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保育士の仕事って大変?苦労とやりがいをわかりやすく紹介

2025.06.06
  • 保育士
  • 職種・働き方

保育士の仕事は、子どもたちの笑顔に囲まれながら、その成長を見守ることができるやりがいのある仕事です。女の子が目指す職業ランキングでは上位に入るほど人気の職業ですが、大変なことも多くあります。実際に、保育士の仕事に疲れてしまい、転職を考えている人もいるかもしれません。そこで今回は、保育士の仕事の大変なところとその対処法、保育士の魅力について詳しくご紹介します。

保育士の仕事で大変なことは?

保育士の仕事は子どもの保育だけでなく、各種書類作成や保護者対応など、その業務は多岐にわたります。そのなかで、保育士が大変だと感じる場面には以下のようなものがあります。

  • 子どもが話を聞いてくれない
  • 保護者対応が難しい
  • 長時間労働になりがち
  • 持ち帰り業務が多い
  • 人間関係に悩むこともある
  • 人手不足の施設もある
  • 給与がそこまで高くない

ここからは、実際の保育士の声を交えながら、保育士の大変さを深掘りしていきます。

子どもが話を聞いてくれない

子どもたちは楽しいことが大好きで、夢中になりすぎると保育士の話を聞いてくれないこともあるでしょう。そうなると、クラス全体のまとまりも悪くなってしまいます。

【現場で働く保育士の悩み】

絵本や紙芝居を読んでいても私語が多く、集中してくれません。絵本に関する発見や質問であればうれしいのですが、内容から脱線しているものばかり。そのうち立ち歩く子どももいて困っています。
子どもたちが私の話を聞いてくれず、注意しても「聞こえな~い」「だいじょうぶだよ~」と、ふざけてばかりです。遊具での危ない遊びに対する注意も聞いてくれず……。毎回全力で制止しますが、本当に大変です。

話を聞いてくれない子どもがいたり、なにをしても泣き止まない子どもがいたりする場合は、保育士が個別に対応するのが理想的です。しかし、十分ではない保育士の配置人数では難しい場面もあります。少ない保育士で大勢の子どもたちをまとめるには、豊富な知識や経験が必要です。子どもが集中したくなる話し方や手遊びなどを覚えると、状況が改善することもあります。

保護者対応が難しい

保護者対応に難しさを感じてしまう人もいるかもしれません。子どもを大切に思う気持ちから保護者が前のめりになってしまう場合もあり、対応に困ってしまう保育士は少なくありません。

【現場で働く保育士の悩み】

新米保育士ということもあり、知識も浅く子育て経験もありません。そのため、保護者が何かあったときに担任の私ではなくパートの先生に相談するのがとても辛いです。信頼してもらえるように頑張るしかないのですが……。
何度言ってもお願いを守ってくれない保護者がいて、とても困っています。連絡帳に書いても、直接伝えても「分かりました」と言うばかり……。忙しいのは分かりますが、園に預けているのだから約束は守ってもらいたいです。

価値観の違いや言葉の行き違いによって溝ができてしまうなど、信頼関係が築けていない場合は些細なことでもクレームにつながる恐れがあります。しかし、普段から密にコミュニケーションを取っていれば、クレームが大きくなる前に対応できることもあります。その日の子どもの様子を、親しみを込めてお伝えするだけでも、話しやすい関係が作れるかもしれません。

長時間労働になりがち

働く保育園にもよりますが、保育士の仕事は長時間労働になる傾向があります。人手不足や行事の多さなど、原因はさまざまです。

【現場で働く保育士の悩み】

日中の保育は人手が足りず、書類仕事がどうしても勤務終了後になってしまいます。保育園として改善策を考えてくれていますが、保育士が増えないことにはどうにもならず大変です。
ギリギリの人数で保育しているため、トラブルがあったときに対応に手が取られ、どうしても長時間勤務になってしまいます。私の保育園はしっかり残業代が出ますが、やはり体がしんどいと感じます。

特に、運動会やお遊戯会前、年度末など、忙しい時期は残業が多くなってしまう傾向があるようです。また、慢性的な人手不足により保育士一人にかかる負担が大きいという問題もあります。もし長時間労働が続いたら、意識的に休みを取るなど、自分でバランスを取り、体を労わることも大切です。

持ち帰り業務が多い

保育士の仕事でよく言われているのが「持ち帰り仕事の大変さ」です。もちろんこれも保育園によりますが、慣例となっている場合は大変だと感じるかもしれません。

【現場で働く保育士の悩み】

保育中は子どもから目を離せないし、お昼休憩はしっかり取るようにと指導されているため書類仕事をこなす時間がありません。仕方なく持ち帰っていますが、かなり負担に感じています。
子どもたちを楽しませるため、パネルシアターやペープサートなどを家で作成していることが負担です。子どもたちの喜ぶ顔が楽しみなので良いのですが「保育園で使うものなのにな」と思うこともあります。

