ナニー・ベビーシッターなど保育業界を目指す人のための情報メディア

NannyMedia

居宅訪問型保育のメリット・デメリット!新しい子育て支援制度!

2024.05.25
  • ベビーシッター

内閣府が平成27年4月よりスタートさせた「子ども・子育て支援新制度」では市町村を中心に、企業が子育て世帯の状況に応じた支援を用意したり、幼稚園や保育所の職員の処遇改善を行ったりするなどさまざまな施策を行い、社会全体で子育て支援することを目標としています。

また、平成28年からは仕事と子育ての両立を支援するとして、企業主導型保育事業が新設されました。

 

そして、この新制度によってできた地域保育事業のひとつが居宅訪問型保育です。

この記事では、居宅訪問型保育について詳しく解説していきます。

居宅訪問型保育の特徴

居宅訪問型保育とは、保育を必要とするお子様の自宅へ保育者が訪問し、保育を行う事業です。

これは、認可保育園の待機児童を対象に社会復帰が難しい保護者などの支援として始まった子育て支援制度のひとつです。

また、この対象には、医療的なケアが必要となる体が不自由なお子様もいます。

サービス内容

居宅訪問型保育は、保育者が依頼者の自宅を訪問して保育を行います。

基本的には、保育所の保育指針に基づいた保育サービスを行い、保育園で実施している保育内容や流れと変わりません。

ただし、保育時間は1日8時間を原則としていますが、お子様の年齢や家庭環境によって変わる場合もあります。

居宅訪問型保育では、時間をかけて子どもと向き合い、お子様に合わせた保育をすることが可能です。

通常の保育施設では、同時に複数のお子様の保育を行いますが、居宅訪問型保育では1対1で保育を行うので時間をかけてお子様と向き合い、またそのお子様に合わせた保育をすることが可能です。そして、一人ひとりの成長を保育者がしっかりと見守ることができます。

対象となるお子様

原則として、3歳未満の保育を必要とする乳児のお子様で、認可保育園に申し込み、待機となっているお子様が対象です。

居宅訪問型保育を受ける対象のお子様が以下のいずれかの条件を満たしているということを、市町村が認める必要があります。

  • 集団保育が著しく困難だと認められる障がい・疫病がある
  • 近隣の保育所が閉鎖したなど、保育所などの保育を利用できなくなった
  • 入所勧奨などを行っても保育の利用が困難で、市町村による入所措置の対象となる
  • ひとり親世帯で、保護者が夜帯に勤務しているなど、家庭環境を鑑みて必要な場合
  • 離島などの地域に住んでいて、居宅訪問型保育以外の地域保育事業が難しい

職員配置基準と定員

居宅訪問型保育は、原則として保育に従事する者一人に対し、お子様お一人とされています。

対象のお子様の兄弟姉妹が保育時間中に帰宅する場合がありますが、兄弟姉妹を一緒に保育することはできません。

また定員は各区によって定められており、例を挙げると東京都中央区の定員は30名で、年齢別の定員設定はありません。

利用料

居宅訪問型保育は認可事業として位置づけられます。

そのため、利用料は認可保育園を利用した場合と同じ保育料となります。

保育時間

保育時間は、原則1日8時間としていますが、お子様の年齢や家庭環境によって変わる場合もあります。

1日の流れ

  1. ①保育者がご自宅訪問 

挨拶や引継ぎ・健康観察を行い、保育が始まります

  1. ②室内や外あそび

外あそびでは、公園や図書館・地域の広場に出かけることもあります

  1. ③お昼ごはん

0歳児はミルクや離乳食など
1・2歳児はお昼ごはんを食べたあと、排泄や歯磨きをします

  1. ④お昼寝

お子様が寝ている間、保育者は午睡チェック表をつけます
午睡チェックとは「お子様の呼吸確認」のことです。お子様の安全のため、0歳では5分おきに、1歳以上は10分おきに睡眠中の呼吸チェックを行います

