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お子さまの成長と、ご家族の人生の物語に寄り添うナニーという仕事がくれる、 かけがえのない絆

2025.05.12

ポピンズナニー歴33年というキャリアの中で、多くのご家庭と出会い、一人ひとりのお子さまに深く関わりながら、その成長を支えてきた K さん。 ご自身も子育てと両立しながら、悩み、乗り越えてきた経験があるからこそ、保護者様の気持ちに深く共感し、寄り添います。 「この方になら安心してお願いできる」と、厚い信頼の声が寄せられる、スーパーナニーの K さんにお話を伺いました。 

成長のそばで一緒に喜び合える幸せ  

ナニーになったきっかけを教えていただけますか。 

私は幼い頃から、保育士になることと舞台に関わる仕事をすること、2 つの夢を抱いていました。 

20代から舞台の仕事に携わり、旅公演や学校公演などを行っていましたが、空き時間が多く、もう 1 つ何か仕事をするなら、 やはり子どもと関わる仕事が自分にとって一番ふさわしいと感じていました。 

ある日、新聞の広告でポピンズの仕事を知りまして。もう運命的にポピンズしか見えなかったんです。 当時、広尾の1丁目にあったポピンズの本社で研修を受けさせていただき、お仕事を始めて、気がつけばもう33年の月日が経ちました。確か、最初のお子さまは、4歳の女の子でした。あの時の緊張や新鮮な気持ちは、今でも心に残っています。 

教育に関する資格はお持ちでしょうか。 

私は劇団で活動をしていたのですが、このお仕事に就いてから、お母様が安心してお子さまを預けられるように、保育士の資格を取得しました。 

保育士の資格は1年以内に取得したいと思いまして、専門学校に通いながら全国を飛び回って試験を受けました。中でも忘れられないのは、最後の1科目を神戸で落としてしまい、それを神奈川で再受験して合格できたことですね。科目数が多く、広範囲な内容で、実技もあるので大変でしたが、1年間で取得できたことが嬉しかったです。 

本当に大変でしたが、貴重な経験になりましたし、取得できて良かったと感じています。 

保育士の資格は、なくてもお仕事はできるのですが、やはり持っていたほうが、お母様により安心してもらえると思うんです。 

学んだことでお子さまへの関わり方が深まりましたし、何より、自分自身が自信を持ってお世話できるようになったことが一番大きいですね。 

これまで多くのお子さまと関わってこられた中で、お世話の際に大切にしていることはありますか?

一番大切にしていることは、どのご家庭にお伺いしても、まずはお子さまの目線を忘れないことです。もちろん、最初にお母様とコミュニケーションを図ることが大切ですが、その際も必ずお子さまとのコミュニケーションを最優先にしてい ます。 

お子さまと仲良くなること、そしてお子さまの気持ちを第一に考えることを忘れないように心がけています。 お打ち合わせを優先し、つい大人同士の会話になりがちですが、その前にまずお子さまに声をかけることを意識しています。 特に初めてのご利用時には、お母様はお子さまとナニーの相性を気にされると思いますので、まずはお子さまとの出会いの瞬間を大切にし、 良い関係を築くことを心がけています。 

初めてお伺いするご家庭では、例えばオムツの場所などは、お家に入った時点でどのあたりにあるかをすばやく把握するようにしています。お母様から特にご指示がなくても、自分から進んで行うことはある程度決まっていますので、スムーズなお世話のために、状況を見て、必要なことを先回りして対応できるようにしています。

もうひとつ大切にしているのは「時間」です。私たちの勤務時間は何時から何時までと決まっていますが、実際にはご家庭やお子さまの状況によって予定通りにいかないことも多くあります。同じお子さまのお世話でも、日によって流れが違うことはよくありますし、お母様のご都合で急な変更や延長があることもあります。そういったときには、できるだけ柔軟に、気持ちよく対応するように心がけています。 

そして自分自身が元気でいることが何よりも大切です。そのため、翌日に長時間のお世話がある日は早めに就寝するなど、体調管理には常に気を配っています。また、体力づくりというほどではありませんが、日頃から体を動かすことを心がけています。公園遊びや外での活動の際には、特に男の子のお母さまからは「安心してお任せできます」と言っていただくことが多く、ありがたく感じています。 

もちろん、これまでに体調を崩すこともありましたが、そのたびに会社の皆さんに支えていただき、ポピンズナニーサービスに登録して本当に良かったと感じています。さまざまなことを乗り越える中で、より一層この仕事に対する思いも深まりました。 

お子さまのお世話をする上で、普段から心がけていることはありますか? 