就業時間内に終わらない業務を、仕方なく休憩時間や自宅で済ませることもあるようです。なかには、遅番勤務の日に早く来て裏で作業するという人もいます。保育園全体の方針や雰囲気にもよるため難しい問題ですが、保育士同士でコミュニケーションを取って負担が偏らないようにすることで、少し楽になるかもしれません。

人間関係に悩むこともある

人間関係の悩みはどの職場にもあるかとは思いますが、クラス単位で動く保育士は人間関係の悩みを抱える傾向があるようです。

【現場で働く保育士の悩み】

苦手意識のある保育士と一緒にクラスを持つことになると、1年間憂鬱な気分になります。それだけで「転職しようかな」と思ってしまう私の心の弱さも悪いのですが、それくらいクラス編成は重要です。
複数担任でクラスに入ると、数名の保育士がおしゃべりに夢中になります。他の保育士が提案した保育内容について悪口を言うなど、聞いていて嫌な気持ちになるものも多く。保育に集中してほしいです……。

それぞれ育ってきた環境、学んできた環境が異なるため、性格や保育観が合わないのは仕方のないことです。特に乳児保育は担任として名を連ねる保育士の数が多いため、合う合わないが出てきます。とはいえ、悪口を言うのは考えものです。業務が忙しくて十分なコミュニケーションを取れない場合も多いかと思いますが、保育を円滑に進めるには良好な人間関係が欠かせません。

人手不足の施設もある

保育士の数が足りておらず、一人当たりの負担が大きくなっている保育園もあるようです。そのような保育園では、人手不足により子どもへの安全管理が甘くなるなどの課題が浮上します。

【現場で働く保育士の悩み】

急に保育士2人が辞めてから、なかなか採用が決まらず人手不足が続いています。子どもたちを安全に引率できないため、当面お散歩にも行けません。園庭は狭く、子どもたちは思いっきり走り回れないストレスを抱えています。
保育士の数は配置基準に合っていますが、4歳児30人を一人で見るのは大変危険です。なかには発達が気になる子どももいるため、一人では日々とにかくバタバタしていて、子どもに寄り添った保育が難しいと感じます。

人手不足が続くと、子ども同士のトラブルが多くなったり、保育士間の関係がうまくいかなくなったりする可能性があります。人材確保が難しい場合は、行事を簡素化したり、書類仕事にICTシステムを導入したりすれば、少しは負担が軽減されるかもしれません。なお、現在の保育士の配置基準は、2024年度に見直され、0歳児が保育士1人あたり3人、1・2歳児が6人、3歳児が15人、4・5歳児が25人となりました。[注1]

[注1]「こども未来戦略方針」 ~ 次元の異なる少子化対策の実現のための 「こども未来戦略」の策定に向けて ~

給与がそこまで高くない

給与は、保育への意欲ややりがいにもつながる大切なポイントです。保育園によって大きな差がありますが、給与に対する不満を抱えている保育士も少なくありません。

【現場で働く保育士の悩み】

噂には聞いていましたが初任給の手取りがあまりにも低くて驚きました。私の保育園はとにかく行事が多く本当に激務なので「仕事量と見合っていない」と思ってしまいます。
子どもの命を預かる大変な仕事ですが、そこまで給料が高くないと感じます。知人の看護師と比べると落ち込んでしまう……。賞与が人並み程度であることがせめてもの救いです。

働く保育園によって違いがあるため一概には言えませんが、給与が仕事の大変さに見合っていないと感じている保育士も多いようです。同じような仕事をしていても給与に差が出ることがあるため、どのような保育園を選ぶかが大切かもしれません。なお、保育士の処遇改善により給与平均は年々アップしています。

保育士の仕事が大変すぎるときの対処方法

ここからは、仕事が大変すぎるときの対処法をご紹介します。

園長や他の保育士に相談してみる

保育士の仕事は、チームプレーです。大変すぎて対応に困ることがあれば、園長や他の保育士に相談してみましょう。一人で思い悩むより、良いアイデアが浮かぶかもしれません。また、内容によっては得意な先生が対応を肩代わりしてくれるなど、業務分担を見直せるケースもあります。まずは「困っている」「抱えきれない」と、誰かに意思表示することが大切です。

休職を検討する

あまりにも大変な日々が続く場合は、お休みをもらえないか交渉してみましょう。無理をして体調を崩してはいけません。数日休んでも心と体の疲れが取れないときは、気づかないうちに限界を迎えている可能性があります。そのような場合は、一度ゆっくり休職してみるのもおすすめです。責任感のある人ほど子どもたちのことを考えて無理をしてしまいますが、なにより自分の体が大切だということを忘れないようにしましょう。

転職を考えてみる

どうしても耐えられない場合は、転職を考えてみても良いでしょう。資格さえあれば他の保育園で雇ってもらえる可能性もありますし、同じ職場で働き続けなければいけないという決まりはありません。「いつでも転職できる」「無理に居続ける必要はない」と思うと気持ちが吹っ切れて、また違った対処方法を思いつく可能性もあります。

大変なことばかりではない!保育士のやりがいは?

