幼児教室の先生からスーパーナニーへ、お子さま一人ひとりの自主性を育み、成長を見守るあたたかな時間

幼児教室の先生として、多くのお子さまと向き合ってきたSさん。これまでの経験を活かし、現在はスーパーナニーとして、お子さま一人ひとりの成長に寄り添います。転身の理由とそれぞれのお仕事の魅力を語っていただきました。
教えることから寄り添うことへ
─ナニーになったきっかけを教えていただけますか。
昔から子どもが大好きで、結婚前は幼児教室で働いていました。そこでは、0歳から小学生までの子どもたちにリトミックや体操を教えたり、学習のサポートをしたりしていました。結婚後は出産を機に退職し、約18年間、子育てに専念してきました。そして、末っ子の中学受験がひと段落し、中高一貫校に進学したことを機に、社会で何かお役に立てればと思い、仕事を探し始めました。
これまでは大勢のお子さまと関わる仕事をしてきましたが、これからは一人ひとりと深く関わる仕事もしてみたいと考えるようになりました。
以前からベビーシッターのお仕事は知っていましたが、ポピンズナニーサービスではコーディネーターの方に相談できる環境が整っていることを知人を通じて知り、一人で悩むのではなく、サポートを受けながら働ける点に魅力を感じて応募しました。
実際、ナニーになってみると、大変というよりも、楽しい!という気持ちの方が大きいです。お世話が終わった後はすごく清々しい疲れなんです。それは、お子さまから元気いっぱいのパワーをいただいているからなのかなと思います。
─幼児教室の先生として働いていた時と、ナニーとしての今とでは、どのような違いを感じますか?
幼児教室では1対1で対応できないこともあり、すべてのお子さまの要望に応えることが難しく、心苦しく感じることもありました。
特に自己主張が強いお子さまの意見が中心になりがちで、その結果、おとなしいお子さまの気持ちが後回しになってしまうことに悩むこともありました。そのため、できるだけ全員の気持ちを汲み取るよう心がけてきました。しかし、今ではお子さま一人ひとりのやりたいことを尊重しながら成長を促せる環境になったので、以前とは大きく違うと感じています。
現在、3歳の双子のお子さまのお世話をしています。長く関わっていますので、お母様が何を望まれているか、どのようなことが喜ばれるのか、自然と分かるようになりました。
また、お子さまの性格も、何が好きで、どんなことで機嫌を損ねやすいのか把握しています。そのため、泣いてしまった時も、すぐに落ち着く方法で対応できますし、時には見守る方が良いこともあります。その判断がスムーズにできるのは大きなメリットだと感じています。
─お世話において心がけていることを教えていただけますか?
とにかく笑顔で接すること、愛情を持って接すること。お母様がお子さまにどのように成長してほしいか、また、お子さま自身が今何を望んでいるのかということが最優先です。ただ求められたことに応えるだけでなく、その先につながるサービスまで提供できるように考えています。
お母様のご意向を尊重することも大切ですね。
「このプランとは別に、こちらの案も考えましたが、お母様にはどちらがお好みでしょうか」とお伺いすることもあります。もちろん、お母様が別の考えをされていたら、そのご意向に沿って対応し、その通りにお世話をします。
そして何よりも、自分の健康が大切だと思っていますので、キックボクシングのレッスンに通って体力づくりをしています。体調が万全でなければ、お子さまのお世話もままなりません。抱っこする機会も多いので、筋力をしっかりつけておこうと思っています。
お子さまと向き合う喜びをより深く
─初めてのお宅では「お子様が泣き止まれなくて困った」というナニーさんのお声も伺います。Sさん流の泣き止ませ方があれば教えてください。
お子さまの気分をパッと切り替えられるよう心がけています。例えば、少し環境を変えてみるのも効果的です。可能であれば外に出て、冷たい空気を感じるだけでも気持ちが落ち着くことがあります。その後に優しく声をかけると、自然と泣き止まれることも多いんです。
また、用意した小道具を使って、「Sさんの大切なもの、見せてあげようかな?」と興味を引くと、気分が切り替わることもよくありますね。
ただ、その時々で対応は異なります。抱っこしてお声がけすることで安心される場合もあれば、あえて言葉をかけず寄り添う方が落ち着くこともあります。転んで泣いている時、ご機嫌が斜めな時、疲れて泣いている時など、それぞれ理由が違うので、お子さまの様子をよく見て、その場に応じた対応をしています。
─その技術は、幼児教室の先生の頃からお持ちだったのでしょうか、子育ての中で身につけられたのですか?
