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お子さまとご家族の懸け橋として「もっと知りたい」「もっと良くしたい」ーナニーは多くの学びを得られる深い仕事

2025.06.27

学生時代にイギリスで学んだ経験を活かし、多様な価値観や文化を尊重したお世話をされているOさん。

自由な発想や表現を大切にする英国の教育スタイルに触れてきたからこそ、お子さま一人ひとりの個性を尊重し、のびのびと関わるその姿勢は、保護者からの信頼を集めています。

Oさんにスーパーナニーとしてのお仕事の魅力を語っていただきました。

ナニーとは子育てはもちろん、これまで培ってきた経験が活かせる仕事

─Oさんは、ナニーのお仕事を始めて7年になるそうですね。どういうきっかけで、ナニーの仕事と出会ったのですか?

私は小中学校時代、イギリスの女子高に通っていました。お友達の家に遊びに行くと、ナニーさんがいらっしゃるお宅が多かったんです。その頃はナニーさんという言葉も存じ上げなかったので、最初は家庭教師さんかなと思っていました。「赤ちゃんの頃から私のことを見てくれているんですよ」とおっしゃっていて、とても興味深く感じていました。

家庭では男の子と女の子、2人の子どもを育て、現在は25歳と28歳になりました。子どもたちの中学受験や大学受験に至るまで、私は常にサポートをしてまいりました。子育てには自分なりに力を注いできたと思っております。

受験期において最も大切だと感じたのは、「適切な距離感」です。勉強が得意なお母様方は、積極的にアドバイスをされることも多いかと思いますが、私の場合は、子どもが何か助けを必要としている時にはできるだけ近くに寄り添い、逆にそうでない時は、あえて距離を取るように心がけていました。その「距離の取り方」を大切にしていたように思います。

ナニーのお仕事はこうした子育ての経験や、これまで携わってきた仕事で培ってきたすべてを活かせるのではないかと、直感的に感じたのです。これまで、社長付の秘書や翻訳といった仕事に携わってきましたので、どちらかというと“縁の下の力持ち”的な役割が多かったように思います。おそらく性格的にも、前に出るというよりは、後ろで支える方が自分には合っているのだと思います。その方が自分らしく、うまくお仕事もできますし、力もより発揮できていると感じます。

─早朝の送迎から夕食のお世話まで。様々なお仕事に入られていますが、それぞれ心がけていることを教えて下さい

毎週1回、朝7時から9時までのレギュラーのお仕事で、2人のお子さまの送迎をしています。限られた時間の中でご自宅の家事を済ませ、すべて整えた状態でそれぞれのクラスにお子さまと登園します。クラスが別々のため、準備や保育園内での動きも多く、朝の時間帯は特にバタバタとしています。

お仕事を始めた当初は、他のナニーさんが交代で入っていたこともあり、園の先生方との連携がうまく取れていなかったようです。

そこで私は保育園の先生方とも密にやり取りをして、「最近はこういうふうに変わったのよ」といった情報も教えていただけるようになりました。先生方との良好な関係が、お母様の安心にもつながっていると思います。

11時半から12時半は都内の幼稚園の送迎をしています。バスに乗ってインターの学童にお連れするのですが、同じ幼稚園のお母様方やお子さまも多く乗車されているので、周囲の目も意識しています。

バスの中では、ちょっとした可愛い折り紙などを持って行って、みんなで楽しく遊べるように工夫しています。関わり方ひとつで雰囲気が大きく変わる、とても濃く、大切な時間です。

週末の夜は17時から21時まで、保育園へお迎えに行き、お宅でお世話をしています。夕食の後はお片づけまでが基本の流れですが、ときどき急に「あと5分で○○に出発します」とお出かけになることもあるので、遊びの中でさりげなく片づけを進め、いつでも出発できる状態を整えておくようにしています。

ご家庭によって本当にさまざまで、想定外のことや目に見えない仕事も多いですが、それも含めて楽しむようにしています。同じ1日はありませんし、想像以上に多くの人の目があることも意識しています。担任の先生も意外としっかり見ていらっしゃるので、常に見られている前提で、丁寧な所作やご挨拶なども心がけています。

─お客様のご要望に応えるために努力していることはありますか?