保育士の仕事には大変なことが多くありますが、それを超えるほどのやりがいもあります。「もう辞めたい」という気持ちを抱いても、やりがいに支えられてなんとか続けられている人も多いでしょう。保育士が感じる代表的なやりがいは以下のとおりです。

子どもの成長を近くで見られる

保育士の醍醐味は、なんと言っても子どもの成長を近くで見守れることです。特に、保育園は0歳~就学前までの子どもが過ごすため、その成長には驚かされます。途中でクラス担任を外れても、赤ちゃんだった子どもたちが卒園していく姿は感無量です。こちらからの働きかけが子どもの発達につながっていると思える場面も多く、とてもやりがいを感じられます。

自分自身が成長できる

子どもとの関わりを通して、保育士として多くの知識やスキルが身につきます。一人として同じ子どもはおらず、対応も十人十色です。接する子どもの数だけ自分自身が成長できると思うと、長く続けたくなるものです。また、研修に参加して得た知識や技術を保育に活かすことも、大きなやりがいの一つでしょう。

保護者から感謝される

子どもの保育に関して保護者からお礼を言われたときも、保育士をしていて良かったと思う瞬間です。「先生が担任で良かった」「安心して預けられる」などと聞くと、とてもうれしい気持ちになります。その他、保育士としての知識や経験を活かして、育児に関する相談にのることで感謝されることも。「来年も先生が担任になってほしい」などの言葉が、保育士の活力になります。

イベント終了時に達成感を得られる

保育園の行事は、企画や準備、子どもたちへの指導などとても時間がかかります。そのため、無事に行事が終わったときには満ち足りた気分になります。特に、運動会や生活発表会などの大きな行事を終えた後の達成感は計り知れません。子どもたちの笑顔や満足そうな顔を見たり、先輩保育士から褒められたりすると「保育士をやっていて良かった」と思うでしょう。

社会貢献できる

保育士の仕事は、社会貢献につながる大切なものです。子どもたちの乳幼児期の学びや経験は重要で、成長への手助けは今しかできません。日本の未来を担う大切な子どもたちを育てていると思うと、その重要性が分かるでしょう。また、保護者はそれぞれ、多種多様な業務に従事しています。保護者が安心して子どもを預けられる環境を作ることこそが、社会貢献につながっています。

大変なことがあっても保育士として働き続けるには?

大変なことも多い保育士の仕事ですが、働き続けることで解決する悩みも少なくありません。知識や経験を積み重ねることで、保育の引き出しが増えたり、業務を効率良く済ませられるようになったりします。やりがいも大きいため、なんとか働き続けたいと考える人も多いでしょう。そこでここからは、大変なことがあっても保育士として働き続けるためのポイントを解説します。

休日にしっかりと休む

疲れた心や体を労わるため、休日にはしっかり休んでメリハリをつけられるようにしましょう。保育士の仕事は、抱っこやおんぶ、立ったり座ったりを頻繁に繰り返すため体に負担がかかります。また、クラス運営や保護者対応などで気になることがあれば、休みの日までモヤモヤしてしまうものでしょう。休日は保育園のことを忘れて、ゆっくり休むのがおすすめです。

早めに相談する

辛いときは同僚や友人などに早めに相談することが大切です。仕事量が多いこと、関係の構築が難しい保護者がいることなど、現状を知ってもらうことが解決への一歩です。聞いてもらうだけでも少し気持ちが晴れますが、保育園によっては以下のような対応を取ってくれるかもしれません。

  • 保育補助など業務をサポートできる人材の確保
  • 早番や遅番など勤務時間に関する負担の見直し
  • 休憩時間やノンコンタクトタイムの確保
  • ICT化を進めて事務仕事の負担軽減

休みを取りやすい環境があったり、保育のなかで子どもと接することなく書類仕事に充てられる時間(ノンコンタクトタイム)があったりするだけで、働き続けやすくなるでしょう。保育園側は、急に限界を感じて転職されるより、職場環境や待遇を見直して、少しでも長く勤めてもらいたいと思っています。一人で抱えず相談することで、働き続けられる環境を手に入れましょう。

