「集団生活に馴染めない!」保育所等訪問支援の利用の流れや効果を解説
- ナニー
- 子育ての悩み

「集団生活に馴染めない」「お友だち達とうまく関われない」「保育園や幼稚園で先生から気になることを指摘された…」
お子さまの発達や行動について悩むことは、決して珍しいことではありません。
しかし
「どう対応すればいいのかわからない」
「このままで大丈夫なのかな」
と不安を抱えたまま、誰にも相談できずにいる方も多いのではないでしょうか。
そんなとき、心強い味方となるのが「保育所等訪問支援」という制度です。専門家が保育所や幼稚園を訪問し、お子さんだけでなく、保護者や先生方をサポートする仕組みになっています。
この記事では、実際に児童発達支援事業所で働く看護師ナニーの視点から、
- 「保育所等訪問支援」とはどんな制度なのか
- 利用するための具体的な流れ
- 実際に利用するとどのような変化があるのか
をわかりやすく解説します。お子さまの成長を支えるための一つの選択肢として、ぜひ参考にしてみてください。
保育所等訪問支援とは?制度の概要や目的

「せっかく通所支援で身につけたスキルが、集団生活ではなかなか発揮できない…」
「お友だちとうまく遊べない…」
「先生たちも一生懸命関わってくれているけれど、対応に悩んでいる様子がある…」
こうした悩みを抱えるパパママや先生は少なくありません。実際、子どもとどう関わればよいのか迷い、対応に苦慮する先生たちも多く、保育士や教職員だけでは支援が追いつかないこともあります。
そこで、困りごとを抱えているお子さまが安心して集団生活に馴染めるよう、専門家が支援を行う「保育所等訪問支援」制度が生まれました。
<制度の概要と目的>
保育所等訪問支援は、発達に特性のある子どもが、保育所・幼稚園・学校などの集団生活の場で安心して過ごせるようにサポートする制度です。
専門のスタッフが施設を訪問し、子ども一人ひとりの特性に応じた関わり方を提案しながら先生方と連携して環境を整えていきます。
相談支援専門員が訪問できる施設
- 保育所、幼稚園、認定こども園
- 小学校、中学校、高等学校、特別支援学校
- 乳児院、児童養護施設、放課後児童クラブ
- その他、「児童が集団生活を営む施設」と市町村が認める施設
この制度を利用することで、
- 子どもが安心して集団生活を送れるようになる
- 保護者が抱える不安が軽減される
- 先生方が適切な対応を学び、負担が減る
- 「切れ目のない支援」の提供
といったメリットがあります。
この制度のポイントは、「子ども」「保護者」「職員」の三者を包括的にサポートすることです。単に子どもに対する支援だけでなく、保護者の悩みに寄り添い、さらに施設スタッフに対して適切な指導や助言を行います。また、ライフステージに沿って、さまざまな関係機関が関わることで、一貫した支援を受けられるようになります。
「どうすればいいのかわからない…」と悩んでいるなら、ぜひこの制度の利用を検討してみてください。
保育所等訪問支援を利用するまでの流れ

「制度があるのは知っているけれど、どうやって利用すればいいの?」
そんな疑問をお持ちの方に向けて、保育所等訪問支援の流れを具体的に説明します。
①市区町村窓口への問い合わせ
まずは、お住まいの自治体の福祉窓口や相談支援事業所に問い合わせをしましょう。お子さまの状態を伝え、「保育所等訪問支援を利用したい」と相談すると、申請手続きについて案内してもらえます。
利用者は保育所等に通所しており、集団生活に専門的な支援が必要な子どもです。
- 児童発達支援や放課後等デイサービスの通所支援を現在利用している子ども
- 過去に通所支援を利用していた子どもや通所支援を利用したことのない子ども
両者とも対象になります。
その後、障害児相談支援事業者が、訪問先の保育園や幼稚園に連絡・訪問し、サービスを受ける必要があるかどうかの判断をします。
「手続きが大変そう…」と感じるかもしれませんが、自治体や相談員がサポートしてくれるので、まず気軽に相談してみましょう。
② 担当者会議の開催と具体的な支援計画の決定
支援事業所の関係者が集まり、担当者会議を開催し、子どもに最適な支援内容を決定します。
③保育所等訪問支援の実施
支援計画に基づき、専門スタッフが保育園・幼稚園・学校などを訪問し、子どもの特性や発達状況に応じた支援を行います。支援の効果を定期的に確認し、必要に応じて計画を見直しながら、継続的にサポートを提供します。
以上のような流れで、保育所等訪問支援が進められます。利用を希望する場合は、まず相談支援専門員や市町村の窓口に相談しましょう。
誰が訪問するのか
訪問をするのは「相談支援専門員」と呼ばれている心理担当職員です。児童指導員または保育士を基本にしつつ、作業療法士や理学療法士、言語聴覚士などのリハビリテーション職員、臨床心理士や公認心理士などが担当をします。障害児支援等に関する知識と経験を持ち、集団生活への適応のための専門的な支援の技術を持つ職員が担っています。
実際に制度を利用した効果
保育所等訪問支援を利用することで、以下のような効果が期待できます。
①子どもの成長と集団生活への適応(直接支援)
相談支援専門員が子どもの特性や困りごとを分析し、具体的な対応策を提案します。たとえば、「椅子に座れない」「他の子と上手くコミュニケーションが取れない」といった場面では、子どもが落ち着ける工夫や適切な関わり方が導入され、徐々に集団生活への適応が進み、子どもたちが過ごしやすいように場を調整します。
「できること」が少しずつ増えていくことで、子どもの自信にもつながります。
②保護者の不安軽減
「うちの子、大丈夫かな?」という不安に対し、専門家が具体的なアドバイスを提供します。加えて、先生方とも連携をすることで、「家庭でもできる対応」がわかりやすくなります。
③施設スタッフの負担軽減とスキル向上(間接支援)
保育士や先生方も、子どもにどのように関わればいいかをぶことで、無理のない支援ができるようになります。
適切な声かけや、子どもが安心できる環境作りのポイントを学ぶことで、スタッフ自身が子どもたちの支援について考えていけるようにしていきます。
結果として子どもにとってもより良い環境が整います。
④家族全体の安心感向上
子どもの問題が軽減されることで、家庭内でのストレスも少なくなり、兄弟姉妹のケアや家族の生活全体に余裕が生まれます。
まとめ:悩んだら、一歩踏み出してみましょう

「保育所等訪問支援」は、お子さまだけでなく、パパママや先生方を支える制度です。子どもたちが安心して集団生活を送るための大きな助けとなり、家庭や施設に合った支援を受けることで、子どもだけでなく家族全体の安心感にもつながります。
子育ての悩みを一人で抱え込まず、専門家や自治体の力を借りることは、よりよい環境を整えるための大切な一歩です。お子さまの成長を見守るための選択肢の一つとして、ぜひこの制度の活用を検討してみてください。
この記事をきっかけに、「保育所等訪問支援」を利用する一歩を踏み出してみてはいかがでしょうか。お子さまの未来がより明るくなるよう、みんなで支え合いながら進んでいきましょう。
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この記事を書いた人

- Naoka
- 看護師、保育士、養護教諭の資格を持つナニーとして活動しています。これまで保育園や小学校、放課後デイサービスなど、さまざまな現場で経験を積んできました。現在ナニーのお仕事をしながら、療育施設にて自閉症スペクトラム症のお子さまたちの支援に取り組んでいます。