託児所と保育所を徹底比較!違いや仕事内容、メリット・デメリットまで解説
- 保育士
- 施設やタイプごとのお仕事
- 職種・働き方

託児所は、家庭や保護者のさまざまなニーズに合わせて、子どもを一時的に預かる施設のことをいいます。
この記事では、保育所との違いや託児所の仕事内容、メリット・デメリットまで、詳しく解説していきます。
託児所と保育所の違いとは?
託児所は子どもを預ける施設全般を指しますが、一般的に保育所とは区別されています。 では、どのような違いがあるのか、詳しく見ていきましょう。
託児所とは?
託児所とは、国や自治体の認可を受けていない認可外保育施設の総称です。
認可外保育施設とは、「児童福祉法に基づく都道府県の知事からの認可を受けていない保育施設」を指しますが、ほとんどは「認可外保育施設指導監督基準」という設置基準に基づいて開設されています。
仕事や疾病など定められた理由がなければ利用できない保育所とは異なり、託児所は利用する理由を問いません。そのため、保護者のニーズに合わせて利用できる保育施設として、重要な役割を担っています。
託児所の種類
託児所サービスの形態には「一時預かり」と「月極保育」の2つがあります。
施設形態は、下記のようにさまざまな種類があります。
・一般的な託児施設
長期的、もしくは一時的に子どもを預かる施設です。
駅から近い場所など、保護者にとって利便性のある場所に開設されるケースが多いです。
商業店舗や美容室、歯科医院内などに設置されるほか、コンサートや演劇などのイベントで一時的に設置される場合もあります。
スタッフは、子どもと一緒に遊んだり、食事や排せつのお世話をしたりと、さまざまなサポートを行います。
・事業型保育施設
事業型保育施設は、事業主が子どものいる従業員のために設置している施設です。
企業の従業員の勤務時間中に子どもを預かる「企業型保育所」、病院で働く看護師や医師などの職員の子どもを預かる「院内保育所」などがあります。
・ベビーホテル
夜間の仕事に合わせて利用できる施設を指します。
入浴や食事、寝かしつけなどを行います。24時間保育を実施していたり、宿泊ができたりするところもあり、保育形態は施設によってさまざまです。
・認証保育所
認証保育所とは、東京都をはじめとした各自治体によって独自に定められた基準を満たしている保育施設のことです。認可保育園(保育所)だけでは応えきれていない大都市のニーズに対応しようとする、自治体独自の制度です。
東京都の場合は、対象年齢が0歳児から5歳児のA型と、0歳児から2歳児のB型の2種類があり、「13時間以上の開所」や「0歳児保育」などが義務化されています。
対象年齢と利用時間
保育所の対象年齢は、0歳から6歳までです。保育時間は施設によって違いはありますが、7時ごろから19時ごろまでが多いようです。
保護者の仕事や疾病などの理由により、子どもの保育ができない場合に、子どもを預かって保育を行うため、利用時間は保護者の就労時間などによって決められます。
託児所の対象年齢や保育時間は施設によって異なります。
利用理由はさまざまで、一時的に利用する人が多く、利用時間は保護者の都合によって変動するのが大きな特徴です。
認可・無認可の違い
保育所とは、認可保育園ともいい、児童福祉法に基づいて国が定めた設置基準(施設の広さ、保育士などの職員数、給食設備、防災管理、衛生管理など)をクリアして、都道府県知事に認可された施設のことです。
託児所は、認可外保育施設です。施設形態は商業施設内や企業内保育施設などさまざまで、保護者のニーズに合わせて設置されているものが多くあります。
ただ、認可がないからすべてが自由というわけではなく、開設時には自治体への届け出を行い、その地域の設置基準や条例などの一定の基準を満たすことが必要です。
保育内容の違い
保育所では、子どもの発達に合わせた遊びや、生活に必要な援助をしていきます。園ごとにカリキュラムがあったり、保育計画に沿って保育を行ったりしている施設がほとんどです。普段の保育に加え、運動会や生活発表会などのイベントがある園もあります。