気持ちを切り替えてあげることはすごく大事です。大人でも落ち込んでいる時に、パッと空を見たり、ふとした言葉で何かが切り替わったりしますよね。お子さまもきっと同じなのではないかと思います。プラスの言葉で楽しい言葉がけをしてあげて、お子様の気持ちをとにかく汲んで差し上げます。
泣いている時は、何かが不満で泣いているのです。まずはその不満や不安や痛みなどを受け取って、「泣きたいわよね」と共感することで安心していただけるようにしています。
─お子さまやお母様に喜んでいただけたご提案がありましたら教えていただけますか?
お製作は、お子さまと楽しい時間を過ごせますし、お母様にもとても喜ばれます。
外遊びの前に、お子様と一緒に「冒険メガネ」のようなお製作して、そのメガネを持って公園へ探検に出かけます。用意した紙製の筒に好きなシールを貼ったり、クレヨンで塗ったり、ビリビリとちぎった色紙を糊でペタペタ貼ったり。いろいろな色のマスキングテープをクルクルと巻いてもかわいいです。あとは紐で吊るして、その時の気分で自由に作っていただきます。探検気分を高めるためのアイテムですので、壊れてしまったらそれでいいですし、製作から楽しむことが最優先です。
公園で、どんぐりを拾ったり、きれいな葉っぱを見つけたり、何かを発見するのが楽しいですね。自分で作ったものを持って外へ出て、冒険気分を楽しんで、のびのびと遊ぶ姿を見るととても愛らしく感じます。
その季節にちなんだ絵本を読んだり、季節を感じるお製作をしたりしています。例えば、春には桜の花びらでカードを作ったり、十五夜の時はティッシュでお団子作りをしたり、母の日が近い時は、お母様に「いつもありがとう」のお手紙を書いたり。保護者様にも喜んでいただいています。
─お製作の道具は、いつも持ち歩いていらっしゃるのでしょうか。もしよろしければ見せていただけますか?

持ち物は、お世話をするお子さまに合わせて変えているのですが、これは1歳から3歳くらいのお子さま向けです。
ライトは、防災用としても持っていると安心ですし、探検ごっこが大好きなお子さまにも喜ばれます。2本あるのは、電池が切れた時の予備と、双子のお子さまにも対応できるようにするためです。のりやはさみなどの文房具は、できる限りコンパクトにまとめて、ウエットティッシュはいつも忘れずに持っています。あとは、お子さまが好きなキャラクターのものを持つようにしています。お気に入りがあると、会話が弾んで楽しくなりますよね。
鳥の絵柄のスカーフは、私が鳥好きという事もあるのですが、いろいろな場面で活躍します。寝てしまったお子さまにそっと掛けたり、お人形をおんぶする時に使ったり、畳めばコンパクトになるので持ち運びも便利です。スカーフに描かれた鳥を見ながら、「いろいろな鳥さんがいるね」「この子とこの子は一緒かな?」と話が広がったり、「何色があるかな?」と色を覚えるきっかけになったり、「この鳥さんは飛んでいるのかな?」と想像を膨らませたり。お子さまの興味を引き出せるスカーフです。
最高品質のサービスを提供するために

─スーパーナニーさんになってまもなく1年とのことですが、プレミアムコースのお客様に最高品質のサービスを届けるために心がけていらっしゃること、努力されていることはありますか?
