保育士資格なしでも保育現場で働ける?対応できる業務を徹底解説
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保育士資格なしでも「保育補助」として保育の現場で働くことは可能です。保育現場で働いてみたいという方は、まずは保育補助の内容を知って自分に合っているか検討してみましょう。
この記事では、保育士資格なしでも働ける保育補助の仕事について詳しく解説します。また、保育士資格なしで働くメリット・デメリットを一覧表で比較しながら説明しますので、これからの仕事探しにぜひ活用してください。
保育士資格なしでも保育の現場で働ける?
保育園など保育の現場は保育士しか働けないイメージがありますが、実際には保育士資格なしでも働けます。具体的にどのような仕事があるのか見ていきましょう。
保育士資格がなくても働くことは可能
保育士は名称独占資格であり、保育士資格を持っていない人が保育士を名乗ることはできません。ただし、資格がないと保育ができないわけではなく、保育士資格を持っていない場合でも保育補助として働くことが可能です。
認可保育園などでは、児童福祉法によって配置する保育士の人数が定められています。しかし、実際の保育現場では配置された人数だけでは十分な保育ができない状態になっている園も多く、そのような園ではより多くの保育士の配置が求められています。
保育士不足を補うために多くの保育園や保育施設で積極的に採用されているのが保育補助です。保育補助はあまり聞きなじみのない職種かもしれませんが、昨今注目度が高く探してみると多くの求人が見つかるでしょう。
保育士のサポートを行う保育補助とは?
保育補助とは、正規の保育士の業務全般をサポートする仕事です。補助する内容や範囲は、園によって大きく異なります。
保育士と同じように、子どものお世話をしたり一緒に遊んだりする園もあれば、子どもに直接関わらない業務を担当する園もあります。保育補助の仕事を探すときは、自分が希望する仕事内容なのかを面接などでしっかり確認しましょう。
資格なしでもOK!保育補助の具体的な仕事内容
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保育士資格がなくても働ける保育補助の仕事内容について、詳しくご紹介します。具体的な業務内容を知ることで、仕事のイメージが描きやすくなり、求職活動にも役立つでしょう。
おむつ替えや授乳のサポート
0歳児や1歳児クラスでは特に人手が必要になるため、保育補助によるサポートが求められます。法律によって、0歳児なら子ども3人に対して1人の保育士が配置されますが、より多くの人手を必要とする場面も多いのが現状です。
例えば、4月に一斉に子どもが入園すると、環境が変わることへの不安から泣き出してしまう子どもが多くいます。長時間泣き続けてしまう子どももおり、保育士は抱っこやおんぶをするなど気持ちに寄り添います。また1歳児クラスでは、子ども6人に保育士が1人と配置人数が少なくなりますが、子どもが自分であちこち歩き回るようになり安全を確保することも必要になります(※)。
このように、0歳児や1歳児クラスでは一人ひとりの子どもに個別で関わる場面が多くあるため、子どもへの援助の手が足りなくなることがあります。
保育補助として0歳児や1歳児クラスに配置された場合は、おむつ交換や授乳などを手伝い、保育士がスムーズに保育できるようにサポートします。赤ちゃんのお世話が中心になるので、子育て経験のある方はスキルや経験を生かせるでしょう。
(※)e-Gov法令検索:昭和二十三年厚生省令第六十三号(令和五年内閣府令第三十八号による改正)児童福祉施設の設備及び運営に関する基準第三十三条2
https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=323M40000100063
食事や着替えのサポート
幼い子どもにとって、自分で身の回りのことができるようになることは大切な発達課題です。保育園では、子どもの身辺自立を促すように保育を行います。
子どもの自立に関わる重要なスキルに食事と着替えがありますが、できる度合いについて個人差が大きい部分でもあります。クラスの状況によっては、スプーンをうまく使えなかったり、服の着脱ができなかったりする子どもがたくさんいる場合もあるでしょう。
