、クラス全員がお互いに相手に関心を持ちながら行動することで、成長しあえる環境をつくることができます。
「おしごと」の時間がある

モンテッソーリ教育の活動を「おしごと」といいます。
おしごとの時間は、それぞれの子どもが自分のやりたいことに一人で黙々と取り組む時間です。
お仕事の時間には、円柱さしや構成三角形などの教具、紐通しやシール貼り、積み木やパズルなど、発達段階に合わせたおもちゃを取り入れていることが特徴です。
家庭での実践法
ご家庭でモンテッソーリ教育を取り入れるには、まず「子どもには、自分を育てる力が備わっている」という自己教育力を理解することが大切です。
お子さまをよく観察してお子さまの「やりたいこと」を尊重し、お子さまが自分で選び自己決定ができるような環境を整えましょう。
たとえば、
- 自分で洋服選びができるように、お子さまの手の届く場所に洋服の置き場所を設定 する
- 自分で保育園に履いていく靴を選べるように、玄関に2種類の靴を準備しておく
などです。
大切なのは、大人が「今はこれをするべき」とお子さまが選ぶことに口を出して決めないことです。
シュタイナー教育
シュタイナー教育は、ドイツの哲学者であり教育思想家のルドルフ・シュタイナーが提唱した教育法です。シュタイナー教育は、子どもの個性を尊重し、感性を引き出して伸ばす教育として、保育園や幼稚園で取り入れられています。
幼児教育法としての知名度は、モンテッソーリ教育と同じくらいでしょう。
シュタイナー教育の特徴
シュタイナー教育の一番の特徴は「人智学」に基づいた教育思想であることです。
「人智学」とは、「人間とは何か」という考えに基づいた思想です。「人間と自然や宇宙の関係を考え、自然豊かな環境を大切にする」という考え方が分かりやすいでしょう。
そのために、なるべく人工素材を使用しない、テレビなどのメディアから離れた環境づくりをする、などの環境整備も特徴のひとつといえます。発達段階を7年ごと「0歳〜7歳」「7歳〜14歳」「14歳〜21歳」の3つの段階に分け、体・心・頭をバランスよく成長させるという教育法を行います。
この中で「0歳〜7歳」は人間としての基礎が形成される時期としてとても大切です。
シュタイナー教育を取り入れている園の特徴
シュタイナー教育を取り入れている園には、次のような特徴がある園が多いといえます。
芸術活動や音楽活動を取り入れている

シュタイナー教育は、子ども一人一人の発達に合わせて体・心・頭をバランスよく成長させることを大切にしています。
そのため、五感を働かせた音楽活動や手や足を使う芸術活動を取り入れることで、一人一人の能力を引き出す教育を行います。
自然素材を使用した環境づくり
シュタイナー教育を取り入れている園では、なるべくプラスティックやスチールなどの人工素材を使わず、木材や自然素材を使用して環境設定を行います。
これは、自然豊かな環境を大切にするという人智学の思想から来ています。
家庭での実践法
ご家庭での実践法も、シュタイナー教育の思想を理解すれば、難しく考えることはありません。
毎日のリズムをつくる
先ほど、発達段階の「0歳〜7歳」は人間としての基礎が形成される時期としてとても大切であるとお伝えしました。人間の基礎を形成するうえで大切なのは、情緒の安定です。まずは、お子さまの生活リズムをつくってあげましょう。特に、起床時間と就寝時間は重要です。
「何から始めたらいいの?」と迷ってしまったら、起きる時間と寝る時間を決めて毎日同じ時間に行動するようにしてみましょう。
自然素材のおもちゃを取り入れる
シュタイナー教育では、自然素材のおもちゃや手作りおもちゃを使用します。
「手作りおもちゃはハードルが高い…」と感じる方は、木材や、コットンや麻素材の布などの自然素材でできたおもちゃや人形を取り入れるだけでも十分です。温かみのある自然素材のおもちゃは、お子さまの気持ちを落ち着かせる効果があります。ぜひ、お子さまと一緒に自然素材のおもちゃを探しに行ってみてくださいね。
レッジョ・エミリア・アプローチ
レッジョ・エミリア・アプローチといえば、Googleやディズニーなどの企業の併設保育施設に導入されている教育法ということで知られていますね。
「レッジョ・エミリア」は、人名ではなく北イタリアの都市の名前です。教育心理学者のローリス・マラグッツィが設立した幼児施設で行われた教育法が、レッジョ・エミリア・アプローチです。
レッジョ・エミリア・アプローチには、モンテッソーリ教育などのようなメソッド(手順)はありません。しかし、マラグッツィが残した「子どもたちの100の言葉」という詩が、レッジョ・エミリア教育の理念であると周知されています。この詩から、レッジョ・エミリア・アプローチは子どものそれぞれの個性を引き出す方法として「社会性」「時間」「子どもの権利」という3つの教育理念を掲げています。
グループ活動の中で社会性をはぐくみ、時間割を設けず子どもたちのペースで学びを進めることで、創造力や好奇心を発揮させる流れをつくる教育法です。また「自分で考えて取り組む」権利を大切することで、子どもの無限大の可能性を尊重しています。
レッジョ・エミリア・アプローチの特徴
レッジョ・エミリア・アプローチの特徴は、プロジェクト活動とドキュメンテーションです。
プロジェクト活動
プロジェクト活動は、一つのテーマを完成させるために子どもたちで話し合い、制作活動を行います。
レッジョ・エミリア・アプローチのプロジェクトの特徴は、1年単位など長期的なスパンでテーマを完成させることです。プロジェクト活動では、子どもの創造性や表現力を高める「アート」を取り入れて活動を行います。
また、アトリエスタ(造形美術の専門講師)やペダゴジスタ(教育専門家)がつきますが、教えることはせず子どもたちのプロジェクト活動をサポートします。
ドキュメンテーション
レッジョ・エミリア・アプローチでは、「過程」を大切にします。そのために、プロジェクト活動の過程を記録したドキュメンテーションの作成を行います。子どもたちが、どのような話し合いをして、どんな気づきがあり、何に興味を持ったのかを記録していきます。
保育者は、子どもたちの活動の様子を毎日細かく写真や動画などで記録して、子どもたちや保護者などと一緒に振り返りを行います。この振り返りを次の展開に活かすことが、ドキュメンテーションの目的となるのです。
レッジョ・エミリア・アプローチを取り入れている園の特徴
本格的なレッジョ・エミリア・アプローチを取り入れている園には、教室にアトリエが設置され、アトリエスタ(造形美術の専門講師)やペダゴジスタ(教育専門家)がついて教育を行っています。
施設の共有スペースには、お絵かきの道具や楽器などが置かれていて、子どもたちが好きな時に好きなだけ芸術に触れて創造性をはぐくむことができるようになっている園もあります。