外出の際にはベビー用品店に立ち寄って、最新のバギーや哺乳瓶、お食事関連のアイテムなどをチェックしています。私が育児をしていた頃と比べると、ベビー用品はすいぶん進化していますね。お母様から質問を受けた際に、必要に応じて適切なアドバイスができるよう、常にリサーチを心がけています。
最近のマグはこぼれにくくなっていますし、お皿も吸盤付きのものがあり、便利になりました。便利な育児グッズが増えたことで、お母様も外出時や日々の育児を、より気負わずに楽しめるようになったのはとても良いことだと思います。
離乳食も昔に比べて格段においしそうになりましたね。私が育児をしていた頃は、困った時の頼みの綱として申し訳ない気持ちで使っていたのですが、今はお子さまが喜ぶ工夫がたくさん取り入れられていて、とても魅力的に感じます。
あとは、自分の視野を広げるために、意識的に銀座の街を歩くようにしています。普段の生活圏を離れ、少しおしゃれをして出かけることで、さまざまな人や流行に触れる機会を大切にしています。限られた世界にとどまらず、丸の内などにも足を運び、幅広い視点を持てるように心がけています。
また、2~3ヶ月に一度は友人とホテルのランチやアフタヌーンティーに行き、一流のサービスに触れる時間を作っています。ホテルの上質なサービスに触れ、おもてなしの心遣いを感じることで、自分自身の感性も磨かれると実感しています。
─ナニーとスーパーナニーの違いを感じたことはありますか?
スーパーナニーだからといって、特別に何かが変わったとは感じていません。これまでと同じ気持ちでお客様に接しています。私は、自分ができる最大限のことを提供したいと考えているので、プレミアムコースのお客様もスタンダードコースのお客様も変わらず、同じように対応しています。ですので、自分の中では大きな違いを感じることはないですね。
私自身の子育て期には、預けることがあまり得意ではなく、自分で子どもを見ていたいタイプでした。でも、預けなければならない環境の方もいらっしゃると思います。だからこそ大切なのは、そうした方々がどれだけ安心して預けられるかだと考えています。
─スーパーナニーはカスタマイズサービスやオプションなど、さまざまな家事などの依頼もあるかと思いますがどのように対応されていますか?
お母様から家事のご指示があれば、少しでもお手伝いになればと思い、できる範囲で対応しています。例えば、乾燥機に入った洗濯物をたたんだり、床やおもちゃの除菌をしたり。
通常のお世話の一環としてお子さまのお昼寝を見守りながら、午睡チェックの合間の空いた時間にできることを進めています。
家事の対応がカスタマイズサービスにあたるのかどうか、どう進めるのがよいのかは、お母様とのお打ち合わせによる部分も大きいと思います。お母様とのお打ち合わせの中で迷うことがあれば、会社に相談するのがベストですね。
─Sさんが実践されているエデュケアを教えていただけますか。
お子さまの発達を促すために、もうすぐ歩きそうな時や寝返りを打てそうな時には、その月齢に合った体操やストレッチを取り入れています。以前、ベビー体操を教えていた経験を活かしながら、無理なく楽しく取り組めるよう工夫しています。
例えば、ぬいぐるみを使うと、お子さまの興味を引きやすく、自然とゴロンと寝返りを打つことがあります。また、音を鳴らしたり、ぬいぐるみを移動させたりすると、その瞬間的な動きに反応して目で追うようになります。適切な時期を見極め、こうした小さな働きかけをすることが、発達のきっかけにつながることも多いと感じています。
─お受験を考えていらっしゃるご家庭に寄り添われることも多いと伺いました。心がけていらっしゃることはありますか。
これからお受験を考えているというお母様からご相談をいただくこともあり、特定の学校を希望されている場合には、その学校について調べるようにしています。学校ごとに特色が異なり、元気なお子さまを求めるところもあれば、落ち着いたお子さまが求められるところもあります。また、小学校受験でも、学習面を重視する学校や探究的な学びを大切にする学校などさまざまです。そのため、できる限りアドバイスができるよう学んでいます。
私が育児をしていた頃と状況は変わっているとは思いますが、自分の子どもの受験に関わった経験もあるので、ある程度の流れは把握しています。特に幼稚園受験や小学校受験では、言葉遣いがとても大切です。「パパ」「ママ」という言葉は使わず、「お父様」「お母様」とお呼びするなど、普段から丁寧な言葉に触れていただくよう意識したお声がけをしています。