  1. ⑤起床・おやつ

お昼寝から起床したあとは、おやつを食べます

  1. ⑥室内・外あそび

保育終了時間まで保育者と一緒に過ごします

  1. ⑦保護者帰宅

お子様の様子を保護者に報告して終了です
居宅訪問型保育は、一人ひとりのお子様に合わせた保育内容で進めます。
また、保育時間や内容は保護者の勤務時間によって、ご家庭ごとに異なります。

認可基準・必要資格

居宅訪問保育の認可基準は、下記の通りです。

職員配置お子様お一人につき保育者一人
職員の資格必要な研修を修了し、保育士または保育士と同等以上の知識や経験があると市町村が認める者
面積基準特になし
連携施設障害児を保育する場合、専門的な支援を受けられる施設の確保が必要

職員の資格は「保育士または保育士と同等以上の知識や経験があると市町村が認める者」となっており、必ずしも保育士資格が必要というわけではありません。居宅訪問型保育基礎研修という研修を修了すれば保育に入ることが可能です。この研修は公益社団法人全国保育サービス協会や株式会社ポピンズプロフェッショナルが開催しており、どなたでもご受講いただけます。

居宅訪問型保育のメリット

居宅訪問型保育は、一般的な保育施設とは異なります。

保育者は対象となるお子様に寄り添ったきめ細やかな配慮ができ、常にお子様の安全に気を配りながら保育を行うことができるため、以下のようなメリットがあります。

感染症の影響や、重大なけがや事故が少ない

集団保育では、風邪やインフルエンザなどが流行した場合に、お子様間での感染はもちろんですが、保育者も同じように感染リスクが高いと言えます。

その点居宅訪問型保育は、集団保育と比較して感染リスクは低く、安心です。

また、保育対象となるお子様の近くで保育者が見守るため、重大なけが・事故が少ない傾向にあります。

お子様が慣れた環境で保育ができる

保育施設で行う保育は、お子様にとって慣れていない環境であるため、入園当初は負荷をかけることになります。

しかし、居宅訪問型保育はお子様が毎日過ごし慣れている自宅で保育を行うので、お子様にかかる負担は軽減されます。

居宅訪問型保育のデメリット

安心できる環境でゆったりとお子様と向き合える居宅訪問型保育は非常に魅力的ですが、以下のようなデメリットも考えられます。

保育者とお子様・保護者との信頼関係が必要

保育施設でも保育者とお子様・保護者と信頼関係を築くことは重要ですが、居宅訪問型保育ではその点がより重要となってきます。

お子様が過ごし慣れている自宅で保育ができるとはいえ、一緒に過ごす大人が保護者から保育者に変わることはお子様への負担になります。

また、保護者も、1対1で保育を行う(=他の保育者の助けがない)からこそ、その保育者の人となりやスキルが信頼できるものなのかという点や、自宅というプライベート空間で保育が行われる点に多少なりとも不安があるでしょう。

お子様と信頼関係を構築するには、心に寄り添い丁寧に向き合うことが大切です。一つ一つの言動に受容し共感し、まずはお子様に保護者ではない保育者を受け入れてもらうところからです。また保護者については、保育の事前事後を含むきめ細かい配慮や、認識の擦り合わせ、保護者への報連相を必ず行うことなどが信頼関係を築く一歩目になるでしょう。お子様・保護者、両者に安心して過ごしてもらえるよう努めていく必要がありますね。

万が一の怪我や事故の不安が大きい

通常の保育施設であれば、けがや事故をはじめとしたトラブルがあった場合は上司に報告をします。

保育施設では、チームワークで解決をすることができますが、居宅訪問型保育は万が一のトラブルの初期対応は現場にいる保育者が行います。

しかし、いつでもお電話が繋がるなど運営体制が整っている事業会社の元でお仕事をされていれば、必要以上に不安になることはありません。

お電話で適格な指示を受け、必要な処置をして、本部社員の到着を待ちます。

居宅訪問型保育は、けがや事故のリスクは少ないと考えられますが、トラブルからお子様を守るためには、十分な配慮が求められます。

また担当している事業会社の運営体制なども確認し、信頼できる会社の元お仕事ができると良いですね。

どの区で居宅訪問型保育が実施されているか、また担当している事業会社はどこか是非調べてみてください。

大きな行事がない

保育施設では、運動会や発表会・お遊戯会をはじめとした大きい行事や、さまざまな季節の行事がありますが、居宅訪問型保育は保育施設で行うような大きな行事はありません。

しかし、担当している事業会社によっては季節に応じた制作の取り組みなどを各家庭で行えるよう準備している場合もあります。大きな発表会等はないかもしれませんが、お子様一人ひとりの成長の記録を残していけるよう丁寧に過ごせるといいですね。

居宅訪問型保育とベビーシッターの違い

ここまでの内容で居宅訪問型保育とは、要はベビーシッターなのでは?と思った方もいらっしゃるかもしれません。

ベビーシッターは、保護者の要望に合わせて保育サービスを行いますが、居宅訪問型保育は、保育所保育指針に沿った保育内容で、一般的な保育施設と同じように保育を行います。

一見大きな違いは無いように見えますが、ここでは居宅訪問型保育とベビーシッターの違いについて解説します。

対応する保育者とお子様の対象年齢

居宅訪問型保育は3歳未満の乳児を対象としていますが、ベビーシッターは新生児~小中学生くらいまでのお子様が対象です。(事業会社によって対応年齢は異なる)

保護者からの要望に合わせてサービスを提供するため、保育だけではなく家事や送迎などを行うケースもあります。

料金

居宅訪問型保育でかかる料金は、認可保育施設を利用した場合と同じ料金になります。一方ベビーシッターは各事業会社や個人が設定している料金となります。

利用の終了タイミングや預かり時間

居宅訪問型保育は、保育園が決まった場合は転園、2歳児クラスが終了したら卒園

と決まっています。

一方、ベビーシッターは対象が新生児~小中学生(事業会社によって対応年齢は異なる)のため、保護者からの要望に応じて、長い期間利用される場合もあります。

また預かり時間は、居宅訪問型保育の場合は1日8時間前後、週5日ほど利用されるケースが多いですが、ベビーシッターの場合は不定期単発や、定期利用をした場合でも居宅訪問型保育ほど毎日利用される保護者は少ないでしょう。

まとめ

自分の希望する働き方でお子様と向き合えるのが、居宅訪問型保育やベビーシッターの仕事の魅力です。

保護者の方に代わって大切なお子様をお預かりし、お世話の中で成長発達を促していく居宅訪問型保育やベビーシッターは、現代の保護者世代には大変必要とされています。

保育者として仕事にやりがいを感じながらも、「画一的なプログラムをみんなにさせるのではなく、個々に応じた最適な保育を考えて提供したい」「お母さん・お父さんも含めたさまざまなご家庭の事情にも配慮してあげて感謝されたい」「もっとお子さま一人ひとりに合った保育をしてあげたい」とお考えの方は、居宅訪問型保育やベビーシッターとして働くことでやりがいを感じることができるでしょう。

ポピンズナニーサービスの登録ベビーシッターは、、子育て経験のある主婦の方などを中心に、保育士・幼稚園教諭経験者などさまざまな経験をお持ちの方が活躍しています。

初めてのベビーシッターのお仕事でも、充実した研修体制や、定期的なフォローアップで初心者の方も安心してお仕事をスタートすることができます。本社にはコーディネーターがいるため困った時には電話で相談することが可能。万が一のトラブル対応も本社社員が行います。

またお仕事はスマホの専用アプリで手軽に管理し、自分の働く時間や場所を設定することができるため、自身のペースに合わせて自由な働き方が可能です。

\ ポピンズナニーサービスでは「ポピンズ居宅保育園」の先生を募集しています /

この記事を書いた人

村上亜依
平成21年3月拓殖大学北海道短期大学保育学科卒業後、平成21年4月〜令和3年認可保育園に勤務。令和4年11月より保育や子育て関連のライターとして活動開始。保有資格については、保育士・幼稚園教諭二種・ハワイアンロミロミのサティフィケイトになります。

Related article