ポピンズでは、30余年前から英国王室御用達のナニーを育成する名門校ノーランドカレッジと提携し、その独自の教育プログラムをナニー研修に取り入れています。ノーランドカレッジは1892年に設立されて以来、130年以上にわたり、乳幼児教育の専門家である「ノーランダー」と呼ばれるナニーを数多く輩出してきました。
この夏、ポピンズナニーサービスの研修担当として、ポピンズ国際乳幼児教育研究所企画によるイギリスのノーランドカレッジで学ぶ「乳幼児教育研修・2025夏期コース」に参加してまいりました。
前回の「ノーランドカレッジ乳幼児教育研修レポート➀」では新生児とのコミュニケーション術についてお伝えしました。
ポピンズの為だけに特別に組み立てられた1週間におよぶこの研修では、大学での講義はもちろん、現地の特色ある乳幼児教育施設の視察や、校外学習もバランスよく組み込まれ、最先端の乳幼児教育に触れることができます。
第2回となる今回は、私が特に感銘を受けた屋外活動「フォレストスクール」の体験を通して、ポピンズナニーサービスが実践するエデュケア、そして教育ベビーシッター「ナニー」という仕事の魅力についてお話ししたいと思います。
contents
フォレストスクールが教えてくれた、自然を通じた子どもとの向き合い方

「森林浴」という言葉が示すように、森の中に身を置くことは大人にとっても心身に良い影響があることが科学的にも証明されています。これは子どもたちにとっても同じです。自然の中で五感をフルに使う体験は、リラックス効果をもたらすだけでなく、感受性や学習意欲を高め、免疫力を向上させ、想像力や好奇心を育みます。そして、小さな成功体験を積み重ねることで、自己肯定感を高めることにも繋がります。
この「フォレストスクール」は、まさにこうした自然の力を最大限に活用したプログラムでした。
私たちは森に入り、まず最初に葉っぱを2人に1枚ずつ配られました。ルールはシンプルです。ペアになった相手と一緒に、この葉っぱの木がどこにあるのかを探し出すのです。
この課題をクリアするためには、まず配られた葉の特徴をよく観察する必要があります。葉の形、大きさ、色、葉脈の走り方、触った時の感触……。普段なら見過ごしてしまうような細部にまで意識を集中させ、2人で何度も話し合いながら、手がかりを探していきます。
森の中を歩き、木を探し、葉を観察する。この一連のプロセスは、それまでみえていた森の景色が、より研ぎ澄まされて感じられるような不思議な感覚でした。
そして、ついに目的の木を見つけた時の達成感は、大人である私たちにとっても大きな喜びを感じる体験でした。木を見つけたら、今度はその葉っぱに自分たちで名前をつけ、みんなの前で発表します。私たちがみつけた葉は、丸みを帯びた星のような形をしていて、とても可愛らしかったので「赤ちゃんのお手て」と名付けました。このように、それぞれの葉が持つ個性や自分たちでみつけた発見を言葉にして共有するのです。私たちが探して、出会った木はアイビーの木でした。

この体験は、単に「木の名前を覚える」という知識の習得ではありません。
与えられたヒント(葉っぱ)から情報を吸収し、ペアの相手と共有する。そして、仮説を立てて実際に森の中を歩いて検証する。そして、発見した喜びを言葉にして他者と分かち合う。これらはすべて、子どもたちの論理的思考力や言語能力、社会性を育む、素晴らしい学びのプロセスなのです。
探検の後は、焚き火を囲んで心を落ち着かせる時間。パチパチと燃える火の音を聞き、暖かさを感じながら、焼きマシュマロをビスケットに挟んでいただきました。自然の中で仲間と語らいながら食べるおやつは、普段の何倍も美味しく感じられました。
もちろん、このような自然の中での体験には安全への配慮が不可欠です。フォレストスクールでは、専門の知識を持ったリーダーである大人がしっかりと安全管理を行うことで、子どもたちは安心して自然と向き合うことができると学びました。焚火の後の火を消す作業も、重要な学びとなりました。

