ナニーの魅力は再訪でお子さまの成長を実感できること

ナニーとは、欧米諸国で知られている教育ベビーシッターです。ナニー発祥の英国では、王室のロイヤルファミリーにも選ばれており、保育と教育の両面からお子さまを育む保育のプロフェッショナルです。
株式会社ポピンズファミリーケア(以下、ポピンズファミリーケア)では、、豊かな知識と経験を持つナニーがお子さまに寄り添い、教育ベビーシッターのサービスを提供しています。今回はスーパーナニーとして活躍されているIさんにお話を伺いました。
contents
「ナニー」になった思い。それは「お子さまに心の豊かさを感じて欲しいから」

—ナニーになったきっかけを教えていただけますか。
もともと会社員として働いていましたが、出産を機に家庭に入ることにしました。その後、再び社会に出たのですが、仕事と育児の両立の大変さに直面しました。保育園の待機児童の問題や、休暇取得すら難しい不安定な派遣社員の立場がネックでした。そこで、一旦育児に専念することにしました。思春期の頃まで娘に寄り添い勉強を教えていましたが、私自身も児童学科がある通信制の大学で学び直し、幼稚園教諭の免許を取得しました。自分らしさを大切にしながら、子どもたちの役に立ちたいと思いました。
一方で、思春期の娘のことや将来的な親の介護を考えると、フルタイムで幼稚園で働くことは現実的に難しい選択でした。「ナニーであれば柔軟な働き方ができるのではないだろうか…。」そう考えて、ナニーとして働き始めました。
さらに並行して放送大学で心理学を学び、認定心理士の資格を取得しました。ナニーとして5年間にわたってさまざまなお子さまに接する中で、見えてきた課題があります。それは「物質的な豊かさイコール心の豊かさではない」ということです。ナニーとして貢献することで「お子さまが心の豊かさを感じる瞬間に寄り添いたい」と、思っています。
—ナニーとしてどのようにありたいと思っていますか。
ご家庭を訪問する中、ぎっしりと習い事のスケジュールが詰まっていて、遊ぶ時間すらないお子さまも見てきました。「優秀でいてほしい…」というご両親の強い思いがある一方で、お子さまは言葉にできずにもがいていました。こうした状況を見るにつれ、限られた時間の中でも最大限にお子さまの心を解放したり、好きな遊びを存分にさせてあげたりしたいと思いました。
その一方で、保護者さまも悩まれていました。かつて大家族や地域社会の中で行われていた子育ては、核家族化で孤独な子育てに変化しました。さらにネット上には玉石混交の子育て情報が溢れ、何を信じれば良いのかわからなくなっています。こうした点でも、私自身の子育て経験や幼児教育の学びを生かしつつ、身近な存在として保護者さまの支えになりたいと思っています。
—ナニーとして働く、1週間のスケジュールを教えていただけますか。
2024年の4月から大学院に通い始め、幼児教育の学びを深めています。そのため、ナニーの仕事は授業のない木曜日と金曜日の午後にそれぞれ3時間ほど、レギュラーの仕事を入れています。また、週末は土日のいずれかにスポットの仕事が入ることがありますね。
木曜日は小3の女の子を担当しています。小学校の帰りに駅までお迎えに行き、ご自宅にお連れしています。また、習い事の教室への送迎とご自宅での見守りをしています。すでに小学校3年生で大きくなっていらっしゃるので、手取り足取り教えるのではなく、ご自分のことを自主的に実行できるように促しながら見守っています。
金曜日は、幼稚園受験を控えた3歳の男の子を担当しています。保育園にお迎えに行き、幼児教室までの送迎や移動を担当しています。受験直前の時期なので、お子さまの心が安定するように、リフレッシュできるようにと、心がけています。
お子さまが興味を持てるようなアイテムを準備して
—習い事の教室に行きたがらないときなど、どのようにお子さまに対応しているのでしょうか。
無理強いはできないので、お子さまの気持ちを察するようにしています。たとえば、教室に行きたがらないときはシール貼りなどで気分を切り替えてから出かけるとか。手遊びができるアイテムを常にバッグの中に入れているので、紙とちょっと珍しいペンや、手作りの紙のパズルなどで、お子さまの興味を引くようにしています。
意識していることはお子さまの心を解放してあげること。大学院では「造形活動を通して子どもの成長を促す」ことを研究テーマにする予定です。その中でも、私は紙を使った造形を通じてお子さまの成長に寄り添いたいと思っています。
—お子さまに対して心がけていることを教えてください。
言葉では上手に伝えられないけれど、紙に書いてもらうことでお子さまの心の内が表現されることがあります。お子さまがストレスを感じているなと思ったら、言葉がけに気を付けています。寄り添って気分転換していただくだけでも、「お子さまの力になれるのでは…」と思っています。
普段から気をつけていることもあります。幼稚園受験の男の子には怪我をしないように気をつけてあげたり、心が安定するようにリフレッシュをしてもらったり。小学3年生の女の子は、そろそろ思春期の前段階ですので、心の状態を気にしてあげるようにしています。
お子さまを観察していて、気になることがあればコンシェルジュを通して、保護者さまにお伝えしています。何回も訪問して保護者さまと信頼関係ができているケースでは、直接お伝えすることもありますね。
—印象に残っているエピソードがあれば教えていただけますか。
3歳の男の子のケースですが、白い画用紙をちぎり、雪を作って遊んだことがあります。当初、その男の子は上手にちぎることができませんでした。今のお子さんたちはボタンを押すだけのゲームで遊ぶことが増えたため、巧緻性(手先や指先などを器用に使う能力)が低下しているのです。
最初はハサミで切り込みを入れてあげていた雪作りも、コツをつかんだ男の子は段々と上手になりました。たくさん ”雪” をつくって部屋の中で紙吹雪をしたんです。保護者さまなら眉をひそめるような ”散らかす” 遊びも、ナニー公認であればお子さまは大喜びでした。散らした雪は両腕を広げた”ブルドーザー”で掻き集め、何回も雪を降らせて楽しみました。
雪だけでなく、画用紙をちぎって草履も作りました。お子さまが「とっても楽しかった!」と言ってくれたときは、ナニーの仕事をしていてよかったと思いました。「造形遊びは彼にとって有意義だったんだ」と思えましたね。
2年後にたまたま再訪した時に、この男の子は雪遊びと草履づくりのことを覚えていてくれて…。保護者さまも当時のことを感謝してくださいました。
お子さまにとって嬉しいことは、保護者さまにとっても嬉しいこと