初めてのお仕事や土地勘のないエリアに行く際は、事前に駅周辺のトイレや、公園、児童館など、お子さまとの過ごし方を想定して下調べをしています。お散歩中におむつ替えができる清潔な場所を探したり、大きなマンションの場合は迷わないように入口の確認をしたりしておきます。当日安心してお子さまに向き合えるよう、事前の準備はしっかり行っています。

特に私は、前日の事前連絡をかなり丁寧に行っています。自分の体温の報告や予防接種の有無、翌日の準備の確認などをお伝えすると、お母様からも「何時に出たいので、それまでにこれをお願いしたい」といった具体的なご要望をいただけます。細かな情報共有がスムーズなお仕事につながると感じています。

求められている以上の準備も、できる限り整えてからお仕事に臨むようにしています。そこまでしなくてもいいことかもしれませんが、そうすることでお母様との信頼関係につながっているのかなと思います。

我が子の受験の時も、模試で初めて行く学校や会場が多かったので、必ず事前に足を運んで下見をしていました。もともと細かく準備するタイプなんです。その性格が、今のお仕事でもとても役に立っていると感じます。

好きなことや苦手なことがはっきりしているお子さまも多く、提案した遊びに興味を示さないこともあります。そんな時にはお子さま自身のやりたいことや、嫌いなことに耳を傾けることが、興味を引き出す大切なポイントだと感じています。

ごっこ遊びひとつでも、いつも同じでは成長につながりにくいので、そこから少しずつ工夫して、数や自然、季節のことなどに楽しくつなげていけるよう努めています。

どうしても興味のあることが見つからないお子さまの場合は、ご家族で最近行かれた旅行などのエピソードからヒントを得ることがあります。例えば「どこに行ったの?」と聞いて「動物園」と答えてくれたら、「こんな動物がいたんじゃない?」と話を広げたり、その動物に関する絵本を読んだり。旅行の体験から地理や自然の話へと楽しくつなげるようにしています。

─お子様と接するときにいつも大切にしていることを教えていただけますか?

まず、何よりも大切なのは、お子さま一人ひとりに真剣に向き合うことだと思っています。これは一見、当たり前のように思われるかもしれませんが、実際にはとても難しく、意識しないと見落としてしまいがちなことです。

お子さまは、大人と同じように様々なことを感じ、考えています。ただ、それをお父様お母様にうまく伝えられないことも多く、たくさんの想いを心の中に抱えているお子さまも少なくありません。

特に最近では、お父様お母様もお忙しいことが多く、そうしたお子さまの心の内に気づきにくいこともあるように感じます。だからこそ、私は少しでもその気持ちに寄り添い、「よく頑張ってるね」などと声をかけるようにしています。すると、お子さまはふっと笑顔になって、「なんでそんなことわかるの?」と言ってくれることがあるんです。

そのような関わりの中で、学校で嫌な思いをしたことや、誰かに意地悪されたことなど、ご自分から話し始めてくれることもあります。

ですから私は、安全面を守ることはもちろんですが、それと同じくらいに、心のケアも大切にしています。言いたくても言えない気持ちを、安心して話せるような空気や環境を整えてあげることが大切ですね。

お子さまと身近に接していると、「本当に一生懸命がんばっているんだな」ということが、自然と伝わってくるんです。そうした頑張りを、できるだけさりげなくお母様にお伝えするようにしています。

例えば、「お父様やお母様の〇〇を、手伝いたいっておっしゃっていましたよ」などとお伝えすると、「そんなこと、家ではまったく言わなかったのに」と驚かれつつも、とても喜んでくださることがあります。

そういった小さな気づきや思いを、親御様に届けることで、お子さまとご家族の間の架け橋のような役割が果たせればと思っています。

長くお付き合いのあるご家庭が多く、「今度のパーティーに着ていく洋服、どちらがいいと思う?」といったご相談までいただけるような、良い関係を築けるようになりました。ただ、その信頼も小さなミスひとつで壊れてしまうことがあるのは十分承知していますので、どれだけ長く続いているご家庭でも、気を引き締めて丁寧に向き合うことを常に心がけています。

─お世話において印象に残るエピソードがあれば教えてください

ある時、お母様が急にご入院されることになり、「実は幼稚園の初めての親子遠足があるんです」と、とても悩まれていました。「行っていただくのは難しいですよね」とご相談を受けたのですが、少しでも力になれたらと思い、「ぜひ行かせていただきます」とお受けしたんです。

私自身、その幼稚園に行くのは初めてで不安もありましたが、お子さまが「Oさんが来てくれるなら嬉しい!」と言ってくれて、安心して当日を迎えることができました。

遠足では、先生方や保護者の皆さまも温かく迎えてくださり、自然と輪に入ることができました。お子さまもとても楽しそうで、最後には「まだ帰りたくない」とおっしゃるほどでした。