「エデュケア」とは?ノーランドの学びを日常の保育に活かす
このフォレストスクールでの体験は、ポピンズナニーサービスが大切にしている「エデュケア」に通じているものだと、私は感じました。
エデュケアとは、エデュケーション(Education:教育)とケア(Care:保育)を組み合わせた造語です。単にお子様のお世話をするだけでなく、お一人おひとりの個性を尊重しながら、知的好奇心や才能を育む教育的な関わりを大切にしています。
ポピンズでは、子どもの知力を8つの領域に分け、知力8(エイト)と大きく8つの領域に整理しました。一人ひとりの子どもに個性があるように、知力のバランスも個性的です。それを見極め、持って生まれた力をさらに伸ばし、新たな力を見つけて引き出してあげることがポピンズのエデュケアとして、実践しています。
- 言語:思考やコミュニケーションの手段として言葉を使いこなす力
- 音楽:音楽を楽しむ(鑑賞、演奏、作曲)力
- 論理数学:物事を論理的に考え、算数や数字を効果的に扱う力
- 空間構成:図形を変形・操作したり、平面から立体を構成する力
- 身体運動:身体運動を通して、自分の体を自由にコントロールする力
- 自然科学:実験、探索、発見を通して自然を感得する力
- 社会性:他者の存在や多様性を認識し、他者とよい関係を築く力
- 自己受容:自分自身を振り返り、ありのままの自分を受け入れ、自己肯定感を持つ力
フォレストスクールのような自然とのふれあい体験は、この中でも特に自然科学(実験、探索、発見を通して自然を感得する力)を大きく育むものです。ノーランドカレッジで学んだことは、この知力8を育むためのヒントに満ち溢れていました。
日常の「お世話」が「学び」に変わる瞬間
このフォレストスクールは、特別な場所や時間でしか実践できないものではありません。
ポピンズナニーサービスでは、毎日のお世話でエデュケアの実践をしています。たとえば、お子様とのお散歩の途中でたまたま落ちていた葉っぱ。私たちはその葉っぱを見つけたお子様の目が輝く瞬間を見逃しません。お子様と一緒に立ち止まり、観察する時間を作ります。
「この葉っぱ、よく見てごらん。どんな形をしているかな?」
「さわってみよう。ツルツルしてる?それともザラザラ?」
「隣に落ちている別の葉っぱと、どこが違うかな?」
このように、日々の「お世話」の中に、お子様の好奇心を引き出し、知力を育む「学び」の要素を織り交ぜる。これこそが、私たちが実践するエデュケアであり、ポピンズナニーの仕事の醍醐味です。そして、このように目の前の1人のお子様とじっくり向き合うことができることも、ナニーの仕事の魅力です。
自然が好きなあなたへ。お子さまに自然を感じる体験を届けませんか?

フォレストスクールで学んだのは、自然が持つ力の大きさ、そして、子どもたちの様々な力を引き出す大人の関わり方です。
私たちは、ノーランドの確かな教育ノウハウから成る「エデュケア」で、お子様の未来を育む、質の高い保育を提供しています。
「お子様と一緒に自然の不思議を体験したい」
「日々の保育に教育的な要素を取り入れたい」
「1人のお子様とゆっくり向き合う保育を提供したい」
もし、あなたがそう思われたなら、ポピンズナニーサービスのナニーになることで叶えることができます。
私たちは、お子様一人ひとりの可能性を最大限に引き出し、未来を拓くお手伝いをしてくださる方を心から歓迎しています。詳しくはこちらをご覧ください→

【研修お問合せ先】株式会社ポピンズプロフェッショナル
ポピンズ国際乳幼児教育研究所
メールアドレス:overseas@poppins.co.jp
電話番号:03-3447-5826
この記事を書いた人

- ナニーメディア編集部
- ナニー・ベビーシッターなど保育業界を目指す人のための情報メディア「ナニー メディア」編集部です。