保育補助は、食事や着替えをまだ自分で上手にできない子どもを援助します。どの程度手伝うか、どのように教えるかは、最初に担任の先生に確認しましょう。
子どもの遊びのサポート
保育園の子どもは、遊びを通してさまざまな経験をし、成長していきます。
保育補助として子どもと遊ぶときは、第一に安全面に気を配ります。子どもは小さなおもちゃを飲み込んだり、急に走り出して転倒したりする可能性があります。また、子ども同士のかみつきやひっかきが起こりやすい1歳児くらいの年齢クラスでは、トラブルが起こらないように見守ることも大切です。
ただし、見守ってばかりで、子どもと一緒に遊ぶことを忘れてはいけません。積極的に子どもと関わり、楽しく遊びを展開していきます。手遊びや歌などレパートリーの引き出しがたくさんあると、より楽しい時間を過ごせるでしょう。
散歩や外出時の補助
保育園では、公園などへよく散歩に出かけます。散歩は、子どもが自分で歩く力をつけながら、自然や季節を感じられる大切な機会です。保育補助の仕事では、散歩に付き添い子どもの安全をサポートすることが求められます。
以下は一例ですが、
・移動の際、交通事故、見失い等を防ぐ為に歩く道、待つ場所を確認し誘導すること、常に全員いるか把握すること
・公園では、滑り台などの遊具からの転落や使い方を誤ることによる事故がないようサポートすること、地面の状態や環境が適さない場合には遊ぶ場所を誘導すること
・自然と触れ合う場合には、毛虫やトゲがある雑草など触ってはいけないものに注意を払うこと
など、
サポートすべきポイントはこれら以外にも様々あります。
戸外では、室内よりもさらに緊張感を持って、連携を取りながら全員の子どもを見守らなければなりません。子どもの安全を確保するために、1人でも大人が多い方が望ましいので、保育補助が力になる場面も多くあるでしょう。
掃除や片付けなどの補助
保育園の仕事は、子どもに関わることだけではありません。保育室やトイレなど園内の掃除や、遊び後や給食後の片付けなどの業務も含まれています。
子どもが快適に生活できるように、環境を整えて清潔に保つことは保育の一部です。保育補助の仕事に就いた場合、保育士と協力して分担したり、保育士の手が回らない部分を助けたりすることが多いでしょう。
製作の補助
園によっても異なりますが、保育補助の仕事に壁面製作や製作遊びの準備の手伝いが含まれている場合があります。
壁面製作とは、保育室の壁に貼るための画用紙などで作った飾りです。4月なら桜など季節に合ったテーマで、その季節らしいものを製作することが一般的です。
製作遊びは、子どもが画用紙やのり、はさみなどを使って作ることを楽しむ活動です。たとえば節分の時期なら、画用紙で鬼の面を作るなど季節折々の製作を行います。
壁面製作や製作遊びの準備では、画用紙を切るなどの作業が大量に発生するため、保育補助として保育士の業務をサポートします。お子様と直接関わる業務ではないものの、子どもたちが制作活動に集中できる環境を用意することに繋がる業務ですので、しっかりと対応していきたいですね。
保育士資格なしで働くメリット・デメリット
保育士資格なしで保育の仕事をすると、どのようなメリット・デメリットがあるのか表にしてまとめました。
メリット | デメリット |
実務経験を積める | 高い給料が望めないことがある |
やりがいがある | 子どもとの関わりが少ない場合がある |
家庭と仕事を両立しやすい | 業務範囲が限定される |
以下に1つずつ説明していきます。
メリット1:実務経験を積める
実際に保育の現場で実務経験を積めることには、主に次の3つのケースで大きなメリットがあります。
- 保育が自分に合っている仕事か確かめたい場合
- 保育士を目指しながら、実務経験も積みたい場合
- ベビーシッターなど自立した働き方を選択できる保育系の仕事へキャリアアップを目指す場合
1の場合、保育士試験の準備に着手する前に、自分にとって保育という仕事が合っているかを確かめられます。実際に経験をしてみて、保育士になりたいという気持ちが固まれば、保育士資格の取得を目指すことも可能です。
2の場合、現場で体感しながら保育士資格取得を目指すことで、学んだことの理解を深められます。現場で得る子どもとの関わりが、勉強のモチベーションにもなり、資格取得後の就職活動では現場での実務経験がアピールポイントになります。
