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主婦が保育士資格を取得する方法や勉強のポイントを紹介  

2024.09.27
  • 保育士
  • 資格・キャリアアップ

子どもに関わる仕事がしたいと思っている主婦にとって、保育士資格を取得することは働き先の選択肢が大きく広がるため、取得をおすすめしたい資格の一つです。保育士の働き方に興味がある方は、ぜひ資格に関する要点を確認し、取得を目指しましょう。

この記事では、保育士資格を取得する方法や主婦が保育士資格を取ることで得られるメリットなどについて解説します。また、資格取得に向けて勉強する上で、押さえておくとよいポイントなども併せて紹介します。

保育士資格を取得する方法

保育士資格を取る方法は、主に以下の3つがあります。

  1. 1.保育士養成学校に通う
  2. 2.ハローワークの職業訓練を利用する
  3. 3.保育士試験に合格する

主婦の場合、保育士試験を受験する方法が比較的負担も軽く、チャレンジしやすいでしょう。方法ごとのメリット・デメリットを考慮して、自分に合った方法を選択しましょう。

以下、それぞれの方法について、詳しく説明していきます。

保育士養成学校に通う

厚生労働大臣によって指定された保育士養成学校に通う方法です。必要な科目を履修すると、卒業と同時に保育士資格を取得できます(※)。

【保育士養成学校で保育士資格を取得するメリット】

  • 資格試験を受ける必要がない
  • 保育実習で、保育園での実際の保育を体験できる

保育実習を経験することで、保育士の仕事についてより具体的なイメージが得られます。どのような場所でどのように働きたいかを考える上で、保育実習は役立つカリキュラムです。

【保育士養成学校で保育士資格を取得するデメリット】

  • 費用がかかる
  • 時間がかかる

各学校によって異なりますが、2年制の短大や専門学校に通った場合でも年間200万~250万円程度の授業料が必要になります。

また、保育士養成学校の中で最短で卒業できる学校を選んだ場合でも、卒業まで2年かかります。

このように、保育士養成学校への入学には数百万円ほどの費用がかかるため、主婦にとって現実的に難しい場合も多いでしょう。また育児中であったり、家を長時間離れられない事情があったりすると、継続して通学するのも困難になります。

費用や時間の面から考えると、主婦が保育士資格を目指すときの方法としてハードルが高いかもしれません。

※厚生労働省雇用均等・児童家庭局長通知:指定保育士養成施設の指定及び運営の基準についてhttps://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=00ta9772&dataType=1&pageNo=1

ハローワークの職業訓練を利用する

ハローワークが実施する職業訓練制度を利用して、専門学校や短期大学に入学して保育士資格を取る方法です。

【ハローワークの職業訓練で保育士資格を取得するメリット】

  • 授業料が無料(教科書代など実費のみ負担)
  • 卒業と同時に保育士資格が取得できる

【ハローワークの職業訓練で保育士資格を取得するデメリット】

  • 応募できる条件が決まっている
  • 時間がかかる

なお応募条件や保育士養成コースの設置状況などの詳細は、各都道府県のハローワークによって異なります。職業訓練に興味がある場合は、近くのハローワークで確認しましょう。

また、授業料が無料になる点以外は、保育士養成学校で保育士資格を取得する場合と同じです。職業訓練を利用する場合は費用がかからないため、応募条件に当てはまっている方は検討する価値があるでしょう。

保育士試験に合格する

全国保育士養成協議会によって実施される保育士試験を受験する方法です(※1)。試験に合格すれば、保育士資格が取得できます。資格自体は、保育士養成学校に通って取得するものと同じです。

【保育士試験で保育士資格を取得するメリット】

  • 費用が抑えられる
  • 自宅で取り組める

保育士試験の準備方法は、テキスト本で独学する、通信教育で勉強するなどがあります。短大や専門学校への入学と比較すると大幅に安く済みます。

また、通学の必要がなく育児や家事と両立しやすいというのは、主婦にとって大きなメリットです。

【保育士試験で保育士資格を取得するデメリット】

  • 1人でモチベーションを保ちながら学習し続ける必要がある
  • 実技試験の準備を自分でしなければならない

短大や専門学校に通うわけではないので、計画的に自分一人で学習を進めていく必要があり、継続の難易度が高く、途中で挫折してしまうかもしれません。

また、保育士試験では、まずマークシート方式の筆記試験を受験し、全てに合格すると実技試験に進みます。実技試験は、「童謡の弾き歌い」「絵画」「3分間のお話(童話)」のうち2分野を選ぶかたちです(※2)。実技試験対策として練習が必要となります。