ナニーの仕事は、「お世話」と「教育」の両方だと考えています。お世話の中でも、お子さまにとってどんな学びがあるかを常に意識をしながら、遊びを工夫したり、声をかけたりしています。遊ぶ場所の選び方や、読む絵本の内容にも気を配り、学びの機会を大切にしています。それは知識を育むだけでなく、心の成長を促すことに繋がるからです。 

常にお子さまの目線に立つことを心がけていますので、お子さまが「嫌だな」と感じていたり、モチベーションが上がらなかったりした時は、無理に何かをさせることはいたしません。 

まずは、「今日はちょっと気分が乗らない」「なんだか悲しい」という気持ちにしっかり寄り添い、共感するところから始めます。一方で、ご機嫌な日や「これがやりたい!」という気持ちが強い時には、その瞬間を大切にして、たっぷり遊べるように工夫しています。 

例えば、お絵描きが好きなお子さまの場合は、スムーズに始められるように道具を準備しておくなど、そのお子さまに合った過ごし方を考えています。お子さまと過ごす時間は、何より“間”が大切だと感じています。 

長く関わらせていただいていると、表情やしぐさから「今日はちょっと違うかな」と、その日の気持ちを自然と感じ取れるようになってきました。 

もちろん、思うようにいかない日もありますし、タイミングを逃してしまったり、なかなか動きたがらなかったりすることもあります。ですが、そんな時こそ焦らず、お子さまの心に寄り添うことを一番に考えています。無理に何かをさせるのではなく、今の気持ちを受けとめて、そのお子さまのペースに合わせていくことを心がけています。

お子さまの興味を引き出すために、何かお持ちになる道具などがあれば教えてください。 

移動が多いため、荷物はできるだけコンパクトにしていますが、こちらのアイテムはすべて自分で手作りしたものです。 持参するものは、お子さまの年齢や発達段階に合わせて、その都度工夫しながら選んでいます。 

乳幼児のお子さまには、このパーツを並べると、色や形、お顔の表情も楽しんでくれますので、一緒に遊びながら自然と笑顔が生まれるんです。 

紙コップは軽くて安全なので、特に 1 歳くらいのお子さまにぴったりのアイテムです。公園遊びでは、水を入れておままごとを楽しんだり、ただ積んで崩したりするだけでも十分に楽しいんですよね。 

少し大きくなってくると、自分で積み上げて遊ぶようになり、自然と集中力や手先の器用さも育まれていきます。 こうした遊びの中に学びの要素がたくさんあって、これこそがエデュケアなんです。

ご家庭と共に過ごす日々がつくる、あたたかな信頼と絆

今までで一番印象に残っているエピソードがありましたら教えてください。 

落語が大好きで、いつも楽しそうに話してくれる5歳の男の子が、とても印象に残っています。
テレビの落語番組もお気に入りで、落語にまつわることすべてに夢中になっているご様子でした。
お受験の際、お母様は面接でお子さまの個性を伝える方法として、落語を披露することをお考えになり、私もその準備に関わらせていただきました。移動のタクシーでは落語の絵本を読み聞かせ、運転手さんが「今日も面白かったよ」と声をかけてくださることもありました。


また、「もっと面白くなるように工夫してもらえないかしら」とお母様からご相談を受け、「この部分はもう少し大きな声で話してみよう」「ここは少し間を取るともっと伝わるよ」といったアドバイスをしながら一緒に仕上げていきました。舞台で培った表現のコツが、こんな形で役に立つとは思わず、自分の経験が誰かの力になることに嬉しさを感じました。お子さまの好きなことや得意なところを見つけて伸ばしていくことも、エデュケアのひとつだと思っています。

