ポピンズナニー研修「ノーランドに学ぶ エデュケア勉強会」レポート
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2025年1月14日付の「日本経済新聞 NIKKEI The STYLE」紙面で4ページに渡り特集された「エデュケア」は、長年ポピンズでも取り入れている保育の在り方を示す言葉です。ポピンズ本社では、ナニー向けに多くの研修・勉強会が開かれています。その中のひとつ2025年1月17日に実施された「ノーランドに学ぶ エデュケア勉強会」の様子をご紹介いたします。
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ノーランド・カレッジのナニーが語る「プロフェッショナルラブ」とは
今回の講師は今夏「ノーランド・カレッジ」にて「エデュケア」に関する研修を受けた弊社西原が務めました。現地で学んだ内容のシェアや、ポピンズナニーとしてどのように実践できるか、具体と学びの場として約20名のナニーの皆さんが参加いたしました。

「ノーランド・カレッジ」とは、ロンドンから特急で1.5時間ほどのバースという町にある高等専門教育機関。長年にわたって保育と教育のプロを養成し、英国王室御用達のナニーを多数輩出しています。ポピンズは「ノーランド・カレッジ」と30年以上に渡り提携し、毎年ポピンズ専用の研修を実施いただいています。
今回の勉強会ではまず「ノーランド・カレッジ」の様子をナニーの皆さまにお伝えしました。カレッジでは、ヴィーガンやアレルギーに対応した調理法やお子様をお守りするための護身術までカリキュラムとされているそう。
カレッジで学んだ現地のナニー4名にお話をお伺いしたところ、ナニーとして最も大切にしていることは「プロフェッショナルラブ」との回答でした。
「プロフェッショナルラブ」という言葉には、保育・教育のプロとして、お子様の発達に寄与をするのだという強い意志が表れています。「プロフェッショナルラブ」を具現化するために
- お子様やご家庭との境界線を維持する
- 助言は求められた時だけ
- 事前にご家庭のニーズに気付くナニーであれ
- お世話の意図が伝わるように実践する
- 守秘義務を順守する
といったポイントがあるのだそうです。
これらはポピンズのナニーにも共通する部分です。聴講するナニーの皆さんも熱心に聞き入っていました。

エデュケアを実践するには~スーパーナニーRさんの例~
2016年に「ノーランド・カレッジ」で研修を受けたひとり、スーパーナニーのRさんが現地での学びを日本のお子様に実践したいと考え自作された「ストーリーサック」の実演を行ってくださいました。
題材は誰でも一度は耳にしたことがあるお話『おおきなかぶ』です。絵本を読みながらRさんが取り出したのは、まるできんちゃく袋のようなバッグ。中からは緑色の葉っぱが出てきました。

おばあさん役、ねこ役、いぬ役などのぬいぐるみを渡されたナニーさんは、お話しさながら順に「おおきなかぶ」を抜きにいきます。おなじみのセリフ「うんとこしょ、どっこいしょ」と掛け声をあげながら、さあ、かぶが…!

読み聞かせだけでも楽しい絵本ですが、実際にかぶを抜こうとすると大人でも夢中になって力が入ります。この日もかぶが抜けた瞬間は会場が一体になりました。お子様と一緒なら、さらに楽しい時間となりそうです。
『おおきなかぶ』は、ねこやいぬなどの動物も登場し、小さなお子様にもわかりやすいのが特徴のひとつ。また、お子様の年齢によっては、「かぶってなんだろうね?」と図鑑をお見せしたり、夕食のメニューで「かぶのサラダ」や「かぶのスープ」をお出ししたこともあるのだそうです。

ほかにもRさんが作成した作品を多数ご紹介いただきました。どれも廃材を中心に制作したものばかりです。「はみがき」ができる作品は、歯の部分に卵のパックを利用しています。「エデュケア」というとつい構えてしまうかもしれませんが、廃材を活用して遊びや学びに活かすのも、まさに「ノーランド・カレッジ」で学ぶことのひとつです。

エデュケアを実践するには~スーパーナニーMさんの例~
スーパーナニーのMさんからは、五感を育むエデュケアの実践例をご紹介いただきました。あるご家庭のお子様との「秋の過ごし方」の記録です。数年前に1歳半のお子様と公園に出かけた際は、Mさんはお子様と落ち葉の踏み心地や踏みしめる音、枯葉の香りをたっぷり楽しみました。ご家庭に戻って、室内では折り紙から「秋の色」をさがしてびりびり破って画用紙に貼って遊びました。色を感じ、のりの手触りを楽しみ、そして作品が完成する喜びをお子様と味わいます。そしてご帰宅後のご家族に作品をお見せして、褒めていただくことでお子様の自己受容や自信に繋がっていくそうです。

お子様が2歳半になった翌年の秋は、同じ公園に出かけて葉っぱひろいを楽しみました。ご家庭に戻ってはっぱを洗って乾かして、網と歯ブラシを使った絵具遊びをしました。はっぱをはがした瞬間は「わぁ!」とお子様から声があがるのだそう。
同じ「秋」もお子様の年齢や成長、ご様子に応じて様々な過ごし方ができます。外遊びで五感をたっぷり使い、ご自宅に戻って応用。そして作品が完成し、お父様・お母様にお見せする。こうした経験からお子様が吸収すること・学ぶことはたくさんあり、まさに「エデュケア」の実践例といえます。

エデュケアを実践するには~ノーランドで学んだ講師の例~
講師からはノーランド仕込みの「紫キャベツの実験」もご紹介しました。身近にある野菜のひとつ「紫キャベツ」で簡単に色遊びができる実験ですが、実験といってもサイエンスだけを学ぶ場ではありません。例えば紫キャベツをちぎる工程でお子様にもお手伝いいただき、紫キャベツの手触りや、かじった時の触感や味を尋ねます。「かたい、つめたい、にがい…」と、一つの質問にお子様は100の言葉で返してくださいます。
次々と色が変わる様子を見て、少し大きなお子様は「どうして?どうして?」と聞いてくださることも多いようです。そんな時「どうして?」に対する正しい答えをお伝えすることがすべてではありません。「どうしてだとおもう?」「図書館でしらべてみましょうか」と主体的な学びを促すのもナニーの役割のひとつです。

「エデュケアとは?」グループで学ぶトークタイム
最後は5名ほどのグループに分かれて、エデュケアの実践について話し合いました。ナニーひとりひとりが日頃から「エデュケア」について工夫を重ねている中で見つけた、「養生テープがあると便利」「ロールペーパーはお子様が目を輝かせる」といった、とっておきのアイテム・グッズの紹介もありました。
「こんなに手の込んだ制作物は難しいのでは?」という声もありましたが、新聞1枚を持参し、ちぎって遊んだり、「かぶと」を作るだけでもお子様の五感は働き、学びにもつながるもの。講師からは「カード遊び」の具体例もシェアさせていただきました。
今回は約2時間にわたる「ノーランドに学ぶ、エデュケア勉強会」のほんの一部をご紹介いたしました。ポピンズでは、「エデュケア」について学ぶ場や研修はもちろん、先輩ナニーの知見をシェアいただく場なども多数ご用意しています。また、2025年の夏もポピンズから「ノーランド・カレッジ」への研修も予定しています。
「エデュケア」を体現しながらお子様の成長や学びに寄り添ってみたいという方は、ぜひナニーとして働いてみませんか。皆さまの活躍をサポートいたします。

この記事を書いた人

- ナニー メディア編集部
- ナニー・ベビーシッターなど保育業界を目指す人のための情報メディア「ナニー メディア」編集部です。