後日お母様にご報告すると、「本当に安心しました」と喜んでいただき、私にとって忘れられない出来事になりました。

以前、医学部を目指しているお子さまのお世話に伺ったこともあります。これまで「勉強しなさい」と言われ続けてきたそうで、それが当たり前の環境だったようです。

その中で、私はあえて何も言わずにそっと見守っていたのですが、ある日ふとそのお子さまが、「え、なんでわかるの?今、本当に話しかけてほしくないタイミングだったんだけど、そういうのをわかってくれる人に今まで会ったことがなかった」と言ってくれたんです。

ある休憩時間には、ゲームをしている姿を静かに見守っていました。15分ほどゲームを続けた後、お風呂の時間になったので、「お風呂に入っている間に、私が充電しておいてあげようか?」と声をかけたところ、とても喜んでくださって、「なんでそんなことまで気がつくの?」と驚かれました。

それ以来、とても信頼してくれるようになり、ご自身の勉強の仕方や時間の使い方についても、自然と相談してくれるようになったんです。

あまり近づきすぎて「こうしましょう」「ああしましょう」と言うよりも、少し距離を置いてそっと見守る方が、そのお子さまにとっては心地よく、信頼につながるという発見もありました。

─ナニーのお仕事の中で難しさを感じることはありますか?

この仕事を続けていて常に感じるのは、お子さまの命を守る責任の重さと、危険と常に隣り合わせであるという緊張感です。例えば公園では、一瞬たりとも目を離せず、持ち物すら気を配らないと失くしてしまうこともあります。

ただ、安全を意識するあまり「危ないよ」と言い過ぎてしまうことが自分の課題だと感じています。注意のしすぎは、お子さまの危険への感覚を鈍らせてしまったり、遊びそのものを楽しめなくなることにもつながるからです。ですので、本当に危険な場面だけ声をかけるように心がけ、安心して自由に遊べる環境と、安全のバランスを取ることの難しさを日々感じながらお世話をしています。

確かな経験と専門性で、お子さまとご家族に寄り添う

─教育に関する資格はお持ちでしょうか

ナニーの仕事を始めてから保育士の資格を取得しました。というのも、お母様の中には資格の有無を気にされる方もいて、それが安心材料になることも多いからです。資格を持っていなかった頃は、「申し訳ございません。勉強しています」とお伝えしていたのですが、自分自身のためにも、資格を取って本当に良かったと思っています。

お母様から保育に関するご相談をいただくこともありますが、その際に保育士として学んだ、児童福祉法に基づく考え方がとても役に立っていて、改めて勉強してよかったと感じています。

英語指導も長年続けておりまして、3歳のお子さまから90歳の方まで教えています。今は遊びの中に英語を取り入れたり、勉強の時間に少しずつ取り入れたり、無理のない楽しいスタイルで行っており、それがナニーのお仕事にもとても役立っていると感じています。

また、内科と皮膚科のクリニックで医療事務の資格を取得し勤務していた経験もあります。お子さまを病院にお連れする際には、先生の診断内容や説明をできるだけ細かくメモしてお母様にお伝えするようにしており、「まさにその情報が知りたかった」と喜んでいただくことも多く、医療事務の資格を取っておいてよかったと実感しています。

家政士の資格も持っていて、お洗濯や染み抜きなどをお願いされる際に役立っています。染み抜きについても、「これは簡単に見えても生地を傷める恐れがあるので、洗濯表示ではクリーニング推奨となっています」とお伝えすると、「教えてくれてありがとう」と喜んでいただけることもありますね。できないことをただ断るのではなく、「こういう理由で専門の対応が必要です」とご説明すると、安心していただけるようです。

─どのようにお子さまの興味を引き出し、モチベーションを高めていますか?

ある時、お母様が「本人が欲しいと言って買ったのに全然遊んでくれない」とおっしゃっていた難易度の高いブロックがありました。お子さまは「難しいからやって」と頼んでくるのですが、そこで一緒に箱を開けて、説明書を見ながら、「このパーツは4×2って書いてあるから、これが4、これが2だね」と一緒に数えるところから始めました。

するとお子さまはだんだん夢中になってパーツを集め始め、気づけば1時間近く集中して取り組み、最終的にはひとりで乗り物を完成させることができました。その時の達成感が大きかったようで、何度もお母様に「今日やったんだよ!」と嬉しそうに見せていました。

とても賢いのに、自分の気持ちをなかなか表に出さず、「どうせできない」「難しいからやらない」といった言葉をよく口にするお子さまでしたので、お母様も大変喜ばれました。

自分で「できた」と感じる体験を通して、自信を持てるようになる、そのきっかけをつくるのが私たちの役割だと、改めて感じました。

私が通っていたイギリスの学校では、実際に森へ行って水を撒き、出てきた虫を観察して絵に描いていたんです。そういった経験から、お子さまが虫に興味を持っている時には、一緒に外へ出て観察したり、遊びを通して学びにつなげたりしています。

興味のあることを深掘りする姿勢は、お受験に限らず、すべての学びにおいて大切です。

実際、私の息子も医療系のドラマが大好きで、そこから興味を深めて医師の道に進みました。だからこそ、「好き」をきっかけにその世界を広げていくお手伝いができたらと思ってお世話をしています。

─保護者様とのコミュニケーションで意識していらっしゃることはありますか?