もう一つは、私がナニーを始めたばかりの頃にお仕事をさせていただいたお客様から、「最近結婚しました」「子どもが生まれました」と いったご報告をいただくことがあります。 

あの頃のお子さまの面影を思い出しながら、そういった節目に近況を伝えていただけることがとても嬉しくて。 少しでも成長の時間に関わることができたのだと思うと、しみじみとありがたい気持ちになります。 

こうして続いていくご縁は、私にとってかけがえのない宝物ですね。

現在は、どのようなお世話をされていらっしゃいますか。 

14時30分に幼稚園へお迎えに行き、公園に立ち寄って16時30分頃までお友達と一緒に遊びます。その間、おやつは 3つまで購入してよいとのことですので、途中で一緒にお買い物をし、タクシーで帰宅するというお世話をしています。ご自宅ではお母さまが待っていてくださり、その後は少しお子さまと遊んでから17時30分に入浴介助です。スキンケアを済ませ、パジャマにお着替えして、18時にはお母さまがご用意くださった夕食を召し上がります。その後、状況に応じて歯磨きをして、就寝できる状態になったところで終了となります。 

そのお子さまは0歳の頃から継続してお伺いしておりまして、最近5歳になられました。 

成長とともに、生活リズムも少しずつ整ってきて、以前よりも時間の見通しが立てやすくなったように感じます。小さい頃は、決まった時間に進めるのがなかなか難しかったのですが、今は17時30分にお風呂に入る、という流れが定着しつつあります。ただ、少しでも遅れてしまうと、その後の予定までどんどん押してしまい、夕食の時間に間に合わなくなってしまうこともあります。シャワーの準備やお風呂を沸かす、浴室を整えるといった作業もあるため、スムーズに進められるよう心がけています。 

お客様のご要望にお応えするために、日頃から意識していることはありますか?

例えば「病院に連れて行ってください」というご依頼をいただくことがあります。お母様がお仕事のご都合でどうしても付き添えないときなど、通院が必要な場面は少なくありません。 

こうしたケースでは、初めて行く病院であることも多く、事前に調べておくべきことがたくさんあります。診察券や医療証など必要なものをお母様からお預かりすることはもちろん、病院の場所や行き方、タクシーをどこで捕まえるのかといったことまで、細かく調べておきます。 特に、いざ出発というときにタクシーが捕まらないと大変ですので、そうした事態を避けるためにも、下調べは欠かせない習慣になりました。 

こうした場面では、本当に“万全を尽くす”という気持ちで臨んでいます。通院やお迎えなどは、時間との勝負になることも多く、少しでも段取りが滞ると、お子さまが不安になったり、待ち時間に退屈してご機嫌を損ねてしまったりすることもあります。

また、お母様もお忙しい中で、すべてを細かく説明するのは難しいものです。急に「この病院に」「この幼稚園に」といったご依頼が入ることもありますが、たとえ初めての場所でも慌てず、冷静に対応できるよう事前の準備を大切にしています。 

人生の 1 ページに寄り添うということ  

お子さまと接する中で印象に残っていることはありますか。 

幼稚園の頃からお世話をさせていただいていたごきょうだいがイギリスにお引越しをされました。 ちょうど映画「メリー・ポピンズ リターンズ」が公開された頃、そのごきょうだいがイギリスで映画をご覧になったそうです。すると、お母様から「映画を観たあと、『このメリー・ポピンズ、K さんみたいだね』って言っていたんですよ」と、わざわざご連絡をくださったんです。お子さまが新しい環境の中でも、ふと思い出してくれたこと、そしてその記憶をあたたかく共有してくださったことが、本当に嬉しくて、 胸がいっぱいになりました。少しでも心に残る存在でいられたことが、何よりの喜びです。 

ごきょうだいで、下のお子さまが生まれる喜びも何より大きいですね。                今、お伺いしているお宅では、妹さんが生まれて初めて家に帰ってこられたその瞬間、お姉ちゃまになられた喜びを共有できたことは本当に嬉しかったです。かけがえのない一瞬に立ち会える感動は言葉では表せないくらいです。                                            