—保護者さまとのコミュニケーションで意識していることを教えていただけますか。
繰り返しになりますが、保護者さまと接するときにも洞察力は必要だと思います。どのような教育方針なのか、どのようにお子さまと関わっていらっしゃるのか…。洞察力を大切にして保護者さまとの信頼関係を築くことができると、安心してお任せいただくことができ、お世話がスムーズになります。洞察力で保護者さまの考えやニーズを汲み取ることが、信頼関係につながる大切なポイントだと思いますね。
—保護者さまも解放されると嬉しい
保護者さまにとって何よりも嬉しいのは、お子さまが「今日はとっても楽しかった!」と喜ぶ姿ではないでしょうか。不安を抱えて子育てを続ける中、保護者さまも解放されて幸福を感じるひとときだと思います。
ポピンズでナニーとして活躍する醍醐味は?

—ナニーの仕事を通じて得られた喜びや、やりがいについて教えてください。
先にお伝えした画用紙で雪を作ったケースですが、一緒に楽しんだ造形活動が彼の記憶に残っていること、そして現在の彼につながっていることを感じたときですね。自分の取り組みがお子さまの中で生き続け、成長につながっているのだと思えたときは、本当に感動しました。幼稚園や保育園では卒園後のお子さまの成長を確認することは難しいです。でもナニーは数年後でもお子さまのご成長を拝見できることもあり、それが醍醐味ですね。
—ポピンズのナニーになって、よかった点を教えていただけますでしょうか。
さまざまな研修制度が充実している点だと思います。私はトレーナーとして、ナニーをフォローアップする立場でもあるのですが、お世話が自己流になってはいないか、先輩ナニーから客観的なアドバイスをもらえるのは安心できる点ではないでしょうか。研修にも多様なカリキュラムがあるので私自身も学びながらお世話ができ、助かっています。
—ナニーのお仕事に取り組んでみたいとお考えの方へ、メッセージをお願いいたします。
ナニーにとって、訪問先で過ごす時間はお子さまの日々の成長を身近で感じ、ご家庭にも貢献できていると実感できるので、とても有意義です。私自身も童心に帰れるので、とても楽しく、充実しています。ポピンズファミリーケアの研修制度は大変充実しているので、初心者でも安心して始めることができると思います。あと、もし何かあったとしてもきちんとフォローもしていただける安心感もあります。お子さまと接することが好きだったら、是非取り組んでいただきたいと思います。

この記事を書いた人

- 蜂巣 稔
- ビジネスライター・ブックライター。葉山ウインズ合同会社代表。外資系IT、日本コカ・コーラを経て独立起業。企業取材・インタビューを中心に活動中。宣伝会議 編集・ライター養成講座、上阪徹のブックライター塾を卒業。息子が8歳の時からシングルファーザーとして子育て。中学受験も経験。子育てとフルタイムの仕事の両立に悩んだことも。