ご質問にお応えする際にも、これが正しいという言い方はせず、「私はこういう風に考えております」とあくまでも個人の一意見であることをお断りした上で控えめにお伝えしています。
「お子さまの成長を見守る」という気持ちを大切に

─これまでのナニーのお仕事の中で一番達成感を感じた、ナニーをやっていてよかったと思ったエピソードを教えていただけますか
さまざまなご家庭で、毎回、行く度に今日も良かった、すごく良かったなと思っています。その中で特に印象的だったのは、少し泣き虫だった3歳の男の子です。寂しくなると泣いて、怖くなると泣いて、初めての場所も苦手で泣いていました。
先日、一緒に絵本を読んでいた時、恐竜のページにティラノサウルスが出てきたので、また怖がるかなと思っていたら、
「Sさん、怖がらないで。僕が守るよ。よかったら僕の家に泊まってもいいし、何かあったらすぐ電話してね」とおっしゃったんです。とても成長を感じて、思わず涙が出そうになりました。これほどにも優しい心が育ってくれたことが本当に嬉しくて、まるで母親のような気持ちになりました。
私自身、子育てをしていた頃よりも、今はずっとおおらかに見守れるようになりました。少し待てばできることはたくさんあり、例えば靴を履くのも、たった10秒待つだけでお子さまが自分でできることもあります。しかし、大人が先に手を出してしまうと、その成長の芽を摘んでしまうかもしれません。
「早く」という言葉は使わず、お子さまのペースを大切にしたいと思っています。忙しい日々の中では、手伝ったほうが早くて楽ですが、食べこぼしは片付ければいいし、服が汚れたら着替えればいい。もちろん、ご家庭ごとの方針はあると思いますが、もし気になさらないのであれば、できるだけお子さま自身にやらせてあげたいと考えています。
そうやってお子さまが成長されれば、お母様も喜びを感じていただけると思いますし、お子さまも自身も達成感を得られるはずです。結果的に家庭の雰囲気も穏やかになり、笑顔が増えれば毎日がもっと楽しくなりますよね。お子さまの自主性を大切に育てながら、ご家庭がより明るくなるお手伝いができたら嬉しいなと思っています。
─Sさんの今後の抱負をお聞かせください
私は、幼稚園・中学校・高校の教員免許を持っており、現在は保育士の資格取得に挑戦しています。実際に、スーパーナニーとして保育の現場で働いているため、学びもスムーズに進められる部分もあります。
また、社会福祉を学んだ経験から、介護など幅広い分野にも関心が広がり、保育だけでなく、さまざまな要素が関わり合って社会が成り立っていることを改めて実感しています。こうしたつながりを感じるたびに、もっと学びを深めたいと強く思います。
─これからナニーを目指す方や、集団保育よりも1対1でお子さまに寄り添いたいと考えている方へ、メッセージをお願いします。
集団保育では、一人ひとりの成長のペースに寄り添うことが難しい場面もありますが、ナニーなら、お子さまお一人お一人の成長に合わせた保育ができます。
例えばハサミの使いはじめは直線切りやぱっつん切りしかできなかったお子さまが、しだいに丸く切れるようになるなど、次のレベルへのステップアップも一緒に楽しむことができ、一緒に達成感を味わうこともできます。
また、保育園での勤務は長時間にわたることが多いと思いますが、ナニーなら午前中の3~4時間や、夕方だけといったように、柔軟に働く時間を調整できます。そのため、家庭との両立がしやすく、私自身、その点に大きなメリットを感じています。
─何事も明るく前向きに捉え、お子さまの成長を願い、ご家庭やお子さまのペースに寄り添うSさん。
ナニーとしての働き方は、お子さまとの時間を大切にしながら、自分の時間も確保できることが大きな魅力です。幼児教室の先生の経験も活かせます。お子様の成長に寄与する新しいキャリアを築きたいという方は、ぜひ、ポピンズのナニーとして活躍してみませんか?詳しくはこちらをご覧ください→

この記事を書いた人

- なおこ
- 小学校に通う男の子のお母さんナニーです。活発なお子さまのお世話が得意なので、日々一緒に楽しく遊んでいます。 お子さまに寄り添い、お母様に共感し、みんなが笑顔になるような発信ができればと思っております。