7年ほどこのお仕事を続けていると、長く関わっているご家庭も多いため、お互いに理解が深まっている部分もありますが、常にフラットな姿勢を大切にしています。ご家庭の状況やお母様のご気分は日によって異なりますので、感情に引っ張られすぎず、冷静に、お子さまのご様子や行なったことをお伝えするよう心がけています。

また、ご依頼の背景や意図をしっかりと汲み取り、自分なりにかみ砕いて理解して対応しています。お子さまにも気持ちが不安定な時がありますが、それも自然なこと。無理に変えようとせず、落ち着くのを待ちながら、一緒に過ごす時間の中で少しずつ心が整うようサポートしています。

ナニーはご家族様に笑顔を運ぶ仕事

─このお仕事のやりがいを教えていただけますか

お母様から「本当に助かりました」とお言葉をいただいたり、お子さまが嬉しそうに「今日もすごく楽しかった!」と笑顔を見せてくれたり。そういった小さな達成感が積み重なるたびに、この仕事のやりがいを実感しています。年齢を重ねた今だからこそ、こうした一つひとつの出来事が、心から嬉しく、励みになります。

また、お世話を続ける中で「もっと知りたい」「もっと良くしたい」と思うことが増え、自分自身もコツコツと学びを重ねてきました。そういう意味でも、この仕事は達成感だけでなく、多くの学びを得られる、本当に深い仕事だと思います。

もちろん大変なこともありますが、それ以上に、お子さまやお母様とのやりとりの中には笑いがあふれていて、日々楽しく働かせていただいています。こんなに笑顔の多い仕事は、なかなかないのではと感じていて、とても恵まれていますね

─ナニーになって良かったことを教えてください

ポピンズにはコンシェルジュの方がいてくださることが、私にとって本当に大きな支えです。お仕事の前に、「こういう部分に気をつけてくださいね」「こういうところをフォローお願いします」といったアドバイスをいただけることが多く、その存在があることで安心して仕事に臨むことができます

何か困ったときや迷ったときに相談できる相手がいるというのは、非常に心強いですし、だからこそ私はポピンズで安心してお仕事を続けられているのだと思います。些細な事も丁寧に話を聞いてくださるので、とても感謝しています。コンシェルジュの方は、私にとって本当に大きな存在です。

お母様方からも、「他の所にもお願いしているけれど、ポピンズさんはコンシェルジュの方が細やかに話を聞いてくださるので本当にありがたい」といったお声をいただくことがあります。また、「ちょっとしたことでもナニーさんに伝えてくださるので、とても助かっています」といった感想を伺うこともあり、まさにその通りだと私自身も感じています。

─ポピンズでナニーになろうとしている方へメッセージをお願いします。

ナニーという仕事は、私が初めてこの仕事に関わった頃には想像できなかったほど、日々さまざまなチャレンジがあります。でもそれ以上に、自分にとってプラスになることがとても多く、何より笑顔になる瞬間がたくさんあるのが魅力です。

これまでの仕事よりも、毎日たくさん笑うようになりました。お子さまたちの何気ないひと言やユニークな発想にお腹を抱えて笑うこともあり、本当に楽しい時間を過ごせています。学びが多く、ワクワクすることも多く、とてもやりがいのあるお仕事です。

これからナニーを目指す方には、ぜひこの楽しさを体感してほしいですね。笑顔のシワが増えるくらい、幸せな時間がきっと待っていますよ

これまでの子育ての経験はもちろん、一見ナニーとは関係なさそうな資格やスキルも、思いがけない場面で役立つことがあります。あなたのこれまでの歩みが、きっと誰かの力になります。ぜひ、一緒にナニーというお仕事にチャレンジしてみませんか?

ナニーのお仕事にご興味のある方はぜひこちらもご覧ください→

この記事を書いた人

なおこ
小学校に通う男の子のお母さんナニーです。活発なお子さまのお世話が得意なので、日々一緒に楽しく遊んでいます。 お子さまに寄り添い、お母様に共感し、みんなが笑顔になるような発信ができればと思っております。

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