保育士試験は自分の責任で試験準備をする必要がありますが、費用がそれほどかからず自宅で勉強できる点は大きなメリットです。主婦にとっては、資格取得に向けて比較的取り組みやすいといえるでしょう。

※1 一般社団法人全国保育士養成協議会:保育士試験とは

https://www.hoyokyo.or.jp/exam/about/index.html

※2 一般社団法人全国保育士養成協議会:令和5年実技試験概要

https://www.hoyokyo.or.jp/exam/practicalexam2.html

主婦が保育士資格を取得するメリット

主婦が保育士資格を取ることには、さまざまなメリットがあります。

育児の経験を生かせる

保育士資格を取得すれば保育士として仕事をすることが可能です。そして、保育の仕事では、育児の経験を活かすことができます。。育児で経験する授乳やおむつ交換、離乳食などは、保育の基本的なスキルです。また、個人差は様々あるものの、自分の子どもを育てる中で得た子どもの発達段階や特徴についての知識は、保育現場で役立てることができるでしょう。

さらに、出産の経験もプラスになります。妊娠中の保護者に対しての配慮ポイントが理解できている上で、寄り添った対応や共感などができると保護者との信頼関係を高めることができお子様との関わり以外でも更なるやりがいに繋がるでしょう。

家事と両立しながら働ける

保育士の求人は安定しており、パートや短時間の勤務など、育児や家事と両立しやすい働き方が選べます。子育て中はパートとして働き、子どもが大きくなったら正社員に転職するなど、柔軟にキャリアを変えることも可能です。

自分の状況に合わせつつ、保育の経験年数を積めるのもポイントです。保育においては経験年数が重要ですので、少しずつ経験を積むことで、スキルや強みを着実に高められます。

やりがいを得られる

子どもの成長をサポートする保育士は、子どもが好きな人にとって大きなやりがいを感じられる仕事です。預かる子どもの年齢や働く場所によって常に新しい学びがあり、充実感を味わえます。

同時に、子育てしながら仕事をする保護者を支援する側面もあり、その点もやりがいを感じられるでしょう。

正規雇用で安定した収入が得られる

特別な資格や仕事の経験がなく、家事や育児に専念するために何年も働いていなかったという主婦にとっては、保育士資格を取得することは将来正社員を目指せる道になります。求人が多く安定している保育業界で働けるため、保育士になると正規雇用でキャリアを築ける可能性が高まります。

40代以降でも就職先が見つけられる

保育士資格は国家資格であり雇用が安定しているため、資格を取得すれば、40代以降でも就職先が見つけやすくなります。

さらに、50代以降でも保育園の朝夕のパートやベビーシッターなどパート雇用が多くあり、勤め先を探しやすいでしょう。

職場が選べる

保育士資格を取得すると、保育園だけでなく、学童や療育施設などさまざまな場所で働けるようになります。子どもと関わる幅広い仕事の中から、自分の適性や希望に合った仕事を選べます。

主婦が保育士資格の勉強をするときのポイント

保育士試験を受験して、保育士資格を取る場合のポイントを6つ説明します。受験の準備をする上での注意点を押さえて、計画的に勉強を開始しましょう。頭の中で考えるだけではなく、情報や考えを書き出して整理すると、学習をスムーズに進めるのに役立ちます。

出題範囲を確認する

筆記試験の出題範囲を確認しましょう。どのような内容を勉強するのかを確認し、全体の学習量を把握します(※)。

筆記試験範囲は大きく8つありますのが、そのうち「法律」や「福祉制度」は細かい暗記項目が多い科目であり、その分時間がかかります。また「保育所保育指針」は特に重要な範囲で、深く理解し、しっかり覚える必要があります。

※一般社団法人全国保育士養成協議会:保育士試験とは

https://www.hoyokyo.or.jp/exam/about/index.html

スケジュールを立てる

試験日から逆算して、学習スケジュールを立てます。できるだけ短期間で合格できるように、効率的に勉強を進めるよう心掛けましょう。

とはいえ、1回の筆記試験で出題範囲の8科目全てを合格できなくても大丈夫です。合格した科目は合格した年から3年間は有効ですので、焦らずに半年後の次の試験に向けて準備しましょう(※)。