また、習い事の付き添いをしておりますと、初めのうちはどのお子さまも戸惑いや不安が大きく、スムーズにいかないことも多々あります。中には、「行きましょう」と声をかけただけで、その場にしゃがみ込み泣き出してしまうお子さまもいらっしゃいました。 付き添いの際には、隣で見守りながら「ちゃんと座っていましょうね」と声をかけ、少しずつ慣れてもらえるようにかかわっていきます。そうした時間の積み重ねが、お子さまと私との間に小さな信頼関係を育んでくれるように感じています。 

特に男の子は感情の表現がストレートで、「もう行きたくない!」と勢いよくその場から走り出してしまうこともあり、そうした場面では 対応に工夫が必要です。それでも、最初は戸惑っていたお子さまが、少しずつ自信を持ち、習い事に前向きに取り組まれている姿を見ると、胸が熱くなり、何よりの喜びを感じます。 

これまでに得たやりがいや達成感、学びについて教えてください。 

ご家庭の歴史の1ページに関わらせていただけるということは、ナニーならではの大きな魅力だと感じています。保育士さんや幼稚園の先生のように集団を対象としたお仕事も素晴らしいですが、私たちナニーは、1つのご家庭に1人で深く関わらせていただくという、また別の形での関わり方をさせていただいています。 

お子さまが小さい頃からご一緒させていただき、ご家族の歩みの一つひとつに立ち会えること。そしてやがて、お子さまが成長され、就職やご結婚といった人生の節目を迎えた時にも、「一緒に喜んでほしい」と声をかけていただけること。これは他の職業ではなかなか得られない経験だと思います。 

長年この仕事を続けてきたからこそ味わえる達成感と喜びは、本当にかけがえのないものです。 

これまで携わってきた中で、たくさんの学びを得てきました。それはお子様とのかかわりだけでなく、ご家庭そのものに深くかかわらせていただく中での気づきもあります。

さまざまなご職業の方がいらっしゃり、そのご家庭がどのような背景を持ち、どんな価値観で日々を過ごされているのかを感じ取ることで、自分自身の生活や考え方にも自然と意識が向くようになりました。政治や経済といった社会の動きにも関心を持つようになり、気づけば自分の人生の視野も大きく広がったように思います。 幅広いご家庭との出会いの中で、それぞれ異なる価値観やご要望、かかわり方があるという事を日々学ばせていただいています。そしてその中の一つひとつが、私にとって大切な財産となっています。

では最後に、これからナニーになろうと考えていらっしゃる方へのメッセージをいただけますか。 

私自身も、娘が生まれてからしばらくの間、育児に専念するためにお休みをいただいていました。そして娘が 3 歳になったタイミング で、「もう一度お仕事を始めたい」と思い、復帰させていただきました。 

やはり子どもが小さいうちは、仕事と育児を両立させるのは本当に大変でした。ですが、会社が両立をしっかりとサポートしてくださったおかげで、安心して続けてくることができたと感じています。 

今では娘も17歳になりましたが、家庭を大切にしながらお仕事を続けられたことはとてもありがたいことです。どんな職業にも難しさはあると思いますが、その中で、会社が見守ってくれているという安心感は、本当に心強いものです。

私がナニーという仕事を選んだのは、何よりも「子どもが大好き」という思いがあったからに尽きます。 

おそらくナニーを目指される方も、お子さまが好きでなければこのお仕事は選ばれないのではないかと思います。 お子さまと関わる中には、言葉では言い表せないような喜びがあります。もちろん、時間的な制約やさまざまな悩みを抱えることもあるかと思いますが、それでもお子さまたちは、私たちに元気や癒しを与えてくれるかけがえのない存在です。 今、迷っていらっしゃる方がいたら、ぜひ一歩を踏み出してみてほしいと思います。お子さまの人生にそっと寄り添い、成長の瞬間に立ち会えることは、何ものにも代えがたい経験です。 

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この記事を書いた人

なおこ
小学校に通う男の子のお母さんナニーです。活発なお子さまのお世話が得意なので、日々一緒に楽しく遊んでいます。 お子さまに寄り添い、お母様に共感し、みんなが笑顔になるような発信ができればと思っております。

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