3の場合、子どもと関わる仕事というのは施設型保育の保育士以外にも様々あります。例えば昨今マーケットとしても盛り上がりを見せているベビーシッターもその一つですが、ベビーシッター業務においても保育補助での実務経験は、アピールポイントとなり、お客様からの信頼獲得に繋がるでしょう。
正規雇用の保育士は、担任を持つなど責任の大きい仕事に就くことが多い一方で、保育士資格なしの場合、正規雇用の保育士に比べるとフットワークが軽く転職しやすい傾向にあります。実務経験を積みながら、保育の仕事のキャリアを考えられることはメリットといえるでしょう。
メリット2:やりがいがある
保育は、子どもと直接関わる機会が多い仕事です。子どもの日々の成長を目の前で見て、やりがいを感じることも多いでしょう。
たとえば、慣らし保育中は保護者と離れるのが嫌で泣いていた0歳児の赤ちゃんも、少しずつ園生活になじんできます。職員である自分にも慣れて、笑顔を向けられたり、抱っこを求めて甘えられたりするのは嬉しい体験です。言葉が出たり、おむつが外れたりするなど、子どもの日々の成長を近くで見守れることにも喜びを感じられるでしょう。
メリット3:家庭と仕事を両立しやすい
保育資格なしで働く場合、午前中のみや5時間程度の短時間など、自分の都合に合わせて調整しやすい職場もあります。そういった職場を選べば、子どもが小学校に行っている間だけなど、家庭とのバランスを考えながら働けるでしょう。
また、勤務場所が家から近い場所を選ぶと、さらに家庭と両立しやすくなります。基本的に保育補助は残業や持ち帰り、会議への参加などが少ないこともメリットです。
デメリット1:高い給料を望めないことがある
正規の保育士と比較すると、保育士資格なしの仕事は給料が低くなる傾向があります。正規職員ではなくアルバイト・パート雇用の場合が多く、有資格者より時給も低くなることが一般的です。
また、基本的にボーナスや各種手当、退職金などの支給がない場合が多いことも念頭に置いておきましょう。
デメリット2:子どもとの関わりが少ないことがある
園によっては、保育士資格なしの仕事は掃除や片付けなどの業務が占める割合が多いこともあり、子どもとの関わりが少ない場合があります。
お子様との関わりを多く持ちたい場合には、予め希望を伝えるなど面接時に確認しておくとよいでしょう。
デメリット3:業務範囲が限定される
保育士は経験を積んでいくと、副担任、主担任とステップアップしていきます。しかし保育士資格なしの場合、基本的に副担任や主担任になることはありません。自分で保育の計画を立てる機会もないので、業務範囲が限定される場合があります。
遊びの内容や子どもへのサポートのやり方などに関しても、決定するのはクラス担任や主任、園長です。自分のアイデアを提案はできるかもしれませんが、保育方法へ意見を出すことは難しいことが多いでしょう。
まとめ
保育士資格なしで保育現場で働くことには、やりがいを感じながら実務経験を積めるというメリットがあります。勤務時間の調節ができる職場を選ぶと、家庭や育児などとの両立もしやすいでしょう。
また、保育資格なしでも子どもに関わることができる仕事の1つとしては、ベビーシッターもおすすめです。ベビーシッターの仕事は一人ひとりの子どもと丁寧に関われるため、子どもに関わる仕事を諦めたくないという方は、ぜひキャリア選択の1つとして考えてみてください。
中でもポピンズは国認定のベビーシッター研修を所有しており、ポピンズが提供する研修を受けることで認定ベビーシッターとして活躍することが可能になります。初めてベビーシッターの仕事をされる方には特におすすめです。
さらに、ポピンズナニーサービスの教育ベビーシッター(=ナニー)として働く場合には、本社にはコーディネーターと呼ばれる電話窓口があり、サポート体制が充実していますので、ベビーシッターのお仕事に興味はあるけれど、不安・・・という方は、まずポピンズのナニーとしてお仕事をはじめることを検討されてはいかがでしょうか?
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この記事を書いた人
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- 柳生有香子
- 保育士資格、幼稚園教諭2種免許保有。3児を出産後、30代で保育士資格を取得し、認可保育園と企業主導型保育園で合わせて10年間勤務しました。集団の中で困りごとを抱える子どもやその保護者と関わりたいという思いから、現在は児童発達支援・放課後等デイサービスで個別療育に従事しています。