託児所は、子どもの生活のお世話や遊びの提供がメインとなります。大きな行事や事務作業は少ないでしょう。主に一時預かりを行っている施設では、一斉活動や外遊びなどを行わないケースもあります。
運営主体と施設規模
保育施設の運営主体は、公立と私立の2つに分けられます。
近年の保育所の運営は、都道府県や市区町村といった各自治体が運営する公立園と、社会福祉法人、株式会社、NPOなど民間の組織が運営する私立園など、運営主体が多様化しています。
託児所は社会福祉法人や株式会社、NPOなどの民間の組織が運営主体となっている施設が多い傾向があります。託児所の一つである「企業内保育所」や「院内保育所」も私立園です。
施設規模は、保育所に比べ、託児所は小規模で運営されている施設が多いです。子どもと1対1で関わることができる施設もあります。
託児所の仕事内容

託児所での仕事内容を詳しく見ていきましょう。
乳幼児の保育
・食事やミルクの介助
・おむつの交換やトイレトレーニング
・お散歩
・お昼寝
・発達に合わせた遊び
託児所では、乳幼児へ遊びの提供や身の回りのお世話をします。この点は一般的な保育園と変わりません。
しかし、少人数で運営しているところが多いため、一人ひとりとじっくり向き合いながら保育することができるでしょう。
保護者との連携
託児所を利用する保護者から、子どもの発達や子育てについての相談を受けることもあるでしょう。子育て支援も託児所の役割といえます。 施設によっては、連絡帳で保護者とのやり取りをすることもあります。保育中の子どもの様子を伝えながら、保護者との信頼関係を築いていくことが大切です。
施設運営
託児所は、施設が自主的に衛生管理や安全管理を行う必要があります。預かる子どもを安全に保育できるよう、スタッフは子どもの衛生面や安全面に配慮することが求められます。
例えば、保育室のテーブルや椅子に危険な部分はないか、玩具は誤飲の危険性はないか、保育室内は清潔に保たれているかなど、常に目を配り、衛生的な環境づくりに努めることが大切です。 保育中の子どもの怪我や事故には、十分に注意しなければなりません。
託児所で働く魅力
託児所で働く魅力について、3つご紹介します。
少人数制でアットホームな雰囲気
託児所は、小規模の空間で保育を行う場合が多く、預かる子どもの人数も少ない傾向があります。そのため、落ち着いた環境の中で一人ひとりに目が行き届き、発達に合わせてじっくりと関わることができるでしょう。
スタッフの人数も少ないため、アットホームな雰囲気の中で同僚との関係を築きやすく、円満な人間関係になりやすい点も魅力です。
柔軟な働き方
託児所は、正職員の他にもパートやアルバイトなどの求人が多く、朝や午前中だけの勤務や、夕方までの勤務など、自分や家庭の状況に合わせて無理なく働くことができる点も魅力の一つです。
保育園と比べ、運動会や発表会などのイベント、おたよりの作成などの事務作業の負担が少ない傾向があります。そのため、心に余裕を持って働くことができ、プライベートの時間も大切にすることができるでしょう。
子どもたちの成長を間近で見られる
保育園では年齢別に子どもたちを預かりますが、託児所では異なる年齢の子どもたちを同時に保育します。そのため、さまざまな年齢の子どもの成長を近くで見守ることができるでしょう。
また、託児所は一時預かりがメインになるため、預かる子どもが日ごとに異なる可能性があります。預かる子どもが日々違う面では臨機応変さが求められますが、子どもの性格や状況に応じて柔軟に対応するスキルを磨くことができます。
託児所で働くメリット・デメリット
託児所の保育内容に保育園との大きな違いはありませんが、託児所には保育園と異なる自由な面があることが特徴です。 以下では、託児所で働くときのメリット・デメリットを解説していきます。
託児所で働くメリット
託児所で働く主なメリットは以下の4つです。
・保育士経験は優遇される
託児所は保育士資格がなくても働くことができますが、保育士資格や保育経験がある人は優先的に採用される傾向があります。
・残業や持ち帰りの仕事が少ない
イベントや書類などの事務作業が少ない託児所は、残業や持ち帰りの仕事が少ない傾向があります。業務負担が少ないため、保育に集中できるでしょう。