※一般社団法人全国保育士養成協議会:免除・一部科目合格の有効期間について

https://www.hoyokyo.or.jp/exam/qa/05.html

家族の協力を得る

保育士試験に向けて勉強するには、家族の協力が必要です。保育士資格を取得する理由や目標を家族に伝えて、応援してもらえると良いですね。

特に協力をお願いしたいのは、実技試験の直前です。ピアノや絵、お話などの実技は、一人で集中して練習し習熟しておくことが大切です。

弾き歌いについては、ピアノの練習はヘッドフォンをつけてキーボードを使えば、音量を気にせずに家の中で練習できます。歌はカラオケなど、思いきり声を出して歌える場所で練習しましょう。歌だけでなく、お話の練習もカラオケでできます。家族の協力を得て、一人で練習する時間を確保しましょう。

勉強方法を工夫する

保育士試験の勉強では暗記項目が多いため、勉強方法を工夫して要領よく学習することが大切です。人によって暗記しやすい勉強方法は違いますが、作業量が多すぎると挫折しやすくなってしまいます。

テキストの内容を全てノートに写したり、端から順番に覚えようとしたりするのは、時間がかかりすぎるので避けた方がよいでしょう。保育試験対策のテキストや過去問題集から重要な項目を確認し、試験に出やすいポイントから覚えると効率的です。

主婦が勉強するときは、すきま時間の活用もおすすめです。スマートフォンや保育士試験対策アプリなどを上手に活用して学習していきましょう。一回ずつはわずかな時間でも、積み重なると学習の成果が出てきます。

例えば、炊事や洗濯といった家事の時間に、動画などで保育士試験講座や弾き歌いの課題曲を流すのもよいでしょう。また、暗記する項目を自分の声で読み上げて録音し、繰り返し聞くのも記憶の定着に役立つ方法です。

学習記録をつける

スマートフォンの日記アプリなどを使って、毎日数行ずつ学習した内容や感想を書いてみましょう。自分が読み返すだけの記録ですので、気負わずに書いて大丈夫です。学習の進捗を記録することは、モチベーションを維持するのに役立ちます。

主婦は家族の都合や日常生活の用事で忙しいことが多く、保育士試験の学習が後回しになりがちです。思い通りに学習が進まないと、あきらめたくなる気持ちになることもあります。

そのようなときには、これまでの学習の記録を振り返ってみましょう。自分がどれだけ努力してきたか、どのような成果を出してきたかを確認することで、学習を続ける意欲が湧いてきます。

完璧を目指す必要はない

保育士試験に合格するために、完璧を目指す必要はありません。完璧に準備しようとすると、時間がかかるだけでなくストレスにもなります。

目的は「資格を取って保育士として働くこと」です。保育士試験で高得点を取る必要はなく、6割以上取れば合格できます(※)。

筆記も実技も、合格ラインを超えればそれで問題ありません。合格まで学習を継続していくためにも、無理なく自分のペースで取り組んでいきましょう。

※一般社団法人全国保育士養成協議会:令和6年試験案内

https://www.hoyokyo.or.jp/exam/guidance/index.html

まとめ

主婦から保育士を目指す方に向けて、保育士資格の取得方法を解説しました。

保育士資格を取得すれば、自分のライフスタイルや価値観に合わせて、さまざまな働き方ができます。例えば保育士の仕事は、保育園での集団保育だけでなく、「ベビーシッター」や「ナニー」(※)などの個別保育もあります。

保育士資格の取得は、将来に向けて自分の可能性を広げる大きな一歩となります。資格の勉強は難しいと感じるときもあるかもしれませんが、すきま時間を上手に活用して、保育士資格の取得を目指しましょう。

※ナニー:教育ベビーシッター

この記事を書いた人

柳生有香子
保育士資格、幼稚園教諭2種免許保有。3児を出産後、30代で保育士資格を取得し、認可保育園と企業主導型保育園で合わせて10年間勤務しました。集団の中で困りごとを抱える子どもやその保護者と関わりたいという思いから、現在は児童発達支援・放課後等デイサービスで個別療育に従事しています。

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