理念に共感できる施設を選ぶ

理念や教育方針に共感できないと悩みを抱えやすくなります。保育園と言っても、英語や音楽、早期教育など力を入れているものがあったり、自主性を尊重した自由遊びを重視していたりと、雰囲気は大きく異なります。合わない場合はストレスを感じやすくなるため、前向きに働き続けられるよう自分に合った保育園で働くことが大切です。

最適な雇用形態で働く

保育士には、さまざまな働き方があります。自分に合った働き方を選択することも、長く続けるための大切なポイントです。

雇用形態概要
正職員保育士・フルタイム勤務のため早番や遅番にも対応する・担任を持つことが多く安定した待遇が期待できる
時短保育士・育児・介護休業法の短時間勤務制度を利用する・一般的なフルタイム勤務よりも2時間ほど時短になる
契約保育士・雇用期間に定めがあるが正社員に近い待遇がある・契約更新や正職員になれるチャンスもある
派遣保育士・保育士の人材派遣会社に雇用されて働く・給与や福利厚生など派遣会社からバックアップがある
臨時保育士・人手が足りていない保育園で臨時に働く・勤務時間はさまざまで決まった期間のみ雇用される
パート保育士・非正規雇用で希望する時間に働き時給をもらう・保育補助やフリーなど補助的な業務を担う

保育士の働き方はとても柔軟なため、ライフスタイルに合わせた働き方が可能です。給与面などの問題もありますが、常勤からパートに変えるだけで負担は大きく軽減されるでしょう。大変だと感じている場合は、長く働き続けるために変更できるか相談してみるのもおすすめです。

どうしても保育士を辞めたくなったら?

保育士はやりがいのある仕事ですが、どうしても我慢できない場合には感情的にならず、状況を改善する可能性を探ることも一案ですが、なにより大切なのは自分の心と体の健康です。いざというときは、以下のように転職を検討してみましょう。

どうしても保育士を辞めたくなったときは、まず今の職場を辞めたいだけなのか、保育から離れたいのか、自分の気持ちをしっかり確認してみましょう。職場を変えるだけで解決する悩みもあります。保育士歴のある即戦力を求めている保育園も多いため、転職は今より良い環境で働くための最善策と言えます。

できるだけ保育の仕事を長く続けられるよう、理念に共感できる施設や、福利厚生が充実した施設などを探してみましょう。

保育園・幼稚園以外にも働く場所はある

保育士資格を持っているからといって、保育園で働かなければならないという決まりはありません。心機一転、保育園ではない新しい環境で保育士生活をスタートするのもおすすめです。保育士資格を活かせる職場はたくさんあります。

施設名概要
乳児院なんらかの事情により家族と一緒に過ごせない1歳未満の乳児を預かる施設
児童養護施設主に2歳以上の子どもを対象とした生活施設
子育て支援センター地域の親子の遊び場、相談窓口として運営
放課後児童クラブ小学生を対象とした放課後の生活支援
病児保育(自宅型・施設型)施設病気や回復期の子どもを保育する
児童厚生施設児童館や児童遊園など子どもに健全な遊びを与えるための施設
幼児教室講師知育、音楽、リトミックなどに特化した教育を提供する
ベビーシッター家庭に訪問して保育を行う。柔軟な働き方が可能

その他にも事業所内保育所やベビーホテル、インターナショナルスクールやプリスクール等、保育士資格は汎用性の高い資格です。他にどのような仕事で資格や経験が生かせるか広い視野をもって考えてみるとよいでしょう。

まとめ

この記事では、保育士の苦労や魅力について解説しました。ストレスや悩みを一人で抱えるのは大変なことです。周囲に相談したり、ゆっくり休む機会を設けたりして、自分の心と体の健康を優先することが大切です。資格を活かして保育の仕事を続けるためにもスキルの棚卸しや条件の整理に時間をかけましょう。

集団保育ではなく、一人ひとりのお子様に丁寧に寄り添った保育がしたい、保護者様のご要望に真摯に応えていきたいと考える方にはポピンズの「ナニー」という仕事がおすすめです。ナニーとは、保育のプロとも呼ばれる教育ベビーシッターです。個人のお宅に訪問するのは不安があるという方にもしっかりとした研修制度が整っているため、安心してお仕事を始めていただけます。これまでの保育の経験が活きるお仕事です。ぜひ選択肢の一つに加えてくださいね。詳しくはこちらをご覧ください→

この記事を書いた人

山本 彩香
1988年生まれ|四年制大学で児童学を学び、幼稚園教諭一種免許と保育士資格を取得。卒業後は、児童館や保育園などで保育士として約10年の勤務経験があります。 妊娠・出産を期に、現在は保育系ライターとしてさまざまなメディアで執筆中。保育士と2児の子育て経験により、保育園側と保護者側の視点に立った「共感できる文章」を得意としています。

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