「ドキュメンテーション」を取り入れているポピンズナーサリー
ポピンズが30年以上前から提携し、お手本としているのが、イギリスのナニー養成学校として知られている「ノーランドカレッジ」です。ノーランドカレッジといえば、2015年にノーランドのナニーが、イギリス王女の洗礼式に付き添ったことが公となり、話題になりました。
ノーランドカレッジが、レッジョ・エミリア・アプローチに沿ったエデュケアを行っているということを受け、ポピンズナーサリーでもお子様の様子を定期的に記録し、学びのプロセスを可視化する「ドキュメンテーション」の取り組みを行っています。ポピンズナーサリーでは、保育者と保護者様が一緒にお子さまの気づきや何に興味を示したか、の振り返りを行います。
この振り返りが、お子さまの学びの成長の糧となっていくのです。
家庭での実践法
ご家庭で、お子さまと折り紙や工作を楽しむ時間にレッジョ・エミリア・アプローチの理念を少し取り入れてみるのがおすすめです。
工作をするのであれば、前もって空き箱や牛乳パックなどの材料を集めておきます。子どもに、「今日は何を作ろうか?」とお子さまが自分で作品作りを始めるきっかけづくりをしてあげましょう。
その際、お子さまがのりやはさみが上手に使えなくてもすぐにサポートすることはしません。お子さまの様子を観察しながら「のりはどの指でつけると塗りやすいかな?」「はさみの持ち方はどうしてる?」など、ヒントをあげることが大切です。お子さまが自分で考えて活動する場をサポートするのが、保護者の役目となります。
余裕があれば、お子さまが活動している様子の写真を撮ってノートなどに貼り、その時に発していた言葉を書き留めるなどの記録を取ってみましょう(ドキュメンテーション)。気をつけたいのが、記念写真ではなく「活動記録」であることを忘れないようにしてください。お子さまが集中している様子を撮りましょう。
まとめ

今回は、特に知名度が高い教育法である「モンテッソーリ教育」「シュタイナー教育」「レッジョ・エミリア・アプローチ」についてご紹介しました。
また、ポピンズナーサリーのエデュケアについてもご紹介したことで、ポピンズについてより興味関心を持っていただけたのではないでしょうか。最初に幼児教育についてお話したように、乳幼児期の成長に合わせた必要な経験や教育を受けることが、人間としての成長に大きく関わってきます。
お子さまの個性やご家庭の教育方針を振り返って、どんな教育法が合うのかをいろいろと調べたり、話し合ってみたりするのも楽しいかもしれませんね。
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この記事を書いた人

- 五島 由紀子
- 保育・教育関係に携わって15年以上。保育園施設の管理職を経て、2022年よりフリーランス保育士として活動開始。保育士免許・幼稚園教諭二種免許・キッズマナー講師資格取得。現在は、1人のお子さまへ細やかな保育を行いたいと感じ、ポピンズナニーとして保育に携わっております。趣味はベリーダンス。子育てカウンセラー資格取得に向けて勉強中。