・体力的な負担が少ない
小規模に運営している託児所は、預かる子どもの人数も少ないため、体力的な負担は比較的少ないでしょう。
・小規模でアットホームな保育ができる 託児所では、子ども一人ひとりに目が行き届く環境で保育できるため、集団をまとめることに自信のない人や、アットホームな保育がしたい人には働きやすい職場です。
託児所で働くデメリット
託児所で働くデメリットは以下の4つが挙げられます。
・正社員募集が少ない傾向にある
託児所の求人は、パートやアルバイトが多く、正社員の募集は少ない傾向です。安定した収入を得たい人にはデメリットとなるでしょう。
・保育に物足りなさを感じる場合がある
託児所は保育園に比べてイベントなどが少なく、集団で何かを達成する経験の機会も少なくなります。一時預かりでは遊びの提供がメインとなり、一斉活動を行わないことも多いため、人によっては保育に物足りなさを感じることがあるかもしれません。
・キャリアアップが難しい
託児所は子どもの一時的な預かりがメインです。そのため、幼児教育や保育実践のキャリアアップに必要な経験を積むことが難しい場合があります。保育士としてのキャリアアップを目指したい人には向かないでしょう。
・施設によっては環境や待遇が悪い場合も
託児所は民間の施設も多く、給料や待遇もさまざまです。保育所と比べると、給料が低い場合もあるでしょう。
給料面を重視する人にとっては、デメリットとなるかもしれません。
託児所で働くために必要な資格は?
託児所で働きたいと思ったとき、必要となる資格や経験について解説していきます。
保育士資格は必須ではない
託児所で働くとき、保育士資格は必須ではありません。無資格であっても働くことができる施設もあります。
今後保育士資格を取得したいと考えている保育学生さんや、保育に携わりたい人は、託児所で働くことで経験を積むことができるでしょう。
一方で、多くの施設ではスタッフの1/3以上が保育士や看護師資格などの有資格者となるため、資格を取得したほうが採用されやすい傾向があります。 子どもを預ける保護者からも、有資格者のスタッフは安心感があるために信頼されやすいという面もあります。
その他必要な資格や経験
保育士資格がなくても、自身の子育て経験や子育て支援員の資格を、託児所で働くときに活かすことができます。
子育て経験があれば、保護者の子育ての悩みや相談にも実経験から話すことができるため、子育ての先輩として有益なアドバイスをすることができるでしょう。
また、ベビーシッター(ナニー)の経験も託児所で活かすことができる経験の一つです。さまざまな家庭を訪問する必要があり、臨機応変さが求められるベビーシッター(ナニー)のスキルは、託児所で求められるスキルと共通するものがあります。
日々異なる年齢の子どもに関わる点も同じです。一人ひとりの性格や状況に応じて、丁寧に向き合う保育の姿勢を託児所でも活かせます。
まとめ
託児所は認可外保育施設の総称です。仕事や疾病といった理由がなくても利用でき、保護者のニーズに合わせた柔軟な保育を行うことができます。
同じように、ご家庭のニーズに合わせた子育て支援や保育ができる仕事の1つにナニーがあります。ナニーとは、ご家族の大切なお子さまをもう一人の家族のように見守る、教育ベビーシッターのことです。
ポピンズファミリーケアでは、保育士や子育て支援員、子育て経験などを活かして働くナニーがたくさん活躍しています。
無資格者や未経験でも、サポートや研修が充実しているので、安心してお仕事をすることができます。
少人数や一対一でゆったりとした保育がしたい、ご家庭のためにより深く寄り添う子育て支援がしたいという方は、ナニーとして働くことも視野に入れてみてはいかがでしょうか。

この記事を書いた人

- すがわらみさと
- 1990年生まれ。四年制大学で保育・幼児教育について学び、幼稚園教諭一種免許と保育士資格を取得。卒業後は、保育園や認定こども園で約10年の勤務経験があります。現在はベビーシッターとして独立し、保育系ライターとしても執筆活動をしています。保育士やベビーシッターとしての経験と知識をもとに、わかりやすく伝える文章